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4番隊の月と雲 4番隊始動(1)
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暗部というものは8つの隊で構成されている。←(注※MY設定です)
1番隊から9番隊まで。
そのうちの1つ。
4番隊だけが曰くありげに存在しなかった。
随分昔からのことなので素敵にお年を召された3代目火影様ですらうろ覚えなほどに昔の
話。
「多分4という数字は"死"に通じるということで廃止されたのだと思うのじゃが・・・」
よく解らないがそう受け継がれた以上特に不便も感じなかったのでそのままにしていた3
代目は目の前の暗部に告げた。
「では絶対作ってはいけないってわけじゃないんですね」
暗部は・・・首元まで伸びた黒い髪を揺らしながらぐっと身を乗り出した。
ここは押して押して押し捲るしかない。彼の目はそう語っている。
「まぁのぅ・・」
歯切れの悪い火影様。
何せ3代目すらも尊敬する初代の火影様がお決めになられたことだ。そうやすやすと変え
るのはいかがなものか。
それにあの方がそう言って廃止したくらいなのだからそれなりの理由があるのかもしれな
い。
というのが現火影様の言である。
まあ実にもっともなお言葉。
「いきなり無理矢理10番隊か0番隊を作成しろって言うよりマシじゃないっすか?」
のんびりとした声音で妥協しろやと遠巻きな脅しをかけるのは黒髪暗部の相方。こちらは
肩までの茶色の髪を軽く首もとで束ねている。
ごり押ししてでも新しい隊を作成したいのなら4以外ならば前後の0か10しか無い。
二桁になるのはいろいろとやっかいであり(他の暗部が今度は11番隊を作りたいと言い
出しかねないし)0番なんていかにも特別っぽい番号をくれてやる程火影様は甘くない。
「うーーむ・・・」
「ほら。大体こういうのって単純に縁起が悪いってだけで無くしたのかもしれないでしょ
う。それなら問題ありませんし、もし万が一、昔4番隊になにか呪いめいたことが次々降
りかかったとかいうなら心配ありませんよ。我々はその程度の事へでもありませんから」
ニッと漆黒の髪を揺らして妖艶に笑って見せた目の前の暗部に「なっ」と言われ隣で肩を
すくめながら同意を示す茶髪の相方。
「というわけで俺達に暗部4番隊をください」
ニッコリと2人は歴史上初ではなかろうか?と思われる「隊ください」攻撃を火影様に向
かって堂々と仕掛け続けた。
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4番隊の月と雲 4番隊始動(2)
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「結構しぶといよなあのジジイ」
「だな。もっと手っ取り早くくれると思ったのに・・めんどくせー」
「ったくとっとと渡せば適度に稼いできてやるのによ」
「まぁ俺らの力見る限りじゃ渋っても仕方ねぇけどな」
不満気な顔をしたのは黒髪の、いつもどおりめんどくさそうなのが茶色の。
2人の声が思わずはもった
「「ああ・・・暗部やめてぇ・・・」」
実は、木の葉の暗部はただ今かなりの危機に面していた。
何を隠そう。
暗部の質が悪い。
隊を束ねる隊長クラスの暗部がとっても猛烈に最悪なのだ。
8人いるうちまともなのが2人ばかり。
残り6人は10人が10人「こんなヤツの下でやってられっかーーーー」と夜空に叫んで
しまうくらい最低な人物ばかりだった。
言うなれば使えない上司の見本。
失敗は全て部下のせい。
成功はもちろん自分のおかげ。
にょっきにょっき出てきた杭はゴッツゴッツ打ちまくって追い落とす。
自分の隊のメンバーを全然把握しておらず、適当に(下手したらあみだくじとかで)任務を
任せる人選を決めたり。
失敗して命を落とした部下に対して「使えないなー」「あの程度の任務で失敗してくると
はバカものがっっ」などと人間的にヤバイセリフを吐きまくる。
極めつけは
