恋の罠しかけましょ〜番外編〜
「でね、その時のコナン君ったらもー、すっっっ・・・・・・・・・・・・ごく可愛くてね」 「・・・へー。で?結局そのガキんちょはめでたく素敵な彼氏を手に入れましたってわけ?」 延々と親友から聞かされた江戸川コナンの恋愛話。 いや、本人はただコナンの愛らしさを語りたかっただけだろう。 ついでにストーカー被害の原因である写真の配布をやめさせるつもりだったのだが、 いつの間にやら会話の流れはコナンの話。 恋話好きのミーハー少女、鈴木園子様といたしましてはー確かに。ええ、 ちょこーっとだけ面白かったですよ。 でもね。 でもね。 小学一年生の分際で彼氏だぁぁぁ? ってか男と男ってゆー根本的な突っ込みはないのかーーー! いやむしろ相手があの、あの、江古田高校で一番人気という黒羽快斗ってどうよーーー。 まずどこに突っ込めばいいのやら? と胸の中がモヤモヤしてくる。 「あたしの知る黒羽快斗って人間ならね、顔もいいし、頭もトップレベル。 運動神経は記録出しちゃうくらいよくって、更には人懐っこくて人気者。」 「さすがコナン君を見初めただけあるわね」 ホクホク顔でそう返してきますか蘭さんや。 あたしが言いたいのはそんなどこを切り取っても最高級レベルの男が、なんで、 よりにもよって、お子様&男なんて茨の道を一直線に駆け抜けるのですかーーー。 って事なのだ。 「・・ああ、天は2物を与えずって言うけど。全ていいのにオチがこれって プラスマイナスで言ったらマイナスじゃないの黒羽君って」 園子はふぅぅぅと溜息を吐く。 「そーーのーーこーー。それってコナン君に失礼じゃないの」 「だってよ蘭。よぉーーーく考えてみてよ。どう考えてもその黒羽君って。ロリコンよ、 そんでもってホモよ?」 それ以外の何者でもないでしょ? きっぱり言って見せた園子に蘭は目をパチクリさせた。 「・・・・・い・・言われてみたらそうかも」 「言われる前に気づいてよ。」 「ロリコン・・ホモ・・・」 「ああ、ちょっと違った。ショタコンだったわね」 「・・・・・・・いやっそんな・・そんな変態にコナン君を・・・預けるなんてできないっっっ」 「蘭?」 何を今更な。ようやくまとまったみたい♪とさっき語ったばっかりじゃん。 しかもそのお膳立てしたの蘭自身だし。 「コナン君にはまっとうな人じゃないと」 「あーっていうかお子様の分際で恋人を持つってのが間違ってるでしょ」 「そうよね。まだ早過ぎたのよね。」 しみじみと頬に手を当てる蘭を見て、親友は肩をすくめた。 「で?めでたく纏まった二人の仲を壊せるの、蘭?」 「・・・・・」 「付き合ってるの?」 ズバっと直球で尋ねられたのはあのエセデートから一週間後。 水族館に遊びに行った次の日の事だった。 「え?え?」 のんびり小学校の宿題をやっている自分を先程からジーと見つめているなぁと思ったら・・・ いきなりそれですか蘭さんや。 心の準備をしていなかったせいでぶざまにも持っていた鉛筆を取り落としてしまったコナン。 「やっぱりそうなのね」 その表情から何を読んだのか蘭は一人納得した。 (何がそうなんだ?) 江戸川コナンともあろう人間が会話の流れを読みそこねた。いや、正確に言えば気付かな いままでいたかった。 「昨日デートだったんでしょ?」 違うっ 即座に否定したかったが言われてみればデート以外の何物でもなかった気がする。 「昨日帰って来てからコナン君すっごく機嫌いいの・・・気付いてた?」 (バカなっ) 当然気付いている筈が無いコナンは『なんで俺がご機嫌さん?』と不服で堪らない。 だがしかしこれまた思い返してみれば無意識に鼻歌を歌うこと数回・・・あったような気がする。 蘭の言う通りなのかもしれない。 「あーそれはきっと快斗兄ちゃんを虐めて楽しかったからだよ」 企みが完璧に成功したおかげで気分が良かったのだろう。 「・・・ふぅん」 だがそんな言葉に突っ込むでもなく蘭は非常に納得していない顔で頷いた。 『ま、そういう事にしといてあげましょ』 なんて言葉を顔から読み取ってしまいどう説明したものかと頭を抱えたい気分にコナンはなった。 そんな彼のピンチを救ったのは 「コッナンちゃぁぁあん。あっそびっまショー」 こ・・・この脳天気爆発の声の持ち主を間違えるはずがない。 昨日虐めに虐められまくり泣いて帰ったはずの 「・・・快斗」 そう。自称コナンの恋人、黒羽快斗その人であった。←まだ自称なあたり泣かせる (すげぇよ。あんだけ打って打って打ちまくって置いたのに・・・一晩で復活かよ) てっきり来週まで来ないと思っていたのに。 