◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
   33巻 桃型チョコ(前編)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


それはKIDの予告状を出した数日後のこと。

「はい今回分」
どさっと置かれた段ボール(大)2箱を顎で指し示し手を差し出すお子様。

さあ寄越せ。すぐ寄越せ。
その瞳どころか態度も空気もそう言っている。
なんて失礼なお子様デショー。

そりゃーさ工藤宅に呼び出された時点で用件は解ってたさ。
でもでも、なんか酷くない?
お家に到着して最初の言葉があれなのよ?快斗くん信じらんなぁい。


「はいはい。解けたら構ってね」
ポンと可愛らしい紅葉のお手手に用意してあった予告状バージョンアップを置いた。
「・・・ああ」
その間は何?おまえ用済みだから帰れよってこと?

まあさ、バージョンアップの為に通常バージョンの予告状を見ないようにしたらしいし。
先に渡してあげれば良かったかな〜なんて申し訳なく思ったのも本当。←所詮コナンに
甘い男


「いいもん、いいもんお菓子食べちゃうもんねーだ」

勝手知ったる他人の家とばかりにキッチンで勝手に飲み物を用意して

「はいコナンちゃん」
到着してすぐにかけておいたコーヒーメーカーからコーヒーをそそいでコナンに渡す
のも忘れない。←慣れております
自分は100%オレンジジュースを一口飲み箱の中を検分し始める。

「賞味期限がやばいのから食べないとね〜」

うふふ。なんて抑え切れ無い笑みを浮かべながらもっともらしいことを言ってるが賞
味期限なんて気にする間もなく食い尽くすこと請け合いである。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
   33巻 桃型チョコ(中編)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「お前なら今週中にでも食べ切れるだろ」
断言しきったお子様に
「いやいや今週は残り3日よ?さすがに4日は必要だって」
「・・・そうか」
あの2箱を4日で食べ尽くせるのか。
冗談で言ったつもりがサラリと返ってきた言葉に思わず遠い目をしてしまう。


「それより見よ!この美しいぷりぷりっぷり」
「意味わかんねぇよ」
「ほら。形が綺麗じゃない?」
「そうか?」
差し出されたピンク色のチョコレートに首を傾げたコナンは眉をしかめると

「尻フェチか?」
「・・・」
果てしなく失敬な言葉をのべやがった。

「違うのか?」
「知らないのーこれ桃の形よん。桃味よ〜って意味なの」
思わずさらりと口をついて出たのは
「そうなのか?」
「・・・ごめん嘘デス」
ここまであっさり信じられてしまうと放置できん。
ハートの形のチョコレートがイチゴ味なんて世界の常識(←そうか?)を知らない
のかこの探偵は!

「だからうっかり推理とかで間違った知識使わないでね」

『この桃型のチョコレートが苺味であるはずがありません。よって・・・あなたが
犯人です。』
なんて意味不明な理由で冤罪発生したらとオモウト安心して生活できません!

いや、どんな事件よって感じだけどさ。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
   33巻 桃型チョコ(後編)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「んで?その桃は今から食うのか?」
桃?ああ、このチョコか
「んにゃ、日付もつから後回し〜」

4日で食いきれる奴がなんか言ってやがるな。

「やっぱり食べ物は少しでも新鮮なうちに食べるべきじゃない?ここは生菓子が
優先だね!例えばこの・・・」

うるさい。ひたすら五月蝿くなってきた。

「黙って食ってろ」
「はぁい」

冷ややかな声音にピタリと口を閉じ、

「あっそーいえば」
お菓子を送ってくれた工藤婦人へのお礼を伝えて貰わなきゃ。と思い至りパカリと口
を開けば

「ダマレ」

・・・コクコクコク!!←激しく頷いている

ブラックすぎるオーラに負けました。

その後黙々暗号を解くコナンの横で黙々お菓子を食べ続けた快斗君でした。
夕飯?
もちろんしっかり食べましたとも、コナンのおごりで!!←ブラックホール
め・・・(byコナン)




おしまい