コナンさん+快斗君ハッピーバースデー&当サイト3周年記念小説
珍しく。KID×コナンっす
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「やっぱりな」 「どういうことだ?」 コナンの言葉にKIDは聞き返す。 またもや言葉が乱雑なほうに戻ったな、と思いながらコナンはあっさり述べる。 わざわざこんなビルのこんな高さを選んだあたりで逃走経路はわかるってなもんだ。 「パラグライダー。お前と同じ戦法だろ。空から逃げるだろうとは思っちゃいたが」 「・・・・」 はっ。あんまり予想通りなんで笑えるっての。 バッと開かれた2つのそれに上から冷笑を落とすコナン。 見ていて背筋が冷える笑みだった。 「KID。石貸せ。俺たちも今すぐここから離れるぞ」 「ああ」 偽物の宝石を思い切り二人が飛び出した方向へ蹴り飛ばし、二人はすぐにKIDのハンググライダーで別の向きの窓から飛び出した。 「すぐに爆破するつもりだろどーせ」 ある程度の距離を稼いでそれから爆破。 俺たちって証人がいなくなれば爆弾はまた適当に作って仕掛けることができる。 ま、判りやすいこった。 まぁ逃げられることはないと思うが一応、と思い ポケットから携帯電話を取り出し警部に一報を入れることにした。 「目暮警部ですか?爆弾見つけました。」 やはりKIDの石がそうであったこと。 今現在の位置。 犯人が逃走したこと。 間もなくここいらが爆破されるであろうこと。 言うだけ言って 「すみません時間が無いので」 『え?あっ工藤君っ―――――』 返事を待たず電源ごと切ってしまった。 「目暮警部も大変だ」 「中森警部ほどじゃねーだろ」 くくっと二人で笑い出す。 「そういえば宝石・・・」 取り返しそびれた事を思い出し、ちっと舌打ちをするとKIDはあっさり恐るべき言葉を口にした。 「これだろ。」 へへんっと自慢げに手のひらに出してみせる。 偽物は爆発したのだからこれは本物だろう・・・・・・・ 「いつの間に!!?」 「それは企業秘密ってな」 軽く片目をつむってみせた。 「まぁ壊して中森警部に怒られるのもイやだしー。」 「ソーデスカ。」 おちゃらけて見せるKIDにため息をついたコナン。 それを見ているうちに、今日、本日、この大切な日に、この石を狙った意味をKIDは思い出した。 「そういや坊主。この石の名の由来を知ってるか?」 「願い事が叶う石、だろ」 シューティングスター。 流れ星。 由来はそのまま願いが叶う。 金運を上昇させたり、邪気をはらったり、石にもいろいろよくあるが、これもそんなものの一つだろう。 「んな子供騙し今更だれが信じてるって?」 「信じてる人は星の数ほど」 「あほくせー」 はっと鼻で笑うとキッドは苦笑した。 「その名がつくだけの実績がある。そうは思わねーか探偵君や?」 「実績ねぇ」 「必ず叶えたい願いがあるだろ?」 「余計なお世話だ。」 元の姿を知るこの怪盗に言われると非常に痛い。 そりゃあ早く戻りたいさ。 でもな 「あいにく自分で出来る事は自分でやる質でな」 そう言ったコナンに白い怪盗は抑えきれない高揚感を感じた。 言葉の内容にか、自信満々なその表情にかわからない。 だが江戸川コナンという生き物に感動を覚えた。 小さいのにドデカイ彼に何度心を奪われただろうか。 悔しい思いをさせられたのも初めてなら、こんなにも嬉しい思いをさせられたのも彼が初めてだ。 「ああ。でも一つ。自分でできないことがあった。それ貸せ」 「?どーぞ」 上向けた手のひらにポンと載せれば小さな片手で包み込み一心に何か願い始めた。 バランスを崩さないようにKIDが子供の腰を支える。 名探偵が自分でできない願い事・・・・・ 何かあったっけ? 幼なじみの彼女のこと? あんまりそーゆー事頼みそうにないよなぁ。 「ひき逃げをされた」と言われたKIDは、多分無意識に少女は助からなかったのだと思っている。 まさか今現在、病院で意識不明の状態で寝ているなんて思いもつかなかった。 「これでよし。」 