悪夢到来!!! エピローグ3
「あ。ハッピーーニューーイヤーーーー」
「あけましておめでとうございます。」
「はい。おめでとう。二人とも」
クリスマスには間に合わなかったものの、なんとか新年には黒羽家に帰れた二人。
もちろん優作を置いてサクサク帰って来たコナンは黒羽家でお正月を迎えた。
元々快斗の母と元旦は一緒に過ごすと約束をしていたのだ。
どんなに誘われても帰国するつもりでいた。
一人で新年なんてそんな寂しい事させるわけがない。
一緒に過ごしたいのなら優作と有希子がこちらに戻ってこればいいのだ。
だがいつものごとく編集者から逃げる為(相変わらず逃げ回っているらしい)こちらに戻ってこれない優作。それに付き合う有希子。
と言うことで駄々をこねる有希子に掴まる前にさっさと逃げ出すように帰国してきたのだった。
「はいお年玉」
「やったっっ。ありがとうございまする母上ーー」
「え。僕ももらっていいの?」
「もちろんよー。」
「ありがとーーー」
ウキウキと袋の中身を確かめる二人を母はじっくりと眺めた。
「おっ」
と嬉しそうな快斗と
「あ・・」
と複雑そうなコナン。
「すねちゃダメよコナンちゃん。」
袋の中身は小学生仕様だった。
そうだよな。うん。小学校の時はこのくらいの値段だった・・・
「私もねーどうしようかなーって思ったんだけど小さな子供に大金を持たせるのは教育上よくないってコナンちゃんのお母さんに言われてね、それにしたの。袋もほらっ仮面ヤイバーなのよ♪」
「・・・・・・・・か・・母さんに!?」
母の言葉を無視してこちらに帰ってきた腹いせか?
言われてみたら確かに子供らしいお年玉袋。元太あたりが見たら大喜びするかもしれない。
快斗はもちろん普通の袋だ。
わざわざ・・・わざわざ(涙)
「もう楽しくて楽しくて、どの袋にしようかすごーーーく悩んじゃったわ」
「あ・・・ありがとう」
それに満足したのか一つうなづくと母は立ち上がりご飯の準備の為に台所へと足を向けた。
「いやーーー日本語きもちいーーーー」
「お前普通に向こうの言葉しゃべってたじゃねーか」
「でもやっぱ日本語の方が気楽にしゃべれるじゃん?」
「まあな」
「それにしても色々あったなー」
「新事実が多々・・・な」
例えば、
ナイトメアの存在。
すっかり忘れていたがあいつは一体何者だったのだろうか。
またいつかひょっこり勧誘にやって来るかもしれない。
ってかマジで男だったらどうしよーーーー
親父ーーーどうしてあんなの身近に置いておくんだよぉぉぉぉ
そうそう、父の知り合いとも沢山出会えた(とりあえずナイトメアのことは忘れておこう)。
マジシャンの黒羽盗一のファンもいれば、怪盗KIDとしてのファンもいた。
ボール達の営むサーカス団の主な活動は偽KID狩り・・・。副活動にサーカスをするらしい。
次々と現れる偽者KIDをとっつかまえるのが使命と言っていた。
今回はなかなかと捕まえられない偽者に仕方なく向こうにいた優作に協力をお願いしたらしい。そして丁度いい機会だと優作がこちらに回してきたようだ。
そんなサーカス団の別名は「怪盗KID支援団本店」。
ということは支店があると言うことなのだろうか?
慌ただしく帰国してきたから(優作と有希子から逃げる為に)そこらへん詳しく聞けなかったがそのうち寺井にでも聞いて置こう。
またいつかロンドンへ行って昔の父の話をボール達に聞いてみようかなと快斗は秘かに思っている。
「しっかしKIDの活動の資金源はねー俺ジイちゃんが実は金持ちなんだと思ってた」
「まあ沸いてでるわけねーしな。謎が解けてよかったな」
「うーん。でも複雑。ボールさん達のお金で俺ドンドン花火あげたりしちゃったわけでしょ?」
「ああ。たまに無駄使いしてるな」
「そういうのってこれからもしてもいいのかなぁ」
「いいんじゃねーの?KID(子供)らしくてさ」
「あ。そっかっっ!!!よかったー。」
朗らかに快斗は笑う
それにしてもまだ解ってない問題があった。
「俺とお前が知り合いってどーゆーことなんだろうな」
「父さん達が親友ってのは解ったけど詳しい事教えてくれなかったね優作さん」
「あの親父はそう言うところがタヌキなんだよっっ」
「(同感です)」
ダンダンとコタツにぬくぬくしながらテーブルをたたきつける。
「あらーコナンちゃんどうしたの?快斗がなんか怒らせる事したの?」
暖かなゆげをたてるお雑煮をトントンと目の前に置きながらそんな事をいう母に息子はうなだれた。
「かーさん・・・」
「なんてね。聞いてたわよ。快斗とコナンちゃん・・・新ちゃんがお友達だったって話でしょ?」
「えっおばさん知ってるのっっ?」
「知ってるわよ。二人ともそれはそれは仲良しさんでね。まだ掴まり立ちしか出来ない小さなころから二人で外に出掛けちゃって大変だったのよー」
「お・・覚えてない」
「俺も全然記憶にねーよーーー」
頭を抱える二人に母はケロリと言った
「当たり前じゃない。だって盗一さんが記憶封じたんだもの」
「「ええっっ」」
「あのころはねー今と変わらず二人とも事件体質でね、二人でいれば効果二乗。二人で遊んでればかならず何か事件が起こってたのよ。それで私たちと工藤さん4人で話しあって二人が自分で事態を収拾出来るようになるまで引き離して置こうって事になったの。」
そんなに昔からの体質だったのかっ
二人は驚愕する。
「でも二人とも本当に仲良くてね。引き離すと泣いちゃうのよ。あんまり可哀想だからって盗一さんがお互いの記憶を封じたの。」
「え。じゃあ俺達このまま忘れたまんまなの?」
「うーん。本当なら成長した二人が出逢ったら解ける筈だったんだけどね、ほら。こういう事態になってるじゃない?」
チラリとコナンを見る。
「ああ・・」
ちっちゃくなってるね。
快斗もコナンを見て頷く。
「・・・・・・」
何も言えずコナンは唸る。
ようするにコナンは成長していないと判断されたのだろう。
新一の時に出逢っていたらきっと思い出していた。
そういう記憶の封印だったのだから。
コナンは何やらいたたまれなくなりこたつの中にもぞもぞと潜りだした。
「あっコナンちゃん。怒っちゃったのーーー?」
「やだっ責めてるわけじゃないのよっ」
そんな二人の慌てたような声を聞きつつ熱くて熱くて堪らないコタツの中で一つの誓いを胸に抱いた。
「ちくしょーーーーーーー黒の組織めーー今年こそ絶対絶対ぜーーーーーーーーったいぶっつぶしてやるーーーー」
とにもかくにも、江戸川コナンもうすぐ2年生。
新しい年の始まりです。
end
すっかり長々とした話になってしまいましたが
おつき合い下さいまして、ありがとうございました。
約束シリーズはまだ続きますがちょっとの間休憩します。
次は「悪夢到来」の中で述べていたちょっとした学校のゲームに参加してもらうつもりです。
もちろん二人で。
それではその時を楽しみにまた約束シリーズでお会いしましょう
2003.1.14