その日はクリスマスの数日前 ”クリスマスツリーの起源はドイツだって言われてるらしいよ” ”小さいころに親父に一度連れて行ってもらったんだ。すげえきれいだった” ”いつか、一緒に行こうね・・・・” あれから五年が経った。 自分の隣に、あいつはいない・・・・・ |
Tannenbaum
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今日はクリスマス・イヴ。 その店のひとつで新一は、グリューワインを買った。冷えたからだが芯から温まっていく。 いつか2人で来ようと言っていた。それから少し経ってから、あいつは行方不明になった。 怪盗という裏家業をやっているせいで命を狙われることは前から何度もあった。しかしいつもあいつは何度となくその危機を切り抜けてきたのだ。だから、安心してしまっていたのかもしれない。 その日、あいつはいつもどおりに出掛けていった。笑顔で、すぐに戻ってくるといって。
警察が周辺をくまなく捜したが、それらしき人物は見つからず、モノクルなどが落ちていた場所が だが、新一は信じなかった。遺体もないのに、死んだなんて信じられなかった。
あれから五年。 クリスマスの数日前、ふとあの時の会話を思い出す。ドイツへ行こう。そう思い立ち、そしてすぐに 「言っていたとおりだな。本当にきれいだ・・・・」 街の中を歩いていた新一の耳に、ふと聞こえてきた歌があった。 O Tannenbaum, o Tannenbaum, Wie treu sind deine Bla"tter! Du gru"nst nicht nur zur Sommerzeit, Nein, auch im Winter, wenn es schneit. O Tannenbaum, o Tannenbaum, Wie treu sind deine Bla"tter! それは、あのときにラジオから流れていた曲。自分をここまで誘ったもの。涙が頬をつたった。 「かい・・と・・・!」 いつまで待てばいい?いつになったら帰ってきてくれる?いつになったら・・・・・・・・ 今まで耐えてきたこと。決して泣くまいと。でも、もう限界だった。 「どうして、泣いてるの・・?」 声が聞こえたとともに、後ろから温かなぬくもりに包まれた。
「っ・・てめぇのせいだろ!」 「・・・ごめんね。」 ますます涙があふれてくる新一を今度は正面から抱きしめる。苦しいほどに強く。
「かなりの怪我を負ったんだけど、なんとか生きててさ。でもやつらの目をくらませるために色々残しておいたんだ。すべて片付いたから、新一の家に行ったんだけどいなくて。もしかして、ここかな、と思ったんだ。」 ここのこと、前に話したからね。 「そう、か。」 新一が泊まっているホテルへと戻り、快斗は今までのことを話して聞かせた。新一は、強く快斗にしがみつく。 「もう、行くなよ?どこにも行くな・・・・。もし、どこかに行くときは・・・・」 快斗の目をまっすぐに見てささやいた。 「俺も、連れて行け・・・・」 もう、ひとりは嫌だ・・・・・・・・ 快斗は新一を強く抱きしめ、強くうなずいた。
O Tannenbaum, o Tannenbaum, O Tannenbaum, o Tannenbaum, O Tannenbaum, o Tannenbaum, もみの木 もみの木 いつも緑よ もみの木 もみの木 こずえ静かに もみの木 もみの木 繁れ豊かに END
01/12/21 |
クリスマスソング第3弾です。 有名な「モミの木」ドイツ語バージョン。(いや、こっちが本当か・・・) ドイツの街の様子は想像です。行ったことがありませんので(^^; でも、きれいだとは聞いたことがあります。 しかしこの話、書いていて恥ずかしかった(///) なれないことは、しない方がいいのかもしれません(苦笑) |
期限すぎていたのにおねだりして頂いてしまいました。
すみません友華さま。
ありがとうございますっっ。
このお話大好きなんです。
(By縁真)