座談会 〜夜の帳〜

コ「誕生日だ」

快「・・・誕生日だね」

コ「とうとう来てしまったこの日が」

快「そんなに嫌なの?」

コ「嫌なんてもんじゃない。すっげーーーーいや」

快「今年でおいくつになられたのでしょう?」

コ「聞くなっっっ」

快「ごめん。やっぱ聞いちゃだめだった?そういえば映画も今回で第何弾よ?永遠の6歳児君」

コ「か〜い〜とぉぉぉぉ恨むぞテメー」

快「だってコナンちゃんおっきくならないから手が出せなくて僕ちゃん辛いの」

コ「・・・(ある意味ラッキーとか思っている)」

快「あ。何その目。まさか軽蔑の目?一般的高校生男子(一体何年高校生やるんだろう俺)なら普通の反応だろ」

コ「一般的・・ね。(フ。とちょっぴり遠くを見てみたりしたい気分)」

快「そりゃ普通の人よりちょびっと頭いいけどさ。」

コ「それ。俺は最近気付いたんだけどよ。IQ400ってどんなもんだ?俺ピンとこないんだよなー。ほら某アニメでIQ180の天才少女がいたけどそれの倍以上だろ?はっきり言って化けもんだよな?」

快「それ同意求めてんの?(涙)」

コ「いやこないだシミジミ考えてみてそう思ったから。とりあえずすげーっつーのは分かるけどなんか吹っ飛びすぎてさー。」

快「いいの。とっても凄い高校生って思ってもらえればそれで。とりあえず暗記とかは得意だぜ?ほら例えばこの本一冊パラパラパラパラーって読むだろ?頭から言えるぜ」

コ「試験には役立つな。」

快「結構便利。でもどうでも良い物まで覚えちゃって墓穴掘ることあるけどね。工藤新一と初対決のあの時見たいに」

コ「ああ。あれお前真剣に驚いてたもんな。普通あんな長い番号覚えてる奴いねーって」

快「勝手に頭にインプットされちゃったの。そんで聞かれたからつい答えちまうしさー正直者ってつらいね」

コ「・・・・泥ボーがなにをほざくか」

快「泥棒じゃなくて怪盗だからオッケイなのさ。さて。その前にお前今回の議題忘れてるだろ?」

コ「議題?あったのかそんなん?」

快「やっぱり・・。題してコナンちゃんおめでとう企画。」

コ「何するんだ?」

快「――――――――――さあ?」

コ「意味ねーし。まあとりあえずなんか貰えるのか?それともちょっとの間だけでも元の姿に戻して貰えるとか」

快「それもいいねぇ。一晩限りの夢の夜(お花畑へひとっとび中)」

コ「いや・・いいや。戻らなくて。」

快「なんでぇぇぇぇ(涙)」

コ「お前のせいだ!!!お前は何くれるんだ?」

快「あー明日のお楽しみってだめ?」

コ「別にいいけど延ばせば延ばすほど期待が膨らむぜ?」

快「・・・今渡す」

コ「ん?これか?でっかい箱だなー。人一人くらい入れそうってまさか人間の死体でも入ってんじゃねーだろうなー」

快「そんで事件発生謎をとけってか?それも楽しそうだけどそう言う犯罪だけはしないのがKIDの決まり事よん」

コ「決まりがなかったらやるのか?」

快「まあ、ケースバイケースで」

コ「犯罪者がここにいるぅぅぅぅぅ。けーじさーーーーーーーん」

快「やだなぁ冗談なのに。後味悪そうだしそんな事しないよ。」

コ「・・そんな理由もなにか普通じゃないし・・。と・・とりあえずこれ開くぞ?」

快「はいはーい」

コ「―――――――――――――――」

快「どう?気に入った♪?」

コ「これは・・・いいサンドバックだな」

快「違うっっ快斗人形第3号っっっ」

コ「一号と二号はいずこに?」

快「失敗したから丸めてその人形の中に突っ込みました。」

コ「なんか怨念こもってそうでやだな三号」

快「そいつを抱いて寝ればあーら不思議快斗君の夢が見られちゃうっっやったねコナンっ。これで一人寝も寂しくないぞっっっ」

コ「ふーーーーーーーん」

快「ってこらっ何故叩くっ何故殴るっ蹴るっっ」

