KIDの苦悩(後編)


「じゃあ灰原さん、コナン君また後でねーー」
大きく手を振る歩美ちゃんに手を振りかえす。
「じゃあな、コナン遅れてくるんじゃねーぞっ」
げんたの言葉に引きつった笑みでわかってるよと返す
(はは。おめーじゃあるまいし。)
「明日の事は家族に聞いておけよっ。」
俺の言葉におうっと三人は威勢よく返事した。
(返事だけはいいんだけどなぁ)
げんたなど忘れそうだ。苦笑しつつじゃぁなと手を振り灰原と二人
歩きだした。

「しっかし博士もどっか出掛けるの好きだよなぁ。暇なのか?」
「さあ?歳とるとたまには若い子と遊びたくなんじゃない?」
腕を頭の後ろで組んであきれた声をだす俺に
相変わらず灰原は冷たい返答を返す。
「おいおい。」
さすがにそれは言い過ぎなのでは。
「いいのよ。歳とってるのは確かなことなんだから。もうすぐアルツハイマーになるかもしれないわね。」
「アルツハイマーって・・・いや確かにそんな歳だけどよ。」
アルツハイマー。痴呆の一種。俗に言うぼけのことだ。「洋子さんやお昼ご飯はまだかね?」
「もうおじいちゃんったらさっき食べたでしょ?」
そんな感じだ。


「博士がぼけたらお前がめんどうみるのか?」
「仕方ないわよね。かくまってもらってる恩もあるし。」
肩をすくめやれやれと言った風に返答する。いかにもめんどくさ気だが俺は知ってる。
灰原は結構博士に心をくだいていることを。
なんだかんだ言いつつ大切にはしてるんだよな。こいつ。
「ま、あれだけ元気ならまだまだ大丈夫だろ?」
「甘いわね。突然くる事もあるから怖いのよ。一年後には寝たきりになってるかもね。」
おお。あいかわらずブリザードな事言うやつだぜ。
「どちらにしても一年後なんて私たちもどうなってるか解らないわよ。
このままかもしれないし。戻れるかもしれない。もしかすると・・・この世にはいないかもしれない・・。」

・・・なんでこいつは話を暗く暗くするんだろうな?趣味か?
本気でそう思ってる事がうかがえるからよけいにたちが悪い。
「お前なぁ。一年後には戻ってなきゃ俺は進級できねーじゃねーか。」
ただでさえ出席日数やばそうなのに。戻れる。俺は信じてるから。
「あら?進級する気でいたの?」
本当にビックリした顔の灰原に俺は据わった目を向ける
「バーロー。俺はやると言ったらやる男だぜ。」
半分はったり。半分は本気だ。しかも進級はどうやら今までする気でいたな。
そうか留年もありえるんだよなこのままじゃ。やっべーよな。
「そのお気楽思考のひとかけらでもわけて欲しいくらいだわ。」
ふうっとやるせないため息をつく小学一年生。どうみても人生に疲れた老人のようなため息だな。
マイナス思考になったってなにも解決しないと思うんだけどなぁ。
今はとりあえず明日のドライブで何事も起こらない事でも願ってるかな。



「な・・・なんなんだあの会話は・・」
ひっそりと聞いていた俺は唖然とした。
本当に小学一年生なのかこいつら?
大人顔負けの会話だなこれは。
しかもなにやらツーカーの仲・・・おのれ俺を差し置いて。
って何に対して怒ってるんだ俺は?
心の中で百面相をしつつなんとか気づかれず彼らの後をつける。
「じゃあな灰原。後で博士ん家行くから博士に言っておいてくれよ。」
「わかってるわよ。遅れないようにね江戸川君。」
げんたという少年が言った言葉をあえて言う灰原にコナンは眉をよせ
「お前なぁぁ」
と盛大なため息をつく。
「ふふ。冗談よ。また後で。」
意味深なほほえみを残し謎の少女は退場した。
俺・・あいつ苦手かも・・。紅子とどこか共通したところがあるような気がする。
謎があるっつーか。裏のありそうな笑みとか・・・
首をコキコキやると脱力していた力をよいしょと取り戻しコナンはまた歩きだした。
今現在すんでいる毛利家へと。

さて・・・どうするかな?収穫はあったようななかったような。
これ以上つけてもなにも見つからなそうだし。
とりあえずコナンの普段の生活を見れたということで、あの謎の少女との
謎の会話の内容も気になるが今日はこのへんにしておくか。

また明日があるしな。

明日はちゃんと変装してこよっと。


明日も来る気の快斗。すでに彼は当初の目的を忘れているのかもしれない。
「とりあえず、今日の分の写真でも撮ってからかーえろっ」
ウキウキと何故か持ってきたカメラを取り出す。
隠し撮り。なんのためにとるのか?
「うーんやっぱいい顔だなぁ。あっちょっと変になっちゃったもう一枚っ。」


行けっ快斗負けるな快斗。
君の苦悩はどこへ行った?
変態街道まっしぐら。
彼の苦悩はまだまだ続く。(らしい)

END

   

ひとこと

ああ・・・何故でしょうね?せっかく最初シリアスで決めてみたのに。
やっぱり快斗くんはギャグキャラでいて欲しいのかな私?
どうやって終わろうか大変悩みましたよ。
なんか文が変なのは気にしないで下さい。読み返さずにさくさく話書いていってるから・・
しかし苦悩?苦悩ってなに?それおいしい?って感じですね私が書く快斗君は。
シーーリアーーース戻ってこぉぉぉぉぉいっ。