愛しい人
<3>
太一の手が止まり、大輔から離れる。
自分を見上げる瞳は涙で潤み艶っぽい。
軽く頬にキスをする。
カチャ…
「だいしゅけ〜!!」
大輔めがけてチビモンが突進してきた。
「うわぁ〜!! ち、チビモン!?」
大輔の他に気配を感じ振り向いた。
「あれぇ〜? 太一来てたの?」
チビモンの呑気な台詞に太一が笑みを零す。
「だいしゅけ〜お顔赤いよ〜どうしたの?」
「な、なんでもねーよ!」
慌てて答える大輔の頭を軽く撫でる。
「太一先輩?」
「大輔、皆帰って来たみたいだから、帰るな」
立ち上がり部屋を出ようとするが、大輔に抱きつかれ足を止める。
「大輔?」
何も言わずに大輔はしがみ付く。
太一を抱きしめる手は震えている。
「大輔…」
太一は優しく名前を囁き、自分に回されている手を握り締めてやる。
「太一先輩…オレ…太一先輩の事…好きですから」
「あぁ…俺も好きだよ」
大輔の手を強引に剥がし自分の腕の中に抱きしめる。
すっぽり腕の中に入ってしまうほど幼いのに、
自分を思ってくれる気持ちがとても嬉しい。
抱きしめる温もりが愛しい。
「大丈夫だから…いつでも会えるから、安心しろ」
そう言って額にキスをする。
「太一先輩…」
ニッと笑って、額を指で弾く。
「チビモンが心配そうに見てっぞ、大輔」
慌てて振り返るとチビモンが大きな目を潤ませ、大輔を見上げていた。
「チ…チビモン?」
「だいしゅけ〜オレもだいしゅけのことすきだからな〜!!」
太一と大輔は顔を見合わせ大笑いする。
「チビモん、お前、オレに大輔取られたってヤキモチ焼いてるのか?」
太一は目に涙を浮かべながら笑う。
大輔はチビモンを胸に抱きしめながら、太一とチビモンを見る。
「だってぇ〜、だいしゅけってば帰ってきたのに
         オレの事無視して太一に行っちゃうから〜」
と、頬を膨らまし大輔に抗議する。
「悪かったよ〜チビモン…」
「あはは…大輔、お前愛されてんな、俺とチビモンに」
大輔とチビモンの頭をグリグリと撫でる。
「愛…!!!」
その台詞に大輔の顔は真っ赤になり、口をパクパクさせている。
太一は大輔の真っ赤な頬にキスをし、ドアを開け出て行った。
出て行ったことに気がつかないほど、
大輔の頭の中は太一の台詞がグルグル駆け巡っていた。
「だいしゅけ〜?」
頬を軽くペチペチとチビモンに叩かれ、我に返り一言呟いた。
「オレ…一生、太一先輩には勝てないかも…」
肩をガクッと落とす大輔の姿にチビモンが、《オレが太一をやっつけてやるよ〜》
と、言ったとか…言わないとか…。
大輔が太一に追いつく日は、果たして訪れるのだろうか…。
おわり デジ貰い部屋へ

縁真の相変わらず遠慮ないお願いを聞いてくれてありがとうあさひさん♪
大輔へ愛溢れる太一さんの姿をみれてとても満腹です。
チビモンっっ良いところで邪魔しおってっっ