さすが怪盗KIDっ。侮れない男である。 なんて先代が聞いたらニッコリ笑顔で『一緒にしないで下さい』なんて否定したくなるだろう、 そんな感動の仕方をするコナン。 「・・・アレがコナン君の・・・」 「うん・・。ちょっと行ってくるね」 まだまだ叫び続ける困った男に慌ててコナンは玄関へ向かった。 その背中を見送りながら隣の少女が低い声音で呟いた言葉には当然コナンは気がつかなかった。 「ショタコンでホモの変態男・・・」 ゴゴゴゴゴ・・と蘭が何故か燃えていた。 「はじめまして毛利蘭です。いつもコナン君がお世話になってます」 「こちらこそはじめまして黒羽快斗です。いえいえ、こちらこそうちの コナンがお世話になってます」 蘭に保護者としての挨拶をされついつい独占欲がむき出しになってしまった快斗の返答。 それにピクリと蘭の頬が引きつったのに気づいた者は幸いなことにこの場にはいなかった。 なぜなら 「おいっ誰がお前のだっ」 「えーダメ?」 「俺は俺のもんだっ」 「だって大事な恋人だし♪」 「・・・なんの話だ?」 「もぉー照れちゃって」 なんて会話を2人は楽しんでいたのだから。 「黒羽君ってとっても頭がいいんですって?それに運動神経もいいって聞いたけど」 「え?いやいやコナンほどじゃないですよ」 謙遜?と果てしなく首を傾げたくなる返しにフイに地の底に落ちかけていた快斗の株が 蘭の中で上昇した。 いわずと知れた『うちの子を褒めてくれた人』だからだろう。しょせん親ばか、 姉ばかの蘭である。 「あと手品が上手って聞いたんだけど」 「あれー?毛利さんの耳にまで響くってどういう噂だろ。怖いなぁ」 「あっ違うの。私の友達が黒羽君のファンで・・」 正確には『良い男』全般のファンである園子だが。 「わー嬉しいなぁ。うん、将来世界一のマジシャンになるのが夢です。」 ニッコリきっぱり壮大な夢を言い切った男にこれまた蘭の中で株が上がる。 この年で将来の夢を持つものは少ない。 また、ここまで楽しそうに夢を語れるものも少ない。 そして・・・この自信に溢れた表情。未来への希望をこれだけ持っている人間はとても 素晴らしいと、蘭は思う。 純粋に1人の人間として尊敬できる態度だった。 (さすがコナン君が選んだだけあるわね) 蘭は深く納得してしまう。 だがしかし・・・それでも・・どんなに素晴らしい人間でも・・・所詮は 「でも『変態』・・・なのよね」 「はい?」 「ねぇ黒羽君。あなたとコナン君の年齢差は犯罪の域に軽々到達しているわ。」 「蘭ねぇちゃん?」 何を言い出したのだと、これまで黙っていたコナンがキョトンとしている。 それにニッコリ微笑むと 「あっ大変。お客様に飲み物おだししてなかったわ。コナン君お願いできるかな?」 「え?」 「コナン君の入れてくれた紅茶が飲みたいな」 「・・・・うん。分った」 暗にここにいて欲しくないという蘭の言葉にコナンが逆らえるはずも無く、こんな状況で 置いていくことになる哀れな快斗に視線をおくれば、案の定『1人にしないでぇぇ』 という情け無い顔をしている。 (すまん。俺は己の身が大事なんだ) ここでごねてみろ。ぜってー腕力で訴えてくるに決まっている。目の前の机破壊して、 ニッコリ笑顔で「しばらく外行っててね」と言われたら嫌だし。 という訳で大人しく引き下がり、人身御供に快斗を差し出したコナンは心の中で何回か 謝ると台所へ向かった。 「さて、変態の黒羽君」 「あのぉ。その枕詞は何なのでしょうか」 「あら?違う?ショタコンでしょ?ホモでしょ?」 「・・・・うう。ああ、その突っ込みこの恋愛してから初めてです。 ええ・・本人以外からは初めてですよ。」 まず最初に突っ込まれるはずだと言うのに、誰からも流されたその基本的な攻撃。 (ちなみにコナンからはいつも「変態」呼ばわりされてます) 相手があまりにも可愛すぎるコナンだったからだろう。←バカなっ 惚れても仕方ないと誰もが思うのだから。←ええっ? 学校で「コナンちゃん。コナンちゃん」と叫んでも誰もが同意してくれたり羨ましがったり してくれた。←世の中間違ってるよ(コナン心の叫び(笑)) 青子ですら、 「コナン君可愛いもんね。快斗っ頑張るんだよっっ」 なんて声援を送ってくれたのだ。 ちなみに母からは 「指輪はどうする?」 なんてナチュラルに尋ねられちゃいました。 結婚はまだ先よね?とりあえず婚約? なんて・・・・ふふ・・俺って周りに恵まれてたのね・・・。

見ての通り途中書きっすー