コナン流誕生日の祝い方




おひさしぶり〜
最近工藤家になかなか来れなかったコナンと、夜のお仕事で忙しかった快斗。
2人は結構ひさしぶりに会った。
正確には

『明日あっち行く。』

そういうメールをコナンから頂き、うきうき時間のとれた快斗は参上したわけであるが。
(あーそういやこの家に来たのってコナンちゃんの誕生日祝って以来だなぁ。2ケ月ぶり〜って感じかぁ)
コナン自身とは二週間前に学校帰りに喫茶店でうだうだ過ごしたあの日ぶりである。
あの時しか時間とれなかったんだよなぁ。俺って勤労学生っ。

などとしみじみ自分の頑張りを褒め称えつつやってきた工藤家に遠慮なく勝手に入り込み、居間で本を読みふける少年に声をかければ

「あのさ。先週お前誕生日だったろ」

挨拶もなしにそう言われた。まぁ玄関で一声かけてたし入ってきてたのは知ってたんだろうけどさー。せめてひさしぶりだな。とかひと言お返しくださいよコナンちゃん。
そんな言葉が胸の中にうずまいたりしなくもなかったが、言うだけムダであることをよぉぉぉぉく快斗は知ってたりした。←成長!

「え?うんそーだけど。」
まさかご存知とは思わなかったですよ。
目の前ちんまい子供は破滅的に俺様体質なのだ。例え記憶にあったとしてもだからどーした?と普通に流されること請け合い。
どーゆー風の吹き回し?と思わず身構えてしまう自分が哀しい。
いや、今までの扱いから考えたらしかたないとは思うけどさー。

「あーでな、その」

誕生日にかこつけて何か苛めてくる気か?と疑ってしまったが言いにくそうなコナンを見て考えを改めた。
微かに頬が赤い。慣れない事をしたから照れてるとか?

「あっもしかしてプレゼントあったりする?」
まさかと思いつつも聞いてみればパッと表情が輝いた。

(え?)

「あー・・・まあ、ありがたく受け取れ」
そう言って渡されたのはちょっと大きな箱。コナンの腕一杯のその箱を受け取って見れば

「重っ」
辞書でも入ってるのかよ?って重さの箱をよくこの非力なコナンが持てたものだと感心してしまう。
「よく持って帰ってこれたねぇ」

どこの店かは知らないが少なくとも近所は住宅街。いや、隣の家から持って帰るのすら大変な重さだ。

「通販だ」
「は?」
誕生日プレゼントに通販使うって。
さすが一味違うぜ名探偵、と妙な感動すら覚えてしまう。

「中、見ていい?」
「ああ」
珍しいくらいに照れたコナンにこっちが照れてしまいそうだ。
そんな感情、箱の中身みた瞬間にどこかの星まで吹き飛んでしまったけどな。

「・・・」
「良いだろー見つけた瞬間お前に買ってやろう!って即買いだったんだぜ。」

何やら自慢げな彼に言葉を無くしてしまう。

そっか俺に。・・・圧力鍋をか!!

「これ持って帰って母さんに作れって?」
「いや工藤の家に常備する。」
キッパリとあんさん何言うてるんですかー!

持ち帰っても困るけど、俺にくれた筈なのに明らかに工藤家用に買ったとしか思えない。


「俺の、誕生日プレゼントだよね?」
「そうだ」
「なのに工藤家に常備?」
頭がクラクラして壁に手を付きながら尋ねれば
「そうだ・・・どうした?嬉しさのあまりに立ちくらみか?」

違う。あまりに意味不明ってか哀しい事を言われてうちひしがれてるんだい!

「アリガトータイセツニツカウネ」

とにかく、俺はお子様のご機嫌を損ねぬよう礼を述べるしかなかった。棒読みなのはご愛嬌。

「そっか嬉しいか良かった。じゃあさっそくそれでトロトロの豚の角煮を頼むぜ」

快斗の本心に気がつかずニッコニコと本当に嬉しそうな笑顔を見せるコナンに

「コナンちゃん」
「ん?」
「先月の俺の手料理マジで気に入ってたのね。」

先月、コナンの誕生日にとくに贈る物が思いつかず手料理をプレゼントしてみた。
なかなかご飯を食べてくれないコナンにしっかり食べさせる口実にもなり一石二鳥だとほくそ笑んだものだ。
確かにいつもより良く食べていた。聞いた限りではかなり食が細ってしまっているらしく蘭も苦労しているらしい。
それでも蘭が作ってくれたからと頑張って食べていると本人から聞いた。

と言うことで、手料理だったから頑張ってたくさん食べてくれたのだろう。
そう快斗は思っていた。


「そっか気に入ってくれてたんだぁ」
そう考えればこのプレゼントも嬉しくなってくる。

よぉし

なんてやる気まで出てくる始末。

「とりあえずー冷蔵庫に豚肉なんて無いよね?」
「ある訳ないな」
「まずはー買出しからだね」
「うむ。スポンサーになってやろう。」
「・・・コナンちゃんの御飯じゃん」
「おまけでお前も食うだろ?」
「それはクッキング料金でぇす」

偉そうにのたまいつつ、珍しく自ら腰をあげたスポンサーと共にお買い物へ。

「なぁ」
「んー」
「クッキング料高くねぇ?」
「・・・コナンちゃんは俺の腕前そんなに安くみてるのー」

唇をとがらせた快斗に

俺の倍以上食ってるお前に何やら理不尽な思いがこみあがってきてな

なんて思いを口にせず、大人しく念願だったとろとろの角煮に舌鼓をうつコナンであった。

おしまい

えー・・・ハッピーじゃんとか思ったそこなあなた。
いや、結構哀れな物語っすよと警告までに(笑)
誕生日プレゼントって何?って感じに貰ったプレゼントは結局コナンの為だし。
誕生日なのに御飯作ってるし。
なのに快斗喜んでるし・・・
コナン「どっちも幸せで問題ないだろ?」
快斗「だよねぇ」

うう・・騙されてるよ。こんな生活に慣れてしまったのか快斗に幸あれ!(笑)
はっぴーばーすでー快斗っっ
2007.6.25