そういうとその石をそのまま自分のポケットにしまいこんだ。 「・・・・・返していただけませんか?」 「あ?これはちゃんと持ち主に返しておいてやるから安心しろよ。」 「・・・・まぁそんな事だろうとは思ってたけど」 空を仰いで抜け目無い探偵に嘆いてみる。 「探偵がウソついた・・貸せって言ったから貸したのに返してくれない・・・」 「おいっそこっっこれは元々お前のもんなのか!!?」 「違うけどぉ今は俺のだもん」 「盗人たけだけしいっっ。今も昔も持ち主のもんだっお前のものには一秒たりともなってねーーー」 「・・・ちぇっ屁理屈だけは一丁前なんだから。これだから探偵ってやだねー」 「こそ泥に言われたかぁねーよ!!」 あっはっは。 鮮やかに笑うとKIDはスイッとコナンのポケットから奪い返した。 「あっ」 非難の声と同時にドデカイ破裂音が聞こえる。 それは当然あの二人の逃げた方向から。 反対方向へ飛んでいる自分たちですらかなりの余波が来た。 爆風で建物が揺れる。 窓ガラスが風圧で粉々に破壊されていた。 「おい。こいつ墜落するとか言わねーよな?」 「ご安心を。そこまで柔にできてないんでね。」 軽口を叩くがあまりに強い風圧と、二人分の重さで操縦が困難になる。 ガッと建物に引っかかりそれでも無理やり体制を整えてそ知らぬ顔で操縦する。 (やっべーかも) 「あの二人もしかして怪我程度じゃすまないんじゃねーか?」 間違いなく墜落しているだろう。 「ったりめーだろ。その為にわざわざ逃がしてやったんだからな」 「け・・計算ずく・・・。しかも俺を巻き込んだのは逃走用?」 「それ以外に役立つか?」 「・・・・」 きついっ ものごっっつキッツイよ。今日の探偵君はっっ 俺ってば傷心よー なんて言って見せたいがそんな余裕がなくなってきた。 やべーよマジで。 さっき引っ掛けたせいか? 完全に操縦が利かなくなってきた。 破壊された建物の中心へとハンググライダーが流される。 KIDは考える。 あーあ。 せっかく名探偵との二人っきりの空のドライブもお開きかぁ。 墜落するかの瀬戸際でそれどころでは無いだろうに余裕な思考である。 「なぁ。ハンググライダー任せても大丈夫だよな?」 「は?」 「ちょいとアクシデントだ。この鳥は羽を折られた」 「おい」 やばいじゃねーか。 すぐに理解した子供は青ざめた。 「そう。二人を乗せて飛ぶことは出来ないが―――――」 その言葉と同時に突然バランスが崩れた。 一人分の重さが無くなったのだ。 「うわっ」 「探偵君一人ならなんとかなる」 ってな。 口の中で呟きながら予定していた建物の一角に見事着地してみせる。 慌ててなんとか体勢を整えて振り返れば、崩れ落ちる建物の一部に立っているKIDを見つけてしまった。 今にも崩壊しそうな足場に平然と立つ気が知れない。 「どーする気だっっ」 未だおさまらない風に負けないように叫ぶ。 心配を受け止めたKIDはニヤリと空を指差した。 なんだ?と指の先を見上げてみれば 「小型の飛行船・・・」 しまったっ。仲間かっっっ。 この壊れたグライダーではまともに飛ぶことはできない。 悔しいが追いかけるのは諦めるしかない。 「仕方ねー。今回は見逃してやるっ。この石に免じてなっっ。」 子供が持つものをみてKIDは一瞬本気でうろたえた (いつのまにっ) だがそんな事おくびも出さず怪盗は優雅に笑ってさえみせる。 「ま、今日は特別な日だからな、大人しく負けてやるよ。 それにしても手癖の悪さは俺以上じゃねーか探偵くん?」 (特別な日?) コナンは疑問に思ったが、それより聞き捨てならないことを言われたので反論する。 「必要に駆られなきゃやんねーよ」 手のなかの宝石を握り締めてニッと笑った最高の探偵に今できる一番綺麗な形で頭を下げる。 飛行船から降ろされた一本の細い紐に手をかけるとフワリと建物から足が離れた。 ほんの数瞬。 次の瞬間足場が崩れ落ちた。 見事なタイミングである。 そして見事な度胸である。 それに敬意を表してコナンは精一杯叫んだ。 「KID−−−−。こいつはハズレだ。