自分より才能がよい新人が出てきたりしたら。あること無いこと上に吹き込んで暗部から
追い出す。はたまた絶対成功しなそうな任務に送り出す。
そんな訳でただ今暗部は険悪一色だった。
火影様もどうにかしようとあがいてはいるものの、隊長クラスの8人は長年勤めているこ
ともあり、迂闊に「くび」を言い渡すわけにもいかない(下手すると抜忍になりかねない
し)
そして、ここに2人。どうしても、どうしてもどーーーーーしても耐え切れなくなった新
人が直談判に来たのだ。
「俺らで新しい隊つくるからさーもう他の隊居たくないっっっっっ」
そう、唯一平和な2隊は定員オーバーしまくり。
他の隊からもそちらに移りたい人待ちが長蛇の列って状態で移れなかったのだ。
最悪な隊長のいる所へ行くくらいなら暗部やめてやるっっっっっと心に決めた2人は今最
後のラインで立ちどまっている所であった。
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4番隊の月と雲 4番隊始動(3)
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「のぅもう少し我慢できぬか?」
とても部下に対するとは思えない幼子に諭すような声音をした火影様に暗部の2人は嫌な
顔を見せた。
「何それ。もしかして暗部の俺じゃなくうずまきナルトの俺にそう諭したいわけ?」
黒髪の青年が眉をしかめながらペラリと重大な事実を口にした。
そう、新人暗部。入って約半年という初々しいその暗部は実はかの有名な(むしろ悪名?)
「うずまきナルト」その人だった。
ドベの名を欲しいままにしている彼は現在昼間はアカデミーに通っている忍者の卵であ
る。
そして相方。
言うまでも無いだろうが「めんどくせー」を合言葉に全てを難なくこなす、一般人からす
ればむかつく男、その名も「奈良シカマル」であった。
「そうじゃ」
「・・・・ずりぃよなぁじっちゃんは」
暗部の自分にもし「我慢しろ」と言うならそれは命令だ。その瞬間、彼は相棒とともに抜
け忍になってもいいから暗部をやめてやる覚悟だ。だが3代目火影様は狡猾にも養い子の
「うずまきナルト」に対してそう言葉を発した。
ギリギリラインだろう。
「仕方なかろう。いきなり4番隊をつくれと言われてもあやつらが6人かかりで潰しにか
かるかもしれぬぞ」
「「やりかねないな」」
2人で頷く。あいつらバカだから。
「特別扱い」されるのが自分以外ならムカつくらしいのだ。
「それにお主ら2人だけで隊を運営していくのは・・・・」
「「できるできる。簡単だって」」
あっさり2人は言い放つ。
「もしかしてじっちゃん気づいてなかったのか?俺ら打たれねぇようにニョキニョキ杭が
出ないように気を付けて控えめに頑張ってたんですけどねぇ」
「おかげでストレスたまりまくりっすよ」
それはもう。得意の獲物を使っての戦いをすれば間違いなく隊長クラスの腕前の2人は見
せたら最後打たれること間違いなし。
「こんな状況知ってたら暗部なんて入らなかったっつーの」
「全くだ。それだったら俺一楽のバイトに入った」
「それ給料いいのか?」
「や、趣味が大半。おっちゃとも気が合うしな。金が欲しけりゃ株でもうける」
「だよな。めんどくせぇけどそうすっか?」
「・・・・その方が人生ぜってー楽しいよな。うん。そうすっか。」
「まっっ待てっっ待つのじゃナルトっシカマルっっ」
暗部不足のこのご時世2人に抜けられるのは痛い。火影様は必死だった。
だが引き止めるということは
「「じゃあ4番隊作っていい?」」
そう、この問題に戻るわけなのだ。
火影様はもうどうにでもなれと思った。←なげやり(笑)
他の6人の隊長(2人の隊長は多分気にもしないが)は新たな隊に総攻撃をしかけるだろ
う。それでもいいと2人は言っているのだ。
ならばやらせてみるのも一興。
「解った。4番隊。本日から始動じゃっっっ」
「やったっっ」
「よっしゃっっ」
ナルトとシカマルは子供のように手を取り合って飛び跳ねた。
おしまい
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