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 4番隊の月と雲 〜月と父とパラレルな世界 25〜 
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(確かココだったな)
昨日飛ばされた場所を調べに来たのだが、見渡す限り変わった所はない。

「変な気配も無いし、ただの天災で飛ばされた可能性が高いのか?」
罠の気配もなかったし、前触れもなくいきなり光ったとしか思えなかった。

「っち」
捜しても相方の気配は感じ取れない。
「やべぇな。怒られる・・・」
帰れないなんて思わない。俺が無理でもシカがどうにかしてくれると信じているから。

だから今する心配は帰った後のこと。
三代目はきっと泣いて喜んでくれるのだろうがシカとイルカは静かに怒る。3時間お説教コース程度で
済めばいいが下手をするとしばらく外出禁止だされたり・・・いやいや。5メートル以上離れるの禁止とか。

「そんな不自由なのイヤだーー」

内緒でラーメン食べまくりとか、内緒で本気のいたずらしたりとか。
ヨシノママとケーキバイキング行ったり・・・・・・ああ、シカも一緒に行けばいいのか。
それも楽しそうだなぁ。

「って却下されるに決まってるか」
甘いものが得意じゃないシカマルのことだあっさり判決を降すことだろう。そんな相方にこれまた
猛反対するだろう自分と奈良家の権力者。最後には奥様と俺に弱い奈良家の大黒柱により
強制ケーキバイキング決行になるのだろう。
そこまで思い至りブッと吹き出してしまった。
(シカ弱えーー!)

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 4番隊の月と雲 〜月と父とパラレルな世界 26〜 
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ふてくされた顔のシカマルが瞬時に浮かび、

「なに笑ってんだ」
憮然としたシカの声まで聞こえてきた・・・って

「ん?」
(本物だ!!)
やべ、余計に笑いが漏れ出る。

まさかコチラのシカマルとこんなに簡単に出会うとは。しかも向こうから話しかけてくるなんて
奇跡じゃねぇか?

「よぉ奈良のとこの坊主じゃないか」
「・・・」
「いやぁ・・・ぶくくっわりぃ笑いがとまらねぇ。」

奈良の坊主という発言に憮然とした顔のシカが可愛くて可愛くて。
いわゆるこちらの小動物ナルトを見ているのと同じホノボノとした気分になるのだ。

(いやぁ可愛いなあこっちのシカは)

「どーでもいいけど、あんた悪目立ちしてるぜ」
ブスッとした表情のまま親切に教えてくれたカワイイ方のシカはふいっとその場を立ち去った。
確かに大量の視線は感じるが悪意のこもったものではなく、興味や好奇心が混ざったカンジ。
気付かぬ間に人がちょっと集まってるしーー居心地悪いからそそくさとその場を後にしながらも
笑みは止まらない。

「ううーん。なんであんなに可愛いかなー」


胸がきゅんきゅんするぞ俺は。
綻ぶ口元は数分後さらに崩れることとなる。



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 4番隊の月と雲 〜月と父とパラレルな世界 27〜 
          ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「いっくぜーー!」
「こいってばよ!!」
小さな子供たちの勇ましい掛け声が響き渡り、めっちゃ聞き覚えあるなあとそちらに足を向けて
みれば可愛い小動物たちがじゃれあっているではあーりませんか。

「たー!」
「よしっよくやったチョージ!!」
「えへへー」
「シカマルっもっと機敏に動けってばよ」
「無理だっつーの」
「やる気がたりーん!」
「へーへー」

(ああ、なんて微笑ましい図なのだろうか)

「鼻血でそー」
いささか怪しい独り言を呟いていると

「あっ兄ちゃん!!」
まるで子犬のようにキラキラ瞳で駆け寄ってくるナル

(ぱたぱた揺れる尻尾が見えるようだ)
「よー学校はどうしたよ」
「今、俺ってば学校じゃ習えない大事な勉強をしてるってばよ!!」
「はいはい、口だけはいっちょ前なのな」
ピンっと額を弾いてやれば大袈裟に痛がるそぶりをみせる。

それすらも可愛いなんて俺メロメロじゃねぇ?

