学校対抗
     チョーーウルトラスーパー
                バトルロワイヤル30




さぁ彼らを待ち受ける最後の難間がやってまいりましたぁぁぁぁぁ



そんな叫び声がつるっぱげのあの男の口から出てきたのはちょうどコナンと青子が快斗の元へと戻ってきて、何をしていたかしつこく問い詰められていたとき。←コナンは無視していたが

なんか叫んでるぞ?
とそちらを見た人々。
もちろん警察陣も例外ではない。

むしろあの世界の時田の図太い性格を欠片すらも知らない警察陣のほうが目を丸くしていたかもしれない。

選手の誰もが「まぁ、あの司会者だしな」と慣れきった気分で注目していると時田は隣に藤堂を呼び寄せ(すっごい嫌そうに近寄っていたが)高らかに叫んだ。


「きみたーーちっ。今回のゲームのルールはもちろん覚えてますよねー?さぁって、そこでこのたびの宝を手に入れた人っっ元気に手を上げてくださーーーいっっ!!」


すっげーよ時田。
まだそこに犯人いるってのにゲーム続行する気満々かよ・・・。

とはその場にいる誰もが胸に抱いたであろう言葉。
そして

「あんな状況下でんなこと忘れてるに決まってるっつーの」
と珍しく常識的な言葉を呟いたのは快斗。

だがしかし。

「あ、はいっ」
「はーいっ」
傍にいた白馬と青子が嬉しそうにパッと手を上げたのを見て快斗は顎を落としそうになった。

(さ・・さすが天然コンビっ。あの状況下でもきっと余裕で宝探しをしていたのだろーな・・・)

そして更には
「失礼ながら実は僕達も」
「宝見つけちゃったっすよー。すんません黒羽先輩」
と乾、辰巳の両名もすっと手を上げた。

うわぁぁんものすっごい負けた気分。悔しいーーー。
他の誰に負けるよりこの二組に負けたのは快斗にとって悔しい。

天然と後輩。
一番やっかいかもしれない。


「・・・・・・・・・・・はぁぁぁぁぃ」
「へ?」

そんでもって一番仰天したのが・・・

「実はゲットした」
「こ・・コナンちゃん?」

隣にいたコナンがめんどくさそうに手を上げたことだろうか。

「ほら。お前も一応手ぇあげてろ」
「あ、うん」
いつの間に?なんて思いながらも手を上げる快斗。
なにせ2人が別行動をしたのは緊迫感漂いまくってからであり、そんなゲームをしている余裕はなかったはず。
まさか通風孔においてあった・・・なんてある訳無いし。

「どこにあったの一体?」
「ああ、人質とられてた部屋の近く。おかげで爆破を回避できた。ラッキーだったな。」
「・・・はぁ。そうですか」
あの状況で宝を手に入れようと考えたコナンの余裕っぷりと、さらには悪運っぷりに言葉も出ない。

解っていたけど・・・知っていたけど・・・コナンちゃんってコナンちゃんって・・・。

「やっぱり凄いや俺の名探偵は!」
「はいはい」

ぎゅうっと抱きつく怪盗におざなりに頷きコナンはポケットにいれてある「宝」を時田に見せるために歩きだした。



「はいっ確認終了です。三組ともあたりですよ〜では代表者一人ずつ前へでてくださーいっっ」
「コナンちゃんゴゥッ」
「は?この場合普通はお前が出るのが筋だろ?」
「いいからいいから〜」

無理やり背中を押され訳がわからぬまま進み出る 




「揃いましたねーでは最後の勝負ですっださなっきゃ負けよ〜」 

は!!!? 



何を言われたのかわからなかった  
なのに悲しいことに体は見事に反応した


「最初はぐーっ」

じゃんけんぽいっ。
何故だろうか。代表の三人(コナン・辰巳・青子)は訳がわからないのに無意識にきちんとじゃんけんをしていた。

「いやぁ最短で決めるにはサイコーの方法ですよねこれって」
「・・・・そうか?」
時田の満足そうな言葉に藤堂は激しい疑問を口にした。




「はーいっそれでは優勝者を発表しまぁぁぁす。優勝者は701番。黒羽、江戸川ペアでーーーす!」
一撃で決まった勝負。

もちろん運でコナンに勝てる者がいるはずもない。
そして運であるから誰もが仕方がないとも思う。
だがしかし

なんだこの勝利の実感のなさはっっ。じゃんけんのせいかっ?テロのせいかっ?
「納得できるかぁぁぁぁ」



優勝を手に入れた小さな子供だけは大変大変不服そうであったが。

怒りはすべて万歳三唱する背後の男へむかったらしい。




優勝旗を手にした一行(快斗・コナンペア&一応準優勝となった白馬・青子ペア)は意気揚々と、学校へと向かっていた。

そこに休日だというのにご苦労なことに校長が結果報告を待ち望んでいるのだ。
ちなみにすでに敗退した組は敗退したその日に報告にいっているらしい。

「いやぁ終わりよければ全てよしってねっコナーンちゃん♪」
「俺はすっげー納得いってねーんだけど」

小さな手の平ににぎりしめた白い物。

「最後の勝負も気に食わないが・・・これが宝ってのが許せんっ」
「あっっ青子もっっっっむかつくっっっなんで宝なのっっっっもーー地面に投げつけてやりたいっっ」
「などと言っている中森さんはなんとなく可愛くて気に入ってるんですよねそれ」
「白馬君っこれは白いただの人形なのっアレとはまったく別物なのよっっっ」
「・・そうですか。」