安心しろよっ」 知りえなかったはずの情報に驚いた顔で振り返ったKIDは、すでにこちらを見ていない探偵に向かって嬉しそうに微笑んだ。 「さんきゅ、名探偵。」 嬉しさのあまり泣きそうになったがそれをグッとこらえて本日一番のメインイベントの開始の合図を空に向かってほがらかに叫んだ。 「ジイちゃんっ例のもんお願い」 予想通り最高のフォローをしてくれた寺井にぶら下がったまま頼む。 「かしこまりました。坊ちゃま早く昇ってこられないと巻き込まれますよ」 「うん。すぐにあがる。そうだジイちゃんありがと。よくここが分かったなー」 スルスルと飛行船まであがるとヒョイと中に乗り込む。 「もちろんチェックは抜かりありませんよ。」 「さすがジイちゃん。最高のパートナーだよ」 その言葉に思わずホロリときそうになった寺井はうつむいたまま告げた。 「さて、準備完了。行きますよー」 コナンは地面に降り立つためにギュッと取っ手を腰に引き付けた。 壊れたグライダーはちょっとでもバランスを誤ると墜落する。 それでも自分一人になった分まず大抵落ちることはないだろう。 悔しいがKIDのおかげである。 「あーちくしょ。まぁいいけど」 呟きながらそういやあの二人は逃げたのか? と今更なことを思い出す。 あの二人とは佐々木と亀田のことだ。 「げっ忘れてた。」 一応向かい側とは言え結構距離があったのでそこまで建物は酷い被害は受けていないとは思う。 だが、台風の中にいるようなもので屋上にいる以上、吹き飛ぶ危険性があった。 「うわーっおい。無事でいてくれよー」 頭を抱えたい気分で嘆いたとき、視界に黄色いものを捕らえた。 なんだ? 黄色? ・・・・・これってまさか・・・ 「花ぁぁ?」 なんで花が空から降ってくんだ? 見上げれば花製造機の飛行船が見える。 「あいつかっ。あいつの仕業なのかっっ。何がしたいんだあいつはーー」 それは本人のみぞ知る。 頭を抱えたい気分のコナンの耳に地面からの声が届いた。 辺り一面に降り注ぐ黄色い花をあんぐり口をあけて見上げていた佐々木と亀田がようやく歓声をあげた 「うわっなんかめちゃくちゃ降ってきますけどーー」 「すごーい」 地獄と化したこの場に聖なるなにかが舞い降りたかのごとく空気が清らかなものにかわる。 元気な二人を目に止めホッとすると少しだけ心にゆとりができた。 周りをクルクル回る花を楽しむ余裕ができた。 暗い空にフワリと浮かぶ黄色は何かに似ている 目を細め眺めていたら何かの正体はすぐに思い浮かんだ ああ、星か それが上から降ってくるのだそれこそ 「はは。流れ星みてー」 そう思ったことを呟いて感嘆のため息をつく。 「こっちのが効果ありそうだよな」 ポケットの中に納められた石と比べ、苦笑する。 「歩美の・・・・目が覚めますように・・・」 頼むから。 本当に・・ これ以上ないってくらい初めてカミサマ頼みをしている。 いや、お星様頼みか? 何でもいい、自分にはどうにもできないことを叶えてくれるならいくらだって祈るさ。 心行くまで祈り終え、そろそろ地に降り立とうかと考えたとき、ブワリと風が下から強く吹きつけた。 壊れかけたハングライダーを器用にあやつっていたコナンは風にのって上から下から降り注ぐそれにまるで流れ星の一つにでもなったような錯覚を受けた。 「すっげー」 あまりにも美しい光景に泣きそうなくらい感動した 地面に降り立ちカシャンとハングライダーをおろすと未だ花が降り注ぐ空を見る 小さな花を一片手にし、空に透かしてみたりする。 「バラ・・じゃぁねーよな」 どう見てもバラには見えない。 だがコナンには花の知識なんぞまったくなかった。 だって興味ねーし。 「ヤマブキよ」 振りかえればハイヒールで階段かけあがっていたあの女性がたっていた。 ハングライダーを目指して走ってきたのだろう息が切れている。 後ろには見覚えがないが電話の向こうで走ってくれたのだろう彼女の相方が。 「やまぶき・・・」 手のひらの中の花は確かに黄色というより山吹色。 「あいつにしては珍しいな」 夜空から降らせるには最高の色合い。 