はー弟いたらブラコン街道ひた走り決定だったなぁ



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 4番隊の月と雲 〜月と父とパラレルな世界 27〜 
          ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ところ変わって元の世界。

森になにか残していないかと向かったシカマルは予想外の風景を見ることとなった。

「あっシカマル。」
「なんでお前らが」
「昨日サクラがここで任務だって言ってたから手掛かりないか探してるのよ」

ルーキー勢揃いで草むらを掻き分け捜査をしていたのだ。
「シカマルは何かわかったの?」
「いや、これと言って目新しいことは解ってねぇな。」
と情報を交換しながらルーキーの探索組みにシカマルは交じった。

なんだか本当にこの年のルーキーって仲いいよなぁ。と苦笑交じりに内心呟いてしまう。


「これ。ナルトの字じゃない?」
無言でガサゴソ草むらをかきわけていたチョージが(お菓子を全く手にしていない辺りが彼の
必死さを感じる。)一枚の小さな紙を見つけこちらを振り向いた。

「ええー?そうか?ナルトってこんな達筆だったか?」
キバが首を傾げる横で紙を受け取ったシカマルは頷いた。

「間違いない。ナルトだ」
何故いつもの崩した字しか知らないはずのチョージが気がついたのかは・・・後で聞くとして
(出来れば聞きたくないが(笑))。

チョージが見つけた紙・・・ナルトが常備している札を2本の指で挟み額に軽く押し当てた。



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 4番隊の月と雲 〜月と父とパラレルな世界 28〜 
          ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

昨夜ここで何が起こったのか、頭の中に映像が流れてくるのを感じ、ついでに放っておけないと
ナルトが考えたことまで
伝わってしまい、シカマルは深く深くため息をついた。

「なるほど」
「何が解ったの?」
「4人は一緒だ。すなわち全員生きている。」

ナルトが生きている。
一緒にいる。
ならば誰ひとり欠ける訳がない。

そんな信頼からシカマルは言い切る。


「本当にシカマル!?よかったぁぁ」
「サクラちゃんも無事ってこと?」
「ああ、サスケもあのカカシ上忍も無事だってシカマルが言い切ったからぜってー大丈夫だぜ」
歓声を上げるイノやチョージをよそに、いまだ理解出来ていなかったヒナタにキバが
嬉しそうに説明した。


「ここで何かがあったみてぇだ」

「それってその紙でわかるの?」
「ん?ああ、残留思念みてぇなもんをここに詰め込んであるからな」
伝言レターの映像版といったところだろうか。


本来ならばシカマルのところまで飛んでくるはずだったのが、おそらく光に包まれどこかへ
消えたときに紙に込めていたチャクラも

切れてしまったのだろう。
鳥の姿を保てず一枚の紙へと戻ってしまったようだ。
それでも紙に託したメッセージがかろうじて残っていたのはそれだけナルトのチャクラが
強力であることと、早期にこの紙を見つけられたおかげであろう。

とりあえず

「チョージ。でかした」
親指を立ててグッジョブと褒めれば

ニッコリといつもの笑顔が返ってきた。


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 4番隊の月と雲 〜月と父とパラレルな世界 29〜 
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「にーちゃん!」
パタパタと尻尾を降りながら纏(まと)わりついてくるナル(ナルトの目にはそう見えるらしい)
に相好を崩しながら頭をポンポンとなでてやる。

「それにしても俺だってよく分かったな」
変化姿は見ていなかったにも関わらず、迷わず自分だと見抜いたナルに感心すると、
「兄ちゃんならすぐに解るに決まってるってばよ!!」
自信たっぷりに言ってくれた。

