◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 24巻 やきもち 1 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ピラリーラーポローニャー 「何その着メロ」 「ん?最初から入ってたやつだけど?面白いだろ変な音で。」 快斗の言葉にカバンから携帯を取り出しコナンは笑った。 しかしその笑みは着信の履歴を見て固まった。 「どうしたのー?」 コクリと首をかしげた快斗に無言で受信したメールを見せる。 『園子 件名 大変なのっっ 本文 蘭が意識不明の重体なの。至急こられたし!いそげっっこの推理バカッッ』 快斗もその瞬間固まった。 「これはーあれかな?今度は園子ちゃんが蘭ちゃんに頼み込まれたのかなぁ。」 「おそらく蘭の奴は真さんが来たのを見て味をしめたんだろう。 あれー?もしかしてこの手なら あのバカも帰ってくるかも?ってなカンジでな。」 「ほほーー。素晴らしい推理ですなコナンさん。」 んでどうすんの? 人事だと思ってノンキに尋ねた快斗にコナンは腕を組んで熟考してみた。 このまま無視→後で怖い かと言ってのこのここの姿で行くわけにも行かない。 「よし。お前がいけ快斗」 「・・・・・・はいぃぃ?」 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 24巻 やきもち 2 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ってなわけでやって来ました。えーっと・・意識不明って言ってんだから 自宅はやめたほうがいいんじゃないかな? なんて蘭に対する突っ込みを心の中でいれつつも、快斗は未だ見たことも ない工藤新一になりきって毛利家のチャイムを押した。 ああ、しょっちゅう来てるから変な感じだけど。 きっと蘭もこちらに嘘がバレている事は承知の上だろう。 『すぐに行く場所はどこだ?』 との言葉に対する返信が 『蘭の家よ』 の時点でまぁバレないわけが無い。 きっと突っ込みがめんどくさかったのだろうコナンは 『わかったすぐ行く。』 とかてきとーーな返信をして会話を終えた。 いやー本当にこれで蘭ちゃんが重体だったら何を置いても駆け出すんだろう けどねこのお子様は。 「あ、新一っ。本当に帰ってきたー。わーすごーい。」 「・・・・意識不明の重態だそうですが?」 「あら。そんなの嘘なんてとっくにわかりきってたでしょ?」 バレてる前提だからかアッケラカンとしたものだ。 「だいたい新一の場合たとえ私が重態でも手が離せない事件を抱えてたら 事件を優先にするわよ。」 「・・・・」 どうしよう想像できちゃう自分が悲しい。 言葉に詰まった快斗に蘭はフフンと笑ってみせると 「だからここに居るって事は、今はそんなに大変な時じゃない。どうかしら?」 「・・正解です。ったく、一応心配しはしてたんだぞ。それをなんだお前は・・」 ぐちぐちと口の中で呟いてみせるのは新一の立場からするとこのくらいしか 反抗できないだろうという予想。 ぜってーあいつ地位弱いよなぁ。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 24巻 やきもち 3 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「そうそう新一」 「ん?」 「今回呼び寄せたのはね。新一に紹介したい人がいるからなの。」 「なんだ?まさか彼氏でも出来たとか言うんじゃねぇだろうな」 「えー惜しいっ」 マジ?それは・・コナンちゃん荒れるぞー。 家族みたいに接してるからおそらく『俺以上のやつでないと許さんっっ』 とか言い出すに決まっている。 正直コナン以上なんていっぱいいると快斗は思うが←失礼 何せ推理力以外は全て人間的に危険レベルの男だ。 「あのねー。私の彼じゃなくて、新一の恋人よ。」 「・・・・」 あーやばいこの後の展開が想像できちゃった♪ なにこれどんなイジメよ? 「黒羽快斗君って言ってね。すっっごく頼りになるの。将来はマジシャンになる のが夢でね。顔もカッコいいし、優しいしーーって聞いてる?新一?」 「あーお前な。何考えてんだ?」 「何って新一のことよ?だって新一は放っておいたら独り身で終わりそうじゃない? もう心配で心配で。」 「俺より先に自分のこと考えろよ。俺は俺で見つけるからさ。」 「まぁいいからとりあえず一度黒羽君に会ってみてよ。絶対気が合うわよ。」 気が合う以前に性別が合いませんから。 「だいたいその黒羽って奴・・・男じゃねぇのか?」 「そうよ?」 だから?みたいな顔しないでね、蘭ちゃん。一番大切なところだから! 「なんでワザワザ男の恋人を見繕ってくるんだお前は!」 「そんなのあんたの為を思ってに決まってるじゃない。」 本当か?ほんっとーーーにそうなのか? 実は嫌がらせじゃないのか?なんて思うし、思いたい。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 24巻 やきもち 4 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「その黒羽って奴は納得してねぇだろ?」 「え?だぁいじょうぶよー。黒羽君なら失恋して傷心中だもの。今がちゃんすっっ!」 いつ、誰が失恋いたしましたかーーーーー? 声を大にして問いたいが今の俺は工藤新一。 くっそーーなんで反論できねぇんだ。 「はいはい。チャンスとかどうでもいいからな。蘭、お前園子を彼氏に取られた からって俺に八つ当たりすんなよ。」 「・・・・解っちゃった?」 「メールもらった時点でな。」 バレバレだ。 とはコナンの言葉。 『あいつさ、園子と仲いいだろ?あの意地っ張りの園子が頼るのってやっぱ一番は 蘭なんだよな。今まで、どんなときだって。 なのに今回はあの人呼んだろ?冗談めかしてたけど園子が弱ってるのきっと 蘭は気づいてたし。』 だからなんだかんだ言いつつも園子の言葉通り真にメールを送ったのだ。 『悔しかったんだろ。自分の役目取られた気分で。真さんにやきもち妬いてんだよ。』 なんでこの人こんな時には鋭いわけ? 他の人間模様にはかなり疎いくせに。 やっぱ幼馴染だからかねぇ?それこそちょっと妬けるなー。 「あの人が居ようが居まいが園子にとってお前が大切な親友であることは 一生変わらねぇよ。」 「・・・うん。」 「だから俺に男の恋人作って憂さ晴らしとかすんなよ?」 「あら。それは別問題よ。新一は包容力が足りないのっ。だから包容力が余りまくってる 人がパートナーになるのが 一番だと思うのよ。」 げ。目がホンキだよ蘭ちゃん。 冗談じゃないの?マジで今まで言ってたワケ? 「なぁに言ってんだか。そーゆー事は自分にいい人見っけてから言えっての。」 苦笑してそのまま適当に最近の状況(大嘘ぶっこきまくりでしたが)を話して、 早々に退散してきた。 「あにゃー・・・蘭ちゃんの本気垣間見ちゃったよー。どうすんべ?」 簡単な変装を解いて今後のことを考えて乾いた笑いが漏れ出てしまう快斗であった。 おしまい |