中森を追い返し、内心ホッとしたコナンは、サフが中森の為の手続きをしている間にルビーに尋ね
た。
「ここって何で国がなりたっているの?」
起きた時に窓からざっと外を見渡した(部屋が上のほうだったから見やすかった)のだが、
畑とかはあったが、工場らしきものは見受けられなかった。
のどなか雰囲気で、家がポコポコと建って、その割りに人々はなんだか裕福に見えた。
国が安定していた証拠だろう。←コナン的、勝手な推測(笑)
今は先の不安が見えるが、そんなにこの幼い子供が次期国王になるのが不安なのか?
幸いしっかり者のサフもいるのに。
「なりたつ?人々は基本的に畑仕事をしておる。後は商いをするものも、もちろんいるしーーー」
「いやいや。そうじゃなくって。貿易として、ね。」
「外との関係か。それは鉱石じゃ。」
「鉱石とれるんだ。」
のどかな国だけにちょっと驚いた。
なんか鉱山のイメージが汗臭いおっさんがガッツンガッコンつるはし奮ってる図しか思いつかない
せいか。
いっそ特産品はうちの畑で取れる五又の大根じゃ!!とか言ってくれた方が納得したかもしれない
。←それもどーよ?
「今は取っておらん」
「んん?」
「事故の前に父上が鉱山の閉鎖を大臣達に申し渡しておった。わらわも父上のお考えならばとその
まま通すように頼んだ。」
それかーーー!!
こんなにも空気が不安定な理由。
人々が口には出さないが先行きの不安をあんなにも強く感じている理由。
まだ王が生きているならば人々も少々の不安で済んだであろう。
しかし、タイミング悪く、今は王不在の状況。
しかも次期予定は子供の王様。
しかも鉱山閉鎖。
何が起こったのだろうと思う。
「鉱山閉鎖の際にちゃんと説明した?」
「父上のご意思であることはしたぞ?」
「違うって理由だよ。閉鎖するって事は何か深い事情があるんでしょ?」
「ん?」
キョトンと首をかしげた子供にコナンは目眩がする。
うっそ。マジ?
っつかサフっっっ。いやいや大臣も何考えてんの。
なんでそのまま放置?
ありえねえって。
「サフも大臣達も父上を信頼しておるからのぉ。」
それ以前の問題だろうが。
なんて暢気な国なんだ。
いや、ここの城の人間が暢気すぎるんだ。危機感ってなぁに?って勢いで。
だから国宝の宝石を簡単に盗まれたりするんだろうな。
よく今まで潰れず残っていたもんだ。
「ルゥ。緊急課題だ。」
「なんじゃ?」
「ルゥのお父さんが、なんで鉱山を閉鎖しようと思ったのか。出来る限り急いで調べること。」
「どうやってじゃ?」
「詳しそうな大臣に聞く。例えば鉱山の担当とかいるのか?」
いまいちこの国の制度がわからん。
「それはスサル大臣じゃのぉ。父上の右腕じゃっ」
「ならその人に尋ねてみて。もし。もーしーーそれでも知らないとかいわれたらお父さんの日記と
か元々鉱山で働いていた人とかに聞いてみて。」
「なるほどー。」
鉱山の担当で、しかも右腕。その大臣が知らないとしたら。・・・この国やばいよな。
なんて思いつつも最悪の状況だけは考えておく。
「のぉサフ。サフは父上が鉱山を閉鎖された理由を知っておるか?」
「私ですか?私ごときには王の考えは理解しかねますよ。おそらくスサル大臣はご存知ではないか
と」
え?嘘。サフも知らなかったのか。
「理由知らないのに誰も反対しなかったの?」
「城下の者の中には反対意見の者はいましたが、城内は・・・王に全幅の信頼をおいておりますの
で。」
しかもスサル大臣も同意していたのだ。
とまで言うサフに。
「え。どんだけ独裁政権なんだ?ってかカリスマ?」
「それだけ偉大な方だったんです。」
悲しそうに微笑むサフに亡くなった人間の文句はこれ以上いえまい。
ええー。宝石見つけるより先にこの国暴動が起きて崩壊したりしない?
なんて不安がチラリとコナンの頭をよぎったりしたが。
「ルゥ。さっきの課題は今日中と制限を付けるよ。」
「ええっ?そんなの無理じゃっ」
勉強もあるのに。いちおう国王代理としての書類とかもある。
「ダメだよ。別にルゥが動かなくてもいい。誰かを使って調べてもいい。とにかく急いだ方がいい
。」
コナンの真剣な顔にサフが目を細くした。
「コナンは内乱の心配を?」
「起きてもおかしくないよ。今まで鉱石とって生計立ててた人だっているんでしょ?その人は今ど
うしているの?」
「別の仕事を紹介したぞ。」
「うまく行ってる?」
その問いにはルゥは首をかしげた。
紹介して終了。
アフターケアは無しのようだ。
「・・ほとんどの者が退職しております。」
「サフ?本当か?」
「元々鉱山に働きに行くのは体力が溢れた男性です。いきなり机仕事を押し付けられてまともにで
きるとは思えません。」
「いっそ畑とかやらせたらよかったのに。」
ツルハシ振るうか、鍬を振るうかの違いじゃない?
体力があるならなおさらだ。コナンが言えば
「生活はギリギリできるでしょうが、今までのように裕福な生活は出来ないでしょうね。」
「なるほど。」
鉱石取りは高給取りってか。
「このまま放置したら。起きるよ、暴動は。」
断言できる。
鉱石が国を成り立たせていたのならば、国の経済も破綻するし、男性のほとんどが鉱山で仕事をし
ていたのならば、人々の生活も破綻する。
「今日中だよ。解ったね?」
「・・うむ。」
キッパリ言い切られたコナンの言葉に顔をこわばらせたルビーは小さく頷いた。
ねーねー調べてみたけどそこって鉱石が名物なんだってー?
そんな軽い快斗からのメールにコナンは半笑いを浮かべるしかなかった。
快斗へ
名物は無くなった。この国やべーよ。
byコナン
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