「「「鳴かぬなら」」」


「『鳴かぬなら○○○○○○○ホトトギス』ってあるだろ?」

突然コナンが言った。

場所は黒羽宅。母は久しぶりのバーゲンに朝から張り切ってでかけており夕方まで帰ってこない。

東西の名探偵+怪盗KIDは穏やかに三人でゲームをしていた。

そして快斗vs服部のレースゲームを背後で観戦していたコナンは突然真剣に車を走らせている二人に問いかけたのだった。


「ああ。鳴くまでまとう。とかあの織田君達が言ってた奴だろ?」

もちろん知っている快斗は画面から目を離さずに即座に答える。

「織田君って・・・お前の友達かぃな。」

勝敗がつき負けた服部は八つ当たりもこめてか快斗の頭をはたいた。

たいして痛くはなかったが快斗は口をとがらせて服部に反撃する。

「いーじゃねーか。君とかちゃんとか親密に呼ぶとなんか身近な感じがして歴史とか覚えやすいんだぜ。」

元々頭の出来がいいせいでそんな苦労したことがない快斗がいうとなにか嘘くさい。

「ああ。そういや蘭の奴も源頼朝のこと頼ちゃんとか呼んでたな。」

あの時はなにが頼ちゃんだとか思ったがそういう意味があったのか。

納得納得とコナンはうなづいた。

「おいおい工藤。そんな簡単にこいつの言葉信じてええんか?」

「あ?違うのか?」

不思議そうに問われ服部は言葉につまった。

「嘘・・やないんか?黒羽。」

「しらねー。だって俺そんなん呼ぶ前から歴史完璧だもん。これ青子のうけうりー。」

全国の受験生を敵に回すような事をひょうひょうと言う快斗。

「なんややっぱそうなんか。お前がわざわざ歴史覚えるためにそんな技編み出すわけないやろおもとったけど。」

「それじゃあ。女子の間だけのはやりか?」

せっかく納得いく説明が出来たと思ったのになあ・・・コナンは女達の考え方に首をかしげた。

「ま、ええやん。そんな事よりくどーホトトギスがどないしたん?」

「あーそうだよ。その話だったな。」

服部と快斗はコナンに向き直ると話をうながした。

「いやお前らはどのタイプなのかな・・って思ってさ。」

「俺は温厚だからな鳴くまで待つぜ。」

「俺もや。」

即答の二人にコナンは眉をよせる。

実を言うとコナンは「鳴かせてみせよう」派なのだ。

なんだかなー俺だけ乱暴者みてーじゃねーか。

一人ぶつくさつぶやくコナンを後目に二人はお昼ご飯を作るからとその場を去った。



台所では適当に冷蔵庫を覗く快斗と暇そうにテーブルに腰かける服部がみられた。

「なあ黒羽ー。」

「んー。」

「さっきのやけどな。もう一つ新ことわざがなー。」

「ああ俺もあの時思い浮かんだ。」

「鳴かぬなら「泣かせてみせよう」このテクで」
「鳴かぬなら「泣くまでやろう」このテクで」

二人同時に言い放ち、そして瞬間顔を見合わせる。

「うっわ下品やなーなんや泣くまでやろうって。」

「お互い様だろ。だいたいお前なんだよそのテクって。」

「そりゃあスペシャリストの俺の指で喘がしたろうっちゅーことやろ。なんやお前のテクは違うんか?」

「・・・・いや。俺も同じ意見なんだけどよ。」

「あの時言いたくてたまらんかったんやけどなー。工藤の前で言ったら口聞いてもらえんくなるやろうし。」

「コナンちゃん恥ずかしがりやさんだからね。」

とっさに頭で変換した瞬間きっとコナンは真っ赤になるのだろう。

しかも泣かせたい相手はコナンなのだ。敏感に察知されてしまったら怒るどころじゃすまないかもしれない。


二人は肩を落とし道はまだまだ遠いな・・・。とはかなく遠くを見つめた。



「鳴かぬなら・・・・鳴いてくれるの待つしかないって心境だよな。新一の場合・・・。」

「せやな。待つしかない・・・それしかないんやな俺らの選択肢って・・・。」

なにせ工藤やしな・・ハアと大きなため息をつきつつ服部。

鈍感でいて、さらにそう言うことに疎くて、さらにちょっと潔癖なところのある江戸川コナンこと、工藤新一。

落とすには一に忍耐二に忍耐三四がなくて五に根性。

なんて気まぐれなホトトギスなんだ。

二人は今更ながらに己のライバルに同情するのだった。

邪魔なライバルだが、心強いライバルでもある。

とりあえず一緒に頑張るか。

あの手強いホトトギスを落とすために。

二人は無言で通じあうとギュッと誓いの握手を交わすのだった。




「快斗達おっせーなー。なーー昼飯まだーー?」

自分で作る気はまったくないコナン。

こんなのんきな事を言っていられるのは一体いつまでやら。

すぐそばで強力なタッグが出来たというのに彼は気づかぬまま。

果たして二人掛かりでもこの天然鈍感にかなうのだろうか?



世の中は惚れられた者が強いのだから。

「なー腹へったーーー。」

「はいはいはいはい。」
「ちょぉ待てやー。」

頑張れ弱者達。


end



あとがき

すみません。こんな駄文を彩様におしつけてしまいました(涙)
こんな・・こんなお下品なお言葉・・・
泣かせるって何ーーー。
このテクって何ーーー。
喘がせるって何ーーー。

ふふ・・・こんな話が楽しいって人・・・
私とお友達になりましょう(笑)