月虹
 
 
 
 
静まりかえった室内に雨の音が響いていた。
 
電気も点けず、ただテレビの光だけがコナンの顔を照らす。
 
蘭も小五郎もすでに上で眠りについている。
 
コナンは一人、事務所に降りてテレビをつけていた。
 
見てるんじゃなく、つけてるだけ。
 
別に見るものはない。…見るものは突然できるはずだから。
 
一分と点けられたままのチャンネルはなく、次々と変えられていく。
 
 
 
 
ふと、今まで無かった画面が液晶に映った。
 
思わず次のボタンを押していたコナンは、あわててその画面を探す。
 
どうやら緊急ニュースのようだ。
 
アナウンサーの男性がが少し焦ったように告げる。
 
 
“えー…たった今入ったニュースです。さきほど杯戸シティービルに現れた怪盗キッドがビックジュエル・ブルーティアーを盗すんで逃走したとのことです。繰り返します、今入ったニュースによりますと…”
 
 
ほっ…、と安堵のため息が口から漏れる。
 
どうやらやつはちゃんと警察をまいたらしい。…まぁ、心配しなくてもあいつはいつも通りだろうけど。
 
 
コナンはテレビの電源を切った。
 
そのまま、いつもは小五郎が使っているいすに座ったまま目を閉じる。
 
耳に、雨の雑音だけが焼き付いていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
…急に雨の雑音が大きくなったような気がした。
 
コナンは顔を伏せたまま目を開いた。――背後に誰がいるかなんてわかりきってる。
 
 
「…今晩は、名探偵」
 
「…よぉ、怪盗」
 
 
イスごと振り返りながら背後に立つ白い怪盗に向けて言った。
 
振り返った先には、予想通りの白い怪盗。
 
「お待たせして、申し訳ありません。少々手間取ってしまって…」
 
白い怪盗はコナンの前に恭しく膝を折ると、その手の甲に口づけをした。
 
「…誰も待ってなんかいねーよ」
──ったく、こいつは…。
 
この怪盗が警察なんかに手間取るはずはない。確か今回は関西人もロンドン帰りのやつも手を貸してないはずだから…。
 
だとしたら何に手間取ったのか?
 
考えつく前に、怪盗が付け足した。
 
「今夜は涙で濡れた姫を救い出せるでしょうか…」
 
そういえば今日は昼頃からずっと雨が降ってたっけ…。…でもこいつ、服濡れてねーぞ?
 
そんなことを考えながらコナンはイスからおりる。
 
「…そろそろあがるんじゃねーの?」
 
二人して怪盗が入ってきた窓の外を見上げる。コナンの言うとおり、少し雨脚が弱まっていた。
 
「…お待たせしてしまったお詫びに、夜間飛行などいかがですか?」
 
「え?」
 
気がついたときにはすでに、二人は小雨の降る空へと舞上がっていた。
 
 
 
 
 
 
「…なぁんで雨の降る中傘も持たずに外に出なくちゃなんないんだよ」
 
空を跳び続ける俺の腕の中で愛しい恋人がさらりと言ってのける。そんなところも可愛いんだけど
 
「いーからいーから。…すっげーもの、見せてやるからさ
 
「…なんだそれ」
 
コナンは少し不満だったがそのままにしておいた。──どーせ、俺がホントに喜ぶことしかしねーんだし。
 
いつの間にか雨も止んでしまっていた。
 
満月の光が少しずつ差し込んでくる。
 
「…ほら、見てみろよ」
 
キッドに言われて見上げた先には…──。
 
 
大地に架かる、白い橋。
 
 
「……月虹…」
 
「そ。涙に濡れた姫がくれる、とっておきのプレゼント…」
 
思わず見とれていたコナンに、キッドがウインク混じりに言った。
 
「滅多にないんだぜ?月虹自体見れるの」
 
キッドの言葉に、もう一度白い橋を見上げる。…確かにいろいろな条件がそろってないとこんな橋は見れないはずだ。
 
コナンが黙ってこの白い橋に見とれているのを見て、キッドは嬉しそうに微笑むとすぐにむっとした顔になる。
 
何となくそんな気配がしたと思ってコナンはキッドの顔を見やると、案の定、不服そうな『快斗』の顔があった。
 
「…んだよ」
 
「だってだってぇ〜!!コナンちゃんったらお姫様のプレゼントばっかりで俺のこと見てくれないんだもん!」
 
世界の怪盗キッドがこんなことを言っているのはやっぱり似合わない。
 
「…自分が見せてやるって言ったんだろーが」
 
「でもでもぉ〜!」
 
聞こえるように大きくため息をつくと、コナンはやってられないとまた橋の観賞を始めた。
 
そんなコナンを見て快斗はにんまりと笑う。
 
「じゃ、俺のこと見てくれるようにするぅ〜
 
「な……っん…」
 
いきなり降ってきたキスに口をふさがれてしまう。
 
触れるキスから、すぐに深いものに。
 
コナンの息が切れる前に、快斗は名残惜しそうに離れる。
 
「ぁ……」
 
見ればコナンの方も同じのようだ。…潤んだ瞳が快斗を見つめる。
 
…か、可愛いぃぃぃ〜vvvvv
 
「…俺だけを見ててよ」
 
吹っ飛びそうな理性を何とかつなぎ止めて耳元で低く囁く。
 
とたんに微かに震えたコナンを腕で感じてしまