「国宝」の写真。国宝が消えて得する「容疑者」の写真+プロフィール。 国の現在の状況。 それらが送られてきたのは「ちょっと調べてくるな」との軽いメールを頂いた2日後 のことだった。 コレ・・・マジで2日で調べましたかコナンさん・・・。 驚愕というより、脱力してしまう快斗である。調べ方がいいのか、運がいいのか。 それこそ名探偵という肩書きがある工藤新一なら調べられるかもしれない情報だ が、一般の小学一年生である江戸川コナン(一応さらわれ中(←ホントか?))がど うやってこれを調べたのか? まぁた無茶してないといいけどな。 その後も追加情報はそのつど送られてきた。 正直な話。コナンからこんなにメールをいただいたのは初めてかもしれん・・・ なんて、コナンの名で埋まりつつある受信メールボックスを眺めてしみじみ思う。 嬉しーような、悲しーような。微妙に複雑な気持ちが交錯する快斗であった。
赤いバラが咲いた小国 10
今日中に鉱山の閉鎖理由を調べておけと言ったその次に発したコナンの言葉は お願いだった。 「見学・・じゃと?」 こてんと首をかしげた少女にコナンは頷いた。 ジッとしているのは性に合わないし、早めにこの国の状況を目で見ておきたい。 「ちょっと散歩がてら遠くの方まで足をのばしてみたいんだ。」 主に鉱山とか。と内心付け加えつつ純粋なる子供の好奇心のように見せかける。 「うむう・・今は少々国内が荒れておるからのぉ。」 国王夫妻の事故の衝撃がまだ消えぬ今、次の国王は小さな少女と考えられている。 悲しみと、先行きの不安で国内は不穏な空気が流れているという。 (良くも悪くも小さな国ってところか) 小さいからこそ一致団結できる反面、核が崩れたら簡単に崩壊していまう。 「よし、ならばサフを貸すぞ。」 「え?」 「サフと一緒ならば通訳も頼めて一石二鳥というものじゃろ?」 日本のことわざまで持ち出しての提案にコナンは眉を寄せた。 「でも、そーするとルゥの近くに安心な人が居なくなるよ。」 「んん?ワラワの警護をしてくれる者は他にもたくさんおるぞ。」 気にするでない。と笑顔でルビーは言うが、彼女は本当に気づいていないのだろうか。 この不安定な今。 『絶対裏切らない人間』なんて数えるほどしか居ないことを。 「さふ・・・頼める人いる?」 深い意味をこめたコナンの問いかけにサフィネルは目を細くさせ、それから 「ええ、明日1日の護衛をお願いしておきますよ。」 「そっか。」 この子供はどこまで解っているのだろうか。 サフィネルは激しく疑問に思う。 ホッとした表情は、まるで今の状況から推測しての感情に見えた。 『頼める人いる?』 きっと深い意味なんてなかったのだろう素朴な問いかけにサフィネルは心からの返答を返した。 この自分が信頼しているもの、ルビーを決して裏切らない者。少ないが居る。 沢山いるのかもしれないが、さすがに把握は出来ていない。 少なくとも・・・この場内の人間は今は信用する気になれない。 おかしな話だが、一番信用できるのがこの目の前にいる子供だというのだから苦笑するしかない。 「では明日お迎えにあがります。」 「んー。朝食ルゥととるからその時ここに来てくれればめんどくさくないんじゃない?」 「・・・そうですね。」 仲が良いとは言いがたいが、コナンは何かとルビーのことを気にかけてくれている。 ご飯を一人で食べないように。 城内を一人で出歩かないように。 多分サフですら気づかない程度に色々なフォローをしてくれている。 だからサフはコナンの行動に口を挟まないし、むしろありがたいとすら感じていた。 「明日の昼食はいかがされますか?」 「テキトーに外食・・は危ない?」 「今は安全とは言い切れませんね」 「じゃ、お弁当作ってもってくよ。」 その発想は可愛らしいのだが、どういう意味で危ないかを知っているのだろうか。 「お弁当!!楽しそうじゃのぉ」 「一緒に作る?まぁ簡単なものならすぐに出来るし、サンドウィッチが楽かな?」 そして2人の子供は笑顔でサフに言うわけだ。 「食材と台所の手配お願いしまーーす。」 「サフも一緒に作るのだぞ!!」 ・・・負担がズッシリ押し付けられた気分だった。 翌朝 てっきり・・ほとんど自分が作ることになるだろうと思っていたが。 「意外だな。」 「ん?」 「料理できるのか?」 「や、サンドウィッチくらいできるよ僕だって。」 確かに簡単だが 「うむーそろそろ良いかのぉ?」 「あと二分まって。ルゥはこれ挟んでて。」 「ハムとキューリとマヨネーズ?」 「そ」 「任せるがよい!」 切り終えたキューリとハムをルゥに手渡し、付け合せのから揚げまで作成しだす子供。 ついつい不器用全快でマヨネーズをパンからはみ出させている女王様と比べてしまう サフであった。





    つづく  小説部屋

時間軸がーーーと叫びつつ行ったり来たりしております。
ついてこれますでしょうか?飛び飛びな時間軸で申し訳ないっす。
うう、文章って難しいですね。
2008.10.30
By縁真