白い・小さい・手作り。その条件にぴったり当てはまったその品。

「そこまで言うかアホコめっ。俺は宝バンザァイて感じだけどなにが悲しいってこれが時田さんのお手製ってとこかな」
思わず皆でコナンの手に握りしめられた物体を見てしまった。

かわいらしくデフォルメされた手の平サイズのキッド人形。
確かに可愛い
しかしこれをあのハゲがちまちま作ったいうのか?
想像したくない話しである。

「ま、そんな事は綺麗に忘れてっ優勝旗を校長に見せびらかしてやろ〜」

旗というものはもちろん畳んである。棒も当然組立式であるし一応持ち運び可能なサイズに箱に収納してある。

それを学校へで組み立てなおし一年間飾り、来年次の優勝者に渡すのだ。

その旗を持ち運んでいるのは当然優勝者。
そんでもって当然ながら力持ちの快斗である。

その快斗。
学校の前につくといそいそと箱からとりだしそれを組み立て始めたではないか。

「・・・なにやってんだ?」
「んー。自慢するためにほら、やっぱり旗がパタパタ〜ってなってるほうが優勝旗っっって実感沸くでしょ?」

コナンを相方に選んだ快斗に校長は不審な目を向けていた。それがヒッジョーーーに気に食わなかったらしい。
ので、「ふふん。小学生がパートナーでもほぉぉぉら優勝しちゃったよん♪さっすが俺のコナンちゃんっ」とむしろ優勝旗より優勝した自分のパートナーを自慢したい様子である。


「かーーんせーーーーいっっ」

よっと軽々もって見せたが意外と重みのあるそれを片手でいきなり振って見せた時はコナンはもちろんのこと白馬や青子も目を丸くした。

「か・・・片手で振れるもんなのかフツー?やっぱこいつおかしいってぜってー・・」
「く・・黒羽くんっ。一応それは来年にはお返しするものですから乱暴に扱うのは―――――」
「だぁいじょうぶだって。こーーーちょーーーせんせーーーーーーーー」

白馬にヘラヘラ笑ってみせ、それから勢い良く叫んでみせた。

校内には校長しかいない。
だからして校長は校長室にいながらにその声をはっきり聞き取った。
なんだ?
と思い窓から顔を出してみればそこには旗をブンブン物凄い勢いで振り回す自分の生徒が・・・・。



く・・黒羽快斗っっっっ

その隣に小さな存在を認めて、ああ、あれがパートナーにした子かなんて考えつつもとにかくその旗の存在に驚いていた。



「黒羽君っっっっっ」
「あっほら見てこーちょー。これ優勝旗ーーーー。1位だったんだよーー凄いでしょーー」
小学校のかけっこで一等だったような子供となんら変わりない無邪気な喜びよう。
それに校長はとにかく青くなった。

何故って?



「いったい誰から奪ってきたんですかっっっきちんと返してきなさいっっっっ」





校長先生はその後今回のゲームの司会である時田から

「お宅の黒羽コンビが優勝ですよ。おめでとうございます。いやぁあの2人は本当に凄かったですよー。殺人強盗犯から人質を相方の小学生が1人で救出してしまったらしいですし、黒羽君は余裕でリーダーまで捕まえてしまいましたからねぇ」

などとどこに驚けばいいのか解らない電話を受けるまで快斗の言葉を信じてくれなかったらしい。


信用されないにもほどがあるだろ…


「可愛い生徒を信じてくれないなんて校長先生のばかぁぁぁぁぁぁ」
泣きながらの快斗の抗議に
「いや、黒羽君ならなんとなくお茶目にそういうことしそうで・・」
などとしどろもどろにフォローにならないことを口走った校長にさらに快斗はすねてしまったという。

ちなみに
「校長に一票」
「青子もー」
「黒羽君ならやりかねませんよね。仕方ないですよ黒羽君」

三人とも校長に同意見だったらしい。






余談だが。

「それにしてもよく解りましたねコナン君」

あの最後のパズルである。
確かにあっという間に解いてしまった。
もし初めてみたものならさすがの自分も1時間はかかるだろう。
そんな難解なパズルだったのに・・・・。


尊敬の眼差しで見つめてくる素直な白馬にコナンはなんとなく視線を逸らした。
言えない、アレは自分が作った物だなんて。
快斗は多分気付いてるのだろうニヤニヤ見ている。←助ける気は無いらしい

「えっと・・・昔似たような問題が本に載ってたんだ」
やけくそ気味に言い訳を口にすれば白馬の目は輝いた。

「それは何と言う名前の本ですかっ是非読んでみたいです」

ハハ・・・
いっそ白馬の為に作ってやりたくなるくらいの嬉しそうな顔に今更『嘘です』なんて言い出せないコナンは必死に「忘れた」を繰り返した。

白馬はほんっとーーーーにしつこかったという。



おしまい。




長らく。なーーーがーーーらーーくーーー。
お待たせいたしました。ようやく完結です。ようやくです。
涙が出てくるのはこれは完結の嬉しさ?
いや情けなさゆえです(笑)あまりりの更新の遅さに本気で申し訳なかったので。
イルカさんっっ。長く、そして遅くなってしまって本当にすみません。
まさかこのようなバカげた話で30話までいくとは思いも寄らなかったです。
全然リクエスト完遂できてないですが、
こんなものでも楽しんで頂けたら大変嬉しいです。

これにてキリリク小説終了です。
お付き合い本当にありがとうございました〜


06.1.22