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4番隊の月と雲 〜上手なおっさんのあしらい方 1〜
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「何やってんだ?」
ナルトはフイにかけられた聞き覚えがありまくる声に振り返った。
「クモか・・・あー最近忙しかったからちょっと休憩」
「・・・考えたかないがその皺寄せは俺にくるんだよな?」
「さて?どーだろなぁ。見ろよ今日はこんなに良い天気なんだぜ!」
「で?」
「昼寝日和だろ!?」
お前なら同意してくれるよな?そんな目で訴えられ、ついつい流雲は苦笑を漏らした。
「・・・30分な」
「っしゃ!」
何だかんだいいつつ光月はいつでも頑張っているから。たまには、と思うのは妥当・・・
むしろ30分ごときで喜ぶ彼が不敏なくらいである。
「雲も〜」
「はいはい」
二人で草原に転がってボーっとする。
たった30分だがゆっくりできたのが良かったのか光月はその日バリバリ働いた。
そんなのんびりとした平和な日の事であった。
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4番隊の月と雲 〜上手なおっさんのあしらい方 2〜
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「おや月と雲じゃないですか?相変わらず頑張ってますね」
「空さん。こちらでは久しぶりですね」
「ええ」
表では毎日会ってますけどね。
含み笑いを見せる光月に空も穏やかに笑みを浮かべた。
「今日は忙しいですか?」
「うーんどうかなクモ?」
「結構進んだから今日の急ぎ無いぜ?」
「だそーです」
「良いことですね」
心底羨ましい気に呟かれ光月は申し訳ない気分になった。
自分は相方もいるし元々自分の仕事でもある。
空は腕に抱えた荷物からして自分の仕事+使えない上司の仕事まで抱えているのだ。
「持ちますよ」
「あ、ありがとう」
遠慮しないのは気心がしれているからだろう。
「よければ仕事もってうちに来ます?」
「少しなら手伝うっすよ?」
いやーさすがにそこまでは、なんて心にも無い遠慮の言葉に一応口にしようかと思ってい
た空は視界の隅にあの腹がでた奴が入り込んできたのに気がついた。
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4番隊の月と雲 〜上手なおっさんのあしらい方 3〜
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「これは一番隊長。どうなさいました?」
いっそ気づかなかった振りをしたいくらいだが後々めんどくさい。
「うむ。実はうちの娘がどーしても私の職場を見てみたいと煩くてな」
などと困った困ったと口にしながらも顔は嬉しそう。
「は?」
サラッといわれた言葉はとうてい空の理解できるものではなかった。
「ほら4番隊の奴らだ」
「わっホントだ凄ーーいパパ!」
手を合わせ飛び跳ねる幼い少女。幼いといっても10代半ばくらいだろうか。ナルト達よ
りも年上に見える。
「私は1番隊の隊長だからな。4番隊の隊長は部下のようなものだ」
サラッとまたもや問題発言っすよおっさん。
ピクリと額に青筋が浮かんだのは当の光月ではなく、その相方や一緒にいた空、そして周
りでついつい聞いていた他の隊員達。
4番隊の隊員がいなかったのは幸いだったのかもしれない。
間違いなく今、この瞬間おっさんに殴りかかっていただろうから。
そう冷静に思考を動かしていたのはこんなおっさんに悲しいことになれてしまっている空
。
流雲はといえばいつもの冷静さからは考えられないような剣呑な表情を見せていた。
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4番隊の月と雲 〜上手なおっさんのあしらい方 4〜
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「ね、ねっサインもらってもいいかな?あとー握手っっあとあとっっ写真一緒に撮らせて
欲しいっっっ」
「いいぞいいぞ」
気軽におっさんは肯定するが。
よかねぇよ!!
「・・・・」
周り中が殺気だっているのに気がつかないのだろうかこの親子は?
光月はあきれ返るしかない。
「あー。4番隊隊長。まずはサインだが」
名前なんか知らないんだろうなぁ。とバレバレな呼び方。
「申し訳ありません。あいにくと筆跡を残すことはしないようにしておりますので。」
「はっ?」
「1番隊の隊長ともなればもちろんご存知かとは思いますが筆跡を暗部外に出すのは暗部
内でのタブーです。もし偶然にでも外部に流れてしまい悪用されてしまった際危険ですか
ら。」
もーちーろーん知ってますよねぇ?
ニッコリ微笑めばおっさんは苦々しい顔を見せた。
「私の娘だぞ?」
だからなんだ?
「外部に漏れるわけがない。」
「ではサインはもちろん他の方には見せないという保障がおありで?」
「もちろんだ」
「・・・・もし、1人にでも見せたら命を奪いますよ?」
「なんでそうなるんだ!!」
「それが交換条件だからです。私はいつもそういう取り付けをしてますが?」
さらっと未だかつて一般人からサインなんぞねだられたことのない光月は言ってのけた。
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4番隊の月と雲 〜上手なおっさんのあしらい方 5〜
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「もちろん写真なんて以ての外。まさか1番隊の隊長がそんな冗談をおっしゃるとは思わ
なかったものでうっかり笑いそびれてしまいましたよ。」
ベラベラと二枚舌が何か言う。
凄いぞ光月。
「そうですね。なにせ1番隊隊長でらっしゃいますから。もちろん筆跡のことも写真のこ
とも冗談に決まってますよね。それにしても娘さん、よくココに入れてもらえましたね。
まさか火影様が一般の方の入室を許可なさるなんて思わず、驚いてしまいましたよ。さす
が1番隊の隊長だけあって信頼も厚いのでしょうね。」
サラリサラリと皮肉だらけの空の言葉。
「き・・許可?」
「だって暗部以外の立ち入りは禁止じゃありませんか。たとえ肉親でも。重要書類とかが
そこらじゅうに放置してある危険な場所ですからね。当然の配慮でしょうとも。でもその
規則を破ったものは除隊って言うのは結構厳しい処分ですよね。」
目をキョトンとさせたおっさんに流雲がコックリ頷き丁寧に説明する。
そんな当然すぎること昨日入った新人だって知ってるっつーの。なんて思いつつ。
『除隊』の言葉にダラダラ汗を流すおっさんに周りで聞いていた隊員達が鼻で笑うのが気
配で感じる。
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4番隊の月と雲 〜上手なおっさんのあしらい方 6〜
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ようやく事の重要さに思い至ったのか。いや、『除隊』が効いただけだろうが。
「ねーパパぁ。サインはー?」
娘よ。今の言葉を聞いていなかったのか?
この親にしてこの娘あり。
としか言えない子供に
「あ・・・し・・仕事が。・・・・急ぎの仕事があるのを思い出したからお前は帰りなさ
い。」
「ええー」
「いいから早くっ今すぐにっっっ」
「だってパパ?」
「っっ」
らちがあかないと思ったのか娘を引きずり隊長は退散した。
「ぶっ」
おっさんが見えなくなった瞬間3人は噴出した。
おっさんのあせり具合も面白かったのだが、相方たちのうそ臭い言葉に笑いがこみ上げて
きて大変だったのだ。
何が私はいつもそういう取り付けをしてますが?・・だ。
何が1番隊の隊長だけあって信頼も厚いのでしょうね・・だ。
何が除隊って言うのは結構厳しい処分ですよね・・だ。
「「「し・・・しらじらしー」」」
互いを指差しながら笑い転げる月と雲と空に気になって立ち去れずにいた周りの隊員達も
怒りがフッと軽くなり一緒になって笑い出してしまった。
おしまい
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