学校対抗
     チョーーウルトラスーパー
                バトルロワイヤル





「はーい。選手のみなさーーん♪コチラでプログラムを配ってまーす。欲しい人はとりに来てくださいねぇ」

・・・欲しい人?

全員に配るのでは?という多いなる疑問を持ちつつも、人々は声の聞こえたほうへと歩き出した。


場所は都内のとある大学敷地内
大きな運動場に
なにやら予想以上に大勢の人があつまっていた。
まるでバーゲンセール会場並みに
最初それを見たときコナンは心底呆れ返った。

(馬鹿がこんなにいる・・・)

あの誓約書にこれだけの人数が同意したというのが恐ろしい


「ちょっと取ってくるけど来る?」
「待ってる」

人の多さにすでにヘバッていたコナンはぐったりしゃがみこみながらキッパリ首を振った。

やっぱりね。
そんな笑顔を浮かべ快斗は歩き出す。

「コナンちゃんは相変わらず我がままさんですねぇぇ」
ふふふん。と鼻歌を歌いながら楽しそうに配布されたプリントを受け取った。
どれどれ〜

手元のプリントを覗き込もうとしたちょうどそのとき後ろから勢いよく肩を叩かれ快斗は思わずプリントを落としそうになった。

「おっとぉっ」
「驚かせてすみません。」
あわてて宙に舞ったプリントを掴み取り、振り返れば記憶にある顔が二つばかしそこに。
こいつらは確か・・・・


「黒羽先輩っ」
子犬のようにまとわりつくツンツン跳ねた髪の可愛い少年と
和服が似合いそうな美形な眼鏡少年。
このコンビは非常に久しぶりに眺めたなぁ
と感慨深く思った。

「よー久しぶりだなー辰巳。それに乾。」

「はい、ご無沙汰してます。お元気そうでなによりです」
丁寧な挨拶で90度頭を下げたのは乾 綾人(いぬい あやと)。

快斗の腰にしがみついたまま、嬉しそうに目を輝かせるのは相田辰巳(あいだ たつみ)。

二人とも中学時代の後輩で、快斗の手品のファンだった。
尊敬する先輩とばかりによく付きまとわれたものだ。

頭はいいがどこか一本違う(変とも言う)乾は端整な顔立ちに黒い髪、
袴でも着せたら似合いそうな日本的な少年だ

対する茶色がかった髪の辰巳は小柄で、かわいい。
160あるか、ないかの身長でいながらバスケ部のエースだった。

「っつーかお前らまだつるんでたんだなー」

「ひどいですよー黒羽せんぱーーい。オレすっげー頑張って乾の学校入ったんっすよー」
「へー。そりゃ頑張ったな。・・・とか言ってどーせ部活の推薦入学だろ?」
二人の胸につけられたゼッケンはとあるバスケが有名な高校名が書かれていた。

「えへへ。ばれちゃった。」
肩をすくめ乾に舌をみせると辰巳はぐっと頭ひとつ分以上高い快斗の顔を見上げた

その瞳はキュルルンとしてて小動物を連想させる。
ああ・・こういうのに俺って弱いのよね
一番最愛のわがまま爆裂小動物を思い出し胸をきゅんとさせた。


「実は中森先輩に黒羽先輩が参加するって聞いたから探してたんですよーー」

「へ?アホコ?ふうん」
辰巳の言葉に青子が後輩と未だ連絡をとっていた事実を知りちょっぴり驚く。
(マメなやつだなーあいつも)
「オレ、てっきりパートナーは中森先輩だと思ってました」
「僕もです中森先輩も参加されると聞いていましたし」
辰巳の言葉に乾が言葉を重ねる。

「ああ?まっさかぁ。何で俺がアホアホアホコと組まなきゃなんねーんだよ」
はたから見ればおしどり夫婦にしか見えないからだろう
心底不思議そうな快斗に二人で苦笑する。
「まぁそれはどーでも良いとして〜。俺の相方、今いねーから後で紹介してやるな」
「はいっ楽しみにしてます。」
「どーでも良いってかなり中森先輩に失礼な。今度きちんと伝えておきますね」
気にもしてない辰巳をよそに乾はきっちり聞き取り、チクリの宣言までしてきた。

