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     08巻 ジューンブライド(前編)
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なんだかんだで黒羽快斗と江戸川コナンは親しくなった。
あの無理矢理警視庁に連れて行かれた日に「もうコナンとは会いたくないっっっ
」と心に決めた快斗。
だがしかし世の中は無情で、そして2人はきっと運命に導かれていたのである。
←物は言いよう(笑)

快斗の母の友人の娘。
まぁ遠い関係であり、快斗からすれば赤の他人の結婚式。
そこへお呼ばれしたのは当然快斗の手品目的である。

「ねぇ息子さん手品できるんですって?ちょっと余興でやってくれないかしら?
」
「いいわよ♪」
人の都合も聞かず勝手に母は了承したらしい。
ちなみに平日。
学校は母公認のサボりである。



「まぁいいけどさ。マジックは好きだし。結婚式でやるってのもまた乙なもんだ
し。でもさージューンブライドってねぇ。」

シトシトシト。
外は雨。
この梅雨の時期なのだから雨の確率は高い。
どんぴしゃに本日は雨。

って事で外で盛大なマジックをやってやろうと思っていたのに変更である。

まぁ雨の中のイリュージョンとかもかなり綺麗だけど着飾った女性陣がわざわざ
雨降りの外へ出てきてくれるはずが無い。
やっぱりマジック関係は女性受けが一番いいわけだからヤローどもだけが見てる
中でそんな大掛かりなことをするのはつまらない。

「仕方ないなぁ。」
予想はしていたから室内用のマジックも用意してあるが華やかさに欠けてしまう
。
つまーんなーーーい!

そんな内心とは裏腹にその後見せたショーは誰もが満足いく仕上がりだったとい
う。

そこで終わってくれれば快斗はまぁまぁ楽しい一日で終われたというのにその日
はまだまだ続いていた。
花嫁さんと花婿さんにマジックが大変気に入られ、二次会でショーをやって欲し
いと頼まれたのだ。

ちなみに結婚式の時は友人特権(←母親同士のだが)でタダ。
二次会は改めて快斗個人に頼まれたことなのでお仕事として引き受けている。
そんなに高額ではないが、それなりに頂くことになったので今回よりちょっと豪
勢にいくことにした快斗。

二次会はほんの3時間後だというのに頭の中で構成を組み立て満足いくものが出
来上がった快斗は寺井に必要なものをそろえてもらう為に電話をしてからいった
ん家に帰り、それからまた出かけたわけだが・・・・そう、ようするにその二次
会の会場にいたのである。

運命の人が(笑)


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     08巻 ジューンブライド(中編)
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「「・・・」」

何故ここにっっっというのはお互いの正直な気持ちかもしれない。

「こんにちは快斗兄ちゃん」
「こんにちはコナン君」

そんな内心を一瞬で押し隠しお互いにしらじらしいほどの猫かぶりで挨拶を交わ
す。

傍で見ていた蘭と園子は目を丸くしながら2人を見た。
本日は蘭の部活のOBの先輩の結婚式だったのだ。

5つ離れているというのに何度か稽古に来てくれたり応援に来てくれたりとお世
話になった先輩なのでお呼ばれしたわけだが、その応援の席で園子と意気投合し
たり、一緒にいたコナンを可愛がってくれたり・・・とまあ、そんなつながりで
3人はここにいる。


「知り合いなのコナン君?」
「うん。前にトロピカルランドで手品やってたお兄ちゃんだよ。今日もするの?
」
「うんそう。黒羽快斗です。ちょっと縁がありまして2次会で手品を披露するこ
とになりました〜」
「あ、毛利蘭です。」
「鈴木園子デース。いい男知ってるじゃんこのガキんちょっ」
「・・・・」

まぁ工藤新一と同じ顔だしな。
いい男だよな。うん。認めたくないが認めざるを得ない。

「新一兄ちゃんのほうがカッコイイけどね」
まぁ認めてあげてもいいけどさ。と偉そうな態度のコナンに快斗はそりゃどうも
と軽く返す。

「えー新一君より黒羽君のほうが野性味があってカッコイイわよ。ね、蘭」
「・・・そうね。顔は似てるけど雰囲気が全然違う。・・・包容力・・・そして
マジシャン・・・・・いいかも」

園子の言葉に同意を示した後、考え込みながらぶつぶつ呟いた蘭。
それになんだか危険を感じつつコナンは怪しい独り言を続ける蘭を園子に押し付
け快斗のほうに避難することにした。

まだこっちのがマシと思ったのかもしれない。



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     08巻 ジューンブライド(後編)
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「縁があるなぼうず」
「そうだね。あんまりいらないけどね」
「同感」

お互いに嫌な印象を持っていることを気づいているのに何故か一緒に行動する快
斗とコナン。
単純にコナンは新一そっくりの快斗の顔が気に食わないだけであり、
快斗はそんなコナンの態度が気に食わないだけである。
ので、波長はもしかすると物凄く合うのかもしれない。

「手品、楽しみにしてるよ」
「ああ、結構大掛かりにするつもりだから楽しめるとおもうぜ」
「そっか。トロピカルランドではみそびれたから結構悔しかったんだよね。」

「ってことは俺の手品初めてみるのか?」
「うん。最後の風船だけは見たけど」
「ああ、あんなんただの小手先だって。それじゃ今日はビックリするぜー。この
天才的な腕前に、な」
「うわーむかつくくらい自信満々だね」
「ふふんっ自信がなきゃこんな商売やってけませーん」

その言葉通りプロ顔負けのショーを演じてみせた快斗にコナンは悔しいながらも
惜しみない拍手を送り。

それから。


「新一の恋人はあの人しかいないわっっ」
蘭が燃え始めた。

猛烈アタックはこの日から始まる(笑)

おしまい