だが奴が選ぶなら赤いバラか、純白の白バラのイメージだった。 色にこだわるなら黄バラだってよかったのだ。 それなのにヤマブキという花を選んだ。 ・・・安かったのか? 非常に兼摂的な意見を怪盗にむかって問うのは彼くらいだろう。 彼は納得したのか こんだけ大量だもんな。そりゃそうだ とか呟く。 本人に聞かれたら心底嘆かれただろう。 「これはやっぱり彼の魔法なのかしら」 「やつお得意の手品だよ」 なんにしても素晴らしい事に変わりはないが 「あのハングライダーは」 「あああいつの。壊れかけてるけどな。中森警部に証拠品として提出してもいいけど・・・」 困ったような顔でそちらをみた子供に何か問題でも?と尋ねようとして目を瞠った。 ポンッと小さな破裂音と煙幕がハングライダーから発生したのだ。 次の瞬間にはあのドデカイ物体は消えていた。 「ま、そりゃそうだよな」 こんなデカイゴミ置き去りにするやつは紳士名乗れないってか 予想していた子供は苦笑を浮かべる。 『・・・る?・・ん?え・・・くん・・・』 「ん?」 『江戸川君聞こえる?』 「灰原?ナイスタイミングだ。ちょうどさっきあいつらぶっ飛ばしておいたぜ。今頃爆風で空から墜落して大怪我してんだろーなー」 ま、死にゃしねーだろ 『ご苦労様。あなたにしては上出来じゃない』 「はは」 ご期待に添えたようでヨカッタデス。 『こちらも良い知らせよ。吉田さんの意識が戻ったわ』 「ホントか!!」 あの石の効果だろうか? それともこの花の? なんでもいいか、 意識が戻ったというのなら。 『こんな冗談言うわけないでしょ。それでね、こんな時間だけど今日中にあなたにどうしても伝えたいことがあるって言うから』 「歩美が?」 『ええ。それと私達から』 「わたしたち?」 首をかしげて問い返せば小さな含み笑いが返ってきた。 『いいかしら?いちにのさんはいっ』 『『『『『お誕生日おめでとうっ』』』』』 『コナン』と元太 『コナン君』と光彦 『コナンくんっ。江戸川君』と歩美と哀の声がハモル 「お前ら・・・」 それぞれの探偵団バッチから通信しているのだろう。 もう子供は熟睡しているだろう時間に。 何やってンだか ホントお前らは・・・・ あきれ返って。それから押さえても押さえきれない笑みを浮かべて照れくさそうに呟いた 「サンキュ」 「そうだ歩美。クッキーうまかった。ありがとな」 『えっ割れてなかった?』 事故のとき吹き飛んだ紙袋に入っていたプレゼントのクッキー。 このまま食べずに傷むのももったいないし、持っていきなさい、と灰原に渡された。 「うん。大丈夫。それに甘くなくておいしかったよ」 『ホントッ?よかったっコナン君甘いの苦手って言ってたから・・・』 『吉田さん。話は明日のほうがいいわよ。まだ安静にしないと。』 未だ歩美の病室にいるのだろう灰原が心配そうな声で制止の声をかける。 『そうだね哀ちゃん。うん。コナン君また明日ねっ』 「ああ。もう遅いからまた明日な。元太。光彦。お前らも。」 『ええ。コナン君お疲れ様でした。今日の奮闘劇は明日聞かせてくださいね』 「ああ。じっくり聞かせてやるよ」 『またコナン一人でずるいよなーちゃんとぶん殴ったか?』 「蹴った蹴った。だから安心して寝ろよ」 『『『じゃまた明日っ。おやすみーっ』』』 プツリと通信を切った三人の後に一人聞き取れないくらいの小ささでポツリとつぶやいた。 さっきまで歩美のバッチで通信していた哀が自分のバッチでそっと話しかけているらしい。 『江戸川君。』 「なんだ?」 『ありがとう』 「・・・ばーろ。礼言われるようなことなんかしてねーよ」 『珍しく口にしたんだから素直にとっておきなさい。また明日。おやすみなさい』 「ああ。」 なんだか暖かな気持ちで通信を切り空を見上げる。 あー気分いいなぁ。 未だ降り続ける花。 そんな中 ヒラリと吸い寄せられるように手のなかに落ちてきた一枚の紙 なんだ? と思いながら そっと小さな両手で包み込むようにとらえてみせる 電話中だからと、さっきまでハンググライダーが存在したあたりを調べていた佐々木と亀田が興味を引かれ近づいてきた。 