「乾君・・・。今度ジュースおごってあげるからそれはやめておこうね」
「ポカリでいいですから」
「はいはいっっっ!!」

油断も隙もない上に、遠慮もないときたもんだ。
ホントにお前俺のこと尊敬しているわけ?と快斗が尋ねたくなっても仕方あるまい。


「じゃ、俺は戻るからさ。後でな。」
ヒラヒラと持っていたプログラムを振り去ろうとしたそのとき
ポンッと辰巳が手のひらを叩いた。


「ああっそう言えば先輩は知ってますか?今回小学生をパートナーに連れて来たバカなヤツがいるって凄いうわさになってるんですけどーー本当っすか?」


「う・・うん。本当だけど・・・。」

「てっきりただの噂だと思ってましたが黒羽先輩がそう言うなら事実なんでしょうね。なに考えてるんでしょうね勝負を捨てているとしか思えません」
「ホントーちゃんと誓約書読んだのか怪しいって」
二人にしみじみ言われ



「あ・はは・・・・・・」


悪気はないのだろう
うん。きっとないはず。
とりあえず引きつった笑みを返しておいたが
(相方見せたらどんな反応すんだろこいつら)
ちょっと・・
いや、かなり楽しみになってきたような怖いような

あははは。

(ごめんなーそのバカでーーーーーー!!)








プログラムは開会式の流れが書いてあった。
その後ろには
第一ゲーム
第二ゲーム
・・・・

あのー・・ゲーム内容書いてないんですけど・・・

もらっても全然意味のないプログラムだったと言えよう。


「ふーん。なんか開会式だけで一時間とってあるな」
一人あきれ返っていると
後ろから覗き込んだコナンがめんどくさそうにつぶやく
一時間この寒空の中立ち尽くすのがきっと嫌なのだろう。

「まぁこれだけいれば整列だけでも時間くいそうだしね〜」
仕方ない仕方ないとなだめてから腕時計をチェックした。
開会式は朝9時からとなっている
現在8時40分
開会式までまだかなり時間がある


「あれー快斗はっけーーん!!」
「おやこの人の群れの中よく会えたものですね」
ビッシィと指を突きつけ盛大な声をあげたのはもちろん快斗の幼なじみ中森青子である。
あわてて駆け出してくる。
そしてその後ろから悠々と歩いてくるのは青子の今回の相棒、白馬探。

「うーん。なんだか良く知ってる人に会うなぁ」
「ほかにも会ったのか?」
「さっき中学の後輩にね」
「俺なんか蘭が参加してたらどうしようかとヒヤヒヤしてるってーのにな。」
「ああそっかー蘭ちゃんいてもおかしくないよねぇ」

しみじみと頷いていると
ようやく到着した青子が首をかしげた

「あれ?快斗のパートナーって・・・・・・・・・・この子?」
「そ、コナンちゃんでーす。よろしくぅ」
トンとコナンの後ろ頭を押し出し青子に突き出す
「江戸川コナンです。えーっとはじめまして」
にっこり
筋肉ムキムキまっちょまんとか
めがねのヒョロヒョロ勉強一筋男とか
そんなのばっかが跋扈するこの運動上で唯一のオアシスのように感じたのは快斗だけではあるまい

「はじめましてーコナンくん。おねえちゃんはね中森青子っていうの。快斗の幼なじみなんだよ」
腰をかがめどうやらファーストコンタクトは穏やかそうです。
ただし
そう見えたのは表面だけだったらしく、渦巻く疑惑とその他もろもろの感情に実は青子とっても冷静に切れていた。

「快斗。ちょぉっと話しがあるから今から顔かしてね♪」

コナンに聞こえないように言われた誘いのお言葉に快斗は背筋をとっても冷やした。
「お・・お手柔らかに・・・」


よくわからないまでも引きずられていく快斗を朗らかに見送った白馬、コナンの二人。


「女性とは本当に強い生き物ですよね」
しみじみと語る白馬の言葉に

(そんなコメントで済むような問題じゃない気がするんですけど・・)

そう思いつつコナンは

「そ、そうだね」

無難に同意しておいた。





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ごめんなさい。戦いまだ始まってませんーー(涙)
次は絶対に・・ええ、絶対にっっ
今回の新登場の二人。辰巳と乾です
十二支から名前をとってます〜
なんかお気に入り♪


03.9.23