「そっか。」
コレ可愛いなぁ持ち帰りてー。
なんてアホな事を思いながらも頭を撫でてやれば目を細めて嬉しそうにしている。


「ナルト。おまえ兄弟なんていたか?」
「いねーってばよ?」
そんな2人を訝しげに見ていた可愛いほうのシカマルの問いかけにキョトンと不思議そうに返した
天然っぷりがまた可愛い。
どんだけメロメロなんだよ。と呆れた相方の声が脳裏を横切ったがムシだムシ。


「兄ちゃんはうちのイソーローだってばよ」
「よせよ。照れるじゃないか」

どこに照れる要素が?なんて突っ込みが子供たちの胸の内にしまいこまれているなんて気にする
はずもなく、

「どーもー居候してる穀潰しの光月(こうげつ)と申しまっす」
朗らかに暗部名を名乗る。

「ふぇ?」
「はっはっはっ!カァワイイなあー」

聞き覚えの無い名前にぽけっとしたナルに笑みが止まらない。

「穀潰しってあんた・・・」
言葉に詰まった様子のこちらのシカに
「途方に暮れてた所を拾われたからなぁ。」
苦笑しながら口にすれば、何を感じ取ったのか慌てたようにナルが抱き着いて来た。

「にーちゃんなら俺ってばいつでも大歓迎!!」
「わはははっ俺もナルなら大歓迎〜」

あーもうラブリーすぎるよ。
ハグを返してやれば嬉しそうな顔をさらに深めるし。


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 4番隊の月と雲 〜月と父とパラレルな世界 30〜 
          ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「仲良くなったんだな」
「へっへ〜仲間に入れてくれたってばよ〜」
「ん、良かったな。」

嬉しそうなナルの言葉にこちらまで笑みが浮かぶ。
これは才能だと俺は思う。そんな幸せ伝染する能力なんて、なかなか持てないんだぞ。
さすが俺のナルだ。

なぜかよく解らない方向への兄バカを発揮しまくる脳内に疑問を覚える事なくナルトは他の見慣れた
子供たちに目をやり

「うん。ナルと仲良くなろうって言うんだもんな。なかなか見所のある奴らだな」
いろんな意味で上から目線(なにせ変化で身長でかくなってるし〜)で言い放つ。

「兄ちゃんっなんか偉そうだってば!」
「ふ、俺は偉いからいいんだ」
ニヤリと笑って見せれば

「穀潰しのくせにか?」

ザクッと鋭い返しがきた。

さすがシカ。可愛いのに可愛くねぇー。


「なるーあいつひでーよー」
「シカー兄ちゃんいじめんなって」
ぷくうと頬を膨らまし庇ってくれるナルの後ろに周りニヤリとニヒルに笑ってやればシカマルが額にしわを寄せ
舌打ちなんかしていた。ぷぷぷっ!←おいおい

「あのお兄さん、明らかに棒読みだったよね」
お菓子を食べながらのチョウジと
「ぶははっあいつ面白しれー!」
こちらを指さしながらのキバ
「・・・」
光月の存在に騒ぐ虫達に首をかしげるシノ。

それぞれの個性あふれる姿を見回し柔らかく微笑むと

「ナルを、ヨロシクな。」

ぽんぽんと、一人一人のあたまを叩いて、それから片手をあげて背をむけた。



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 4番隊の月と雲 〜月と父とパラレルな世界 31〜 
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「・・・なんか・・・・変な奴だったな」
「兄ちゃんはカッコいいってばよ」
「存在感が不思議なくらにあるよね」
「顔はかっこいーのに面白くって俺はすきだぜ」


潔いまっすぐに伸ばされた背中を見送りながら、それぞれ感想を述べている子供達の中で
「・・・虫が・・・」
「シノ?」
「虫が落ち着かない。ナルト、あの人はいったい何者なんだ?」
「どーゆーことだってば?」
純粋に不思議そうに問うシノに意味がわからずナルトもくびをかしげる。

