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27巻 限界なんだよ・・・(前編)
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さすがにこれはキツイ。
何気にダメージ大きいです。

「大丈夫か?」
まさかのお子様からの心配に感動の涙が零れそうなくらいに心身共に疲れきっていた。


「むり〜」

信じられない事実です。体力魔人の俺がこんな程度でへばるなんて。

たった一人の少女の言葉に打ちのめされるなんて。

「ね?お買い得だと思うんですよ。ですからいかがかなと思いまして。」
ニコニコと。

今は懐かしさすら感じるなけなしのグッドポイントを強調した押し売り・・・もとい精神アタック。

いや、女性を邪険にできない性質を見事に使われました。


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27巻 限界なんだよ・・・(後編)
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快斗の時なら泣きながら退散できたのに(それもどうよ?)この姿じゃあ引き攣った笑顔を総動員して彼女が満足いくまで聞いてあげるしかない。

半分も聞いちゃおりませんが。
だって散々聞いたし。
耳にタコできるより先に自動耳栓機を発動できるスキルが出来ました。俺すごい。

なんて無駄な時間だろうか。
少女の無垢(ホントか?)な笑顔に罪悪感すら感じてしまう俺はバカじゃなかろうか。

こんなに被害受けてるのに聞いてなくて申し訳なく思うなんて。


「ううう・・・」
「やばいなこれは」
「だってさ。もう、限界なんだよ・・・無理っ耐え切れない!蘭ちゃんは俺が嫌いなのかーーー!」

まだ夜の姿だと言うのに夜空に向かって腹の底から叫ぶ様子を見て

(諸悪の根源が俺って気付かないあたり本気でお人よしだよなコイツ)

なんてお子様が内心鼻で笑っていたり。





おしまい