コ「いやこれいい感じだな。殴りやすい。踏みつけるとグニグニして面白い。」

快「ああーん女王様ぁぁん」

コ「へ・変な声だすなっっ分かった踏まないからっっ」

快「ええーもう遊ばないの?もっと踏んでーーー」

コ「(怖ぇぇぇ。下手なことできねーなこれは。)」

快「そうそうこいつは高機能でな。ここのボタンを押すとー」

コ「どこだ?耳の後?えー?違うな耳の中か?細かいなー」

快「そう耳の中に指をぐぐっっと突っ込み中のボタンを押せばあーら不思議」

『コナン。あの星々にも負けないきらめきのその瞳に僕は吸い込まれそうだよ。さあこの腕にとびこんでおいで』

コ「さ・・・さぶっっ」

快「なんと快斗君の特性甘い愛の言葉が流れ出します。バージョンは120通り。全部試してみてね♪」

コ「絶対耳の近くは触らないようにする」

快「・・・目覚ましにもなるよ?ほらここにタイマーがついててね。朝この声で起こしてもらえちゃう高機能。これ結構難しかったんだけどな」

コ「いらねー」

快「しくしく。いいもん勝手にセットしちゃうから。朝の6時と7時に愛の言葉ランダムに3つずつ流れるようにセッット。これでよしっっ。ふふふふ。これでコナンちゃんを洗脳して・・・」

コ「声に全部出てるぞ」

快「う゛・・洗脳しようなんて思ってないから安心してね」

コ「ほう(白けた瞳がびしびしと)」

快「うううう・・痛い・その痛い瞳がまた・・・快感ーーーって言ったらどうする?」

コ「悪い気分悪くなってきたから帰ると答えるな」

快「冗談だから帰らないでね」

コ「それはよかった。ところでお前そろそろ行く時間だろ?」

快「あっやべ。時間に遅れたら中森警部に叱られちゃう」

コ「まるで先生だな」

快「まあ紳士たるもの時間には正確にってか。なんで警察に叱られなきゃいけないのか疑問だけどさー」

コ「あの人律儀そうだしな。KIDぉぉぉこないかと思って心配したぞーーーとかそのうち言われるんじゃねーの?」

快「すでに言われた・・・。なんか間違ってるよな?」

コ「愛されてるなー怪盗KID。」

快「年寄りの愛より目の前のお子様の愛が欲しいなー」

コ「そんなもんない。」

快「・・・即答しなくても。っつーかあーこんな日にあの石来日するんだもんなーコナンちゃんの誕生日一晩中祝いたかったのに。」

コ「結構だ。蘭のお手製ケーキが待っている」

快「頑張って食べてね。甘い物。」

コ「おう。吐かない程度までは根性みせるしかないな。しかも笑顔を持続しなきゃならねーし。頑張れっ俺っっ」

快「本当に頑張れっ。んじゃマジで時間ないからもう行くわ。」

コ「ま、お前も適当に頑張れよ」

快「はいはい(苦笑)」

ふわりと白いマントを取りだし翻すとそこにはすでに快斗の姿はなく、世界を騒がせる紳士の姿が現れた。
ニッと不敵に笑うと颯爽と空を駆ける。


コ「・・・まあ気を付けろよ。お前の今日の運勢かなり悪いらしいし」

しょせん星占いだが、それでもやはりこういう日は心配になる。
でも言わない。本人には絶対に。

クルリと見えなくなった白い怪盗に背を向けると家へと向かって歩き出す。
暗くなった夜道。
少しずつ明かりが灯っていく中今の自分にとって家と呼べる場所へ。
そこには自分の帰りを待ってくれる人がいるという幸せ。
それをかみしめながら。

大きな人形をギュっと抱きしめ、帰路につくその後ろ姿は愛らしく、怪盗はちょっと振り返りとんでもない視力でそれを見て取るとだらしなく頬をゆるめた。

怪盗「今宵夜の帳でお待ち申し上げます。Happy Birthday 名探偵」



2002.5.3
By縁真

付け加え。
KID様の最後のセリフはこういう意味です。
分からなかった人ごめんね。
「夜の帳でお待ち申し上げます」=夢で会いましょう。