『ハッピーバースデイ名探偵。あなたがこの世に生を受けたこと、心から感謝します』 キザな怪盗の名で締めくくられたその文に思わず笑い出してしまう。 「ははっ。そういうことか。この花は」 祝福のつもりなのだろう。 後ろから覗き込んで目を丸くした佐々木はそれから納得したように頷いた。 「ああ。だからヤマブキ。」 「え?どーゆーことです佐々木さん?」 コナンと亀田が佐々木を振り仰ぐ。 一本手に取り指先でクルクル回すと佐々木はエヘンッと己の無駄な知識を披露した。 「ヤマブキは今日の花よ」 「「今日の?」」 「そう。誕生花よ。5月4日の」 「・・・・・・・」 「花言葉は、待ちかねる。高潔。」 そこまで言われてコナンは吹き出した。 「なるほどね。特別な日、か。」 クックック 空から高潔の名を持つ花がヒラリヒラリと降ってくる 「バーろぅ」 俺が誕生花なんて知るわけねーだろ。 もう一度この夜空のどこかにいるだろうとぼけた怪盗にむかって悪態をついた 「ばー怪盗」 はっくしょん。 花の発生源からのくしゃみは誰にも聞かれることなく。 静かで幻想的な5月4日が幕を閉じようとしていた。 後日談 「佐々木ぃぃぃ。亀田ぁぁぁ。お前ら本当に現場に行ったんだろうなぁぁぁ」 「行きましたよぉ」 「もちろん行ったに決まってるじゃないですか」 編集長の青筋が怒りを物語っている。 亀田は本当のことなので口を尖らせながら言うし、 佐々木はヘロリとウソを口にしたが、慣れているのか実に見抜けないレベルのウソだった。 「それでこれか!!?」 「ええーこれ以上は無理ですよぉ。だってあんなに遠いんですよー」 「そーよそーよっ」 亀田の言葉にとりあえず相槌をうつ佐々木。 「でも予定ではもうちょっといいものが手に入るはずで―――――」 編集部の入り口に立つ郵便配達員を見て亀田は目を輝かせた。 「お届け物ですよ。亀田さん。」 ニッコリ配達員は封筒を手渡した。 「はいはいっ多分これですっ」 宛名に何も書いていないのを見て、イソイソと封を切る。 中には数枚の写真が入っているのみ。 「じゃじゃーーーん!!これですっ。これなら黒崎編集長も文句ないでしょー!!」 「うわっなにこれどーしたのよカメちゃん?」 「うむ。これならトップで飾れるくらいだ」 「どれどれー」 「なになに」 大騒ぎをする三人に興味を引かれた室内の仲間たちが覗きに来る。 楽しそうな面々を見て配達員は嬉しそうに微笑み、それから胸ポケットから一輪の花を取り出した。 「佐々木さん。」 「はい?」 「これもお届け物です」 「は?」 有無を言わさず手に握らせ配達員は耳元でささやいた。 「ヤマブキ。5月4日の誕生花ですよ。まさかご存知の方がいらっしゃるとは思わなかったので驚きましたが・・・名探偵に伝えてくださったほんの御礼ということで」 「は?」 「では」 制服の帽子の影から人をくったような笑みを見せ、堂々と背を見せる。 「あぁぁぁぁぁ!!」 ようやく正体に気がついたときには後の祭り。 亀田がどうやってKIDの写真を手に入れたのか察してしまい、思わず盛大に笑い出してしまった。 「っもーカメちゃんったら本人から写真もらうなんていい根性してるじゃない」 「佐々木さんの部下ですからねぇ」 似ちゃいました〜 二人でこっそり笑いあう。 あの凄い出来事は内緒内緒。 だってあの子供の名前すら聞いてないんだもん←うっかりミス とても記事になんか出来るわけがない。 言っても信じて貰えなさそーだしね〜 まぁいいじゃない? また運があったら出会えるだろうし、そしたらいっぱいインタビューしてデでーんっと雑誌の一ページにでもしちゃうからさ。 今回は、あの素晴らしい花舞う街に偶然居合わせた奇跡に感謝ということで、見逃してあげましょ。 だから。 KIDのことも、小さな子供のことも、 二人だけの楽しい秘密。 end |
お疲れさん。
書いた私も疲れたが、読んだ人も疲れたことでしょう。
長い長いコナンの一日が終わりました。
本当に長い誕生日だったでしょうねぇ
お疲れ様です。コナンくん。
縁真より