「まるで・・4代目火影さまのような・・・大きな人だと虫達が騒いでいる。」
虫を指に止まらせとうに見えなくなった青年の方を見るシノをよそに

「え?なんでかなぁ?」
「まさか4代目が化けてたってーのか?」
「たしかにあの溺愛っぷりはあやしーけどさー。わざわざ偽名まで用意する必要はねーじゃんかよー」
「そうだよな」
「じゃあ火影さまの弟とか?」
「いや。4代目は一人っ子のはず・・・」
うーーーんと唸るシカ、キバ、チョージ。

「さすが兄ちゃん!!!!やっぱり虫も認めるほどのでっけー男なんだってば!!」

そんな中でも兄ちゃんラブのナルトは目をキラキラさせて大喜びだ。
4代目が褒められてもコンプレックスを刺激されるだけだと言うのにこの違いはなんであろうか。

なにやら父よりも兄ちゃんのほうが好きと胸を張って言い出しそうな懐きようである。

「おれってば将来兄ちゃんみてーーになるってばよ!」

いや、すでに言っている。言いまくっているっぽい。
これは・・・父vs兄の戦い勃発か?

なんて面白がりつつも、なんだか勝敗は見えている気がして4代目を哀れむシカマルであった。←失礼



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 4番隊の月と雲 〜月と父とパラレルな世界 32〜 
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それは草木も眠る丑三つ時・・・とまでは行かなくてもなかなかの深夜。
突然ナル(可愛い方)に
『行くってばよ』と言われながら引っ張られたナルト(プチ擦れた方)。
ちなみに最初の日から彼らの寝床は変わらないまま、一つの布団でWナルトは寝ている。
ので、当然さっきまでフツーーにナルの部屋で一緒の布団の中に入りこそこそお話していたところだ。

だと言うのにナルは突然スックと起き上がりナルトのパジャマを引っ張った。


「どこ行くんだ?」
「秘密だってばよー」
ニシシと小さく笑いうナルにパジャマを引っ張られ、首を傾げながら後をついて行く。
もしかして、と浮かんだのはとある部屋へと近づいた時。


未だ入った事はおろか、近づいた事すら無いその部屋はいつでも人の気配がしている。
知らない気配なのに、なんだか暖かい気分になる。

そこにいるのが誰かは想像つく。でもどんな人なのかは待ったく知らない。
父については聞きたくなくても四代目信者がベラベラ話していたからある程度の人となりは知っていた。
あんな親バカだったのは予想外だったが。
しかし、その人については特に情報が入らなかった。こちらも別に聞こうなんて思わなかったから
気にもしなかったが、
今となっては少しぐらい予備知識が欲しかったと思ってしまう。

そう、その人・・・・母の部屋の前にいる今となっては。

「入るってばよー」

ちょ、待ったーーーーなんて言葉をかける間もなく、ナルは返事すら待たずに戸を開いた。

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 4番隊の月と雲 〜月と父とパラレルな世界 33〜 
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なぜ、今日突然の訪問だったのか、理由はわかる。

今夜は珍しく四代目が残業だったのでトラベラー+ナルの夕飯だった。
未だ帰宅していない所を見ると恐らく暗部の方の仕事ではなかろうかとナルトは思っている。
理由はわからないが、父に内緒で母にナルトを会わせてしまおうと思い至ったのだろう。
こんな時間だと言うのに布団から身を起こしていた母はゆっくりとこちらを振り向き
キョトンとした目をすると


「あら。あらあらあらあらあらあらあらあら」
止まらない『あら』。
しかもジリジリと膝で詰め寄ってくるその人に思わず一歩後ずさってしまったナルト。
そんな珍しいくらいに動揺しているナルトを見て、ナルは小さな声で母を叱った。

「母ちゃんっ」
「あら・・・。ごめんなさい他に言葉が出なかっただけよ。だってナルちゃんが二人いるのよ。
ちょっとビックリしちゃったわ。先に教えてくれてもいいじゃない。」
唇をとがらせ子供のように拗ねて見せた母にナルは偉そうに指を立てて諭す。
「そんな事したら母ちゃん自分から乗り込むからダメだってばよ」

