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28巻 ラブラブな傷跡(前編)
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「さー今日も話しを聞いて貰いますからね。」
「・・・はあ。」

彼女はあれから昼夜問わず出現するようになった。

今までは昼間だけだったのに自らアホな事を提案したのだから自業自得以外の
なにものでもないのだが。
しかも
「〜でねっそのとき黒羽君ったらね、酷いのよ。」
自分の文句を聞かねばならぬとは・・・どんな拷問?
まぁフォローが入った文句な所は彼女らしいが。


「あー早く誰かとくっついてくれないかしら」

「失礼ですが、お嬢さんの方は?」
「私?私については極秘です」
あら、あっさりかわされちゃった。

何気にお子様がヤキモキしているんですけどねぇ。

「すみませんが私はこのへんで」
「え?あ、忙しいのにごめんなさい。」
「・・・いえ」
お気になさらずに。
淡く微笑んでみせるが見る人が見れば(例のお子様とか)明らかに無理しているのが
バレバレである。

「あら?」
今度はなんじゃい?

「この指の傷・・・」
うげっ

「似たようなのを最近見たような。」
「傷口なんてどれも同じようなものですよ」

ニッコリ流してみるものの

「あっ黒羽君が同じ怪我していたんだわ!」
思い出せたのが嬉しいのか手を叩いてこちらを見る。


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28巻 ラブラブな傷跡(後編)
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この子変にカンが良いからなぁ。

「・・・」
しかもいきなり口に手を当てて考えるポーズに入った毛利嬢にこちらは背筋が
ヒンヤリしてくるってなもんだ。


「まさか・・・でも・・・」

なんだ?今度は一体どんな妄言が飛び出すんだ!?

願わくは俺に全く関係ない方面にお願いします。
無理って解ってるけどさ。

「黒羽君とあなたって、もしかして付き合ってるの?」

ノォォー!!!

なんてことを!

イコールならまだしも×で結びましたか!
しかも答えは恋人ってー嫌な思考回路をお持ちねお嬢さん。


「ありえませんから」

「でもそのお揃いの傷跡がラブラブさを醸しだしていると思うのよ」

真剣な顔で何を言うかなこの子は。

どこの世界にラブラブだから同じ傷をツケマショ♪なんておかしな思考を持つカップルがいると?

「・・・なんて事がありました。そろそろ本気でギブアップして良いでしょうか」
半泣きでお伺いを立ててまたら

「おまえならまだ行ける。頑張れ」

すげぇ無責任な言葉がお子様から帰ってきました。

号泣していいですか?




おしまい