酸素不足のため抗議の声も出ないコナンの唇をそっと指でたどる。
「や・・め・」
KIDの指をはじこうとするコナンの手を封じ、唇からあふれた唾液をそっと嘗め取る。
コナンはかすかに震えた。
「ん・・」
背筋がゾクゾクする感触にコナンは目を潤ませる。
このままでは自分がどうなってしまうか分からない。
「やめ・・ろ・」
やっとのことで絞りだした言葉に理性が半ば飛びかけていたKIDは名残惜しげにコナンから唇を離した。
「今夜はこのへんで失礼させて頂きます。」
すっとコナンの手を離し、半分乗りかかっていた体を起こす。
「これ以上いたら大変な事をしでかしてしまいそうですから」
嫌われては元もこもない。とりあえずキスは感じてもらえたようだしこれなら
少しは好意をもたれているということだろう。そうKIDは判断を下し、今
自分がすべき事(理性があるうちにこの場を去ること(笑))を実行した。
「それでは名探偵。またお会いしましょう。」
まだ呆然としているコナンにチュッとおやすみのキスをするとKIDは窓へと身を翻した。
唇を押さえ、KIDが消えてさらに数分ぼんやりした後
「なんで・・・こんな事したんだ?」
おとぼけな彼は首をかしげつぶやいた。もしや新手のいやがらせか?とか
真剣に思っている彼に、KIDの熱い思いが届く日はくるのだろうか?
彼はにぶいぞ。負けるなKID。
※おまけ※
「あーやばかった。あれ以上いたらかーなーりぃやばかった。
だけどなあ、俺って子供オッケーだったのかあ。知らなかったなあ。
しっかしこれで俺の思いも伝わっただろうし・・くぅぅぅ可愛かったなぁ。」
空を飛ぶKIDはとても人様にみせられないようなデレデレの顔をしていた。
気づかぬまま素のしゃべりかたでぺらぺら独り言をつぶやく。
残念ながらまったく自分の思いが伝わっていないなど考えもしないおめでたい
彼なのだった。