確かに自分の体調をかえりみず、ダブルナルトを見る為に家中を捜しそうだな。
と、ナルトですら思ってしまった。


「いちおうね、お客様がいらしてる事は聞いていたのよ。でもこんなビックリするお客様だなんて
思いもしてなかったわ」

そらそうだ。
異世界からのお客様だなんて予想に入ってたらその想像力にシカですら完敗だろう。

「ご挨拶が遅れてしまってすみません。」
軽く頭をさげ床に正座ですわると

「何故か違う世界からやってきました、うずまきナルトです。他にはカカシ、サクラ、サスケと
おそらくご存知であろう人間が揃い踏みです」
背筋を伸ばしきちんとした(?)挨拶をする我等がしっかり者の黒ナルト。

4代目に対しては元気小僧で対応したが彼女は別だ。
何故か?

だって必要ないから。
なるが、可愛い可愛い俺のなるが(いつの間にか自分のもの認定(笑))4代目とは違い全幅の
信頼をよせる目の前の人に嘘なんてつく必要は無いだろう。


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 4番隊の月と雲 〜月と父とパラレルな世界 34〜 
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「あら、異世界からいらしていたのね」
「はい。」
すっごくあっさり納得されてしまったのはどう判断すべきなのだろうか。
ナルトが2人=異世界から来た
なんて簡単に想像つくのでしょうか?

もっと最初に隠し子とか親戚とか誰かが変化しているとか疑わないのでしょうか?

「未来から来たのかしら、とは思ったけれどね。なるちゃんと同じ空気を感じるもの疑う筈もないわ。」
さすが母は強し。


「ちなみにナルト君は何故異世界と判断したのかしら?」
「存在しない人が存在していましたから、ですね。」
「・・・そう」

細めた瞳に何かを察してくれたのか聞き返すこともない。
そんなシリアスな空気をものともしないのは可愛い可愛いなるである。

「母ちゃんっ兄ちゃんはすっげーつえーし頭いいんだってばよ!」
自分の事のように自慢げに話すナルに二人で笑みを浮かべてしまう。

なんだろうか、この孫を見るような気分は。

「そうなの。凄いわね」
「まあ、それなりには。」
ニッコリ肯定してみれば ふふ、なんて微笑まれる。

ああ癒されるなぁ。


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 4番隊の月と雲 〜月と父とパラレルな世界 35〜 
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「そんでもって兄ちゃんの所にはやっぱりネッケツのイルカ先生がいるってば!」

次いで大好きなイルカ話。うん、可愛いな←何しても可愛いらしい

「あら、イルカ君はどこでも元気ね」
「ちなみに下忍の担任はカカシです」
「まあ・・・カカシ君につとまるかしら?」

何気に手厳しいですネ。

「まぁ、それなりに頑張ってますよ。それなりに。」
聞き逃して欲しくないので二度いいました(笑)

「そう、それなりにしか出来てないのね」
正しく受け取ってくれてありがとーー 

「カカシってあの変な人だってば?あんなん担任なんて兄ちゃんがかわいそーだってばよ」

うーと上目使いで潤んだ目で見られてしまい胸が熱くなる。

「大丈夫。テキトーにやり過ごしてるから安心しろよ」
なでなで心ゆくまで愛でまくりナル母に視線を向け 

「グッジョブです。素敵な子育てありがとうございます」
親指を立て大絶賛。
「うふふ。ありがとう。可愛いでしょ。犯罪級でしょ。欲しいでしょー」
「全ての問いに『当たり前』と答えましょう」

お互いに笑みを深め、ガッチリ握手をした。


「心から尊敬します。」
「あら、嬉しい」


よく解らない友情が芽生えたっぽい二人にピュアホワイトなるは、にっこにっこしながら

「母ちゃんと兄ちゃんならぜってー仲良しになれるっと思ったってばよ!」

満足気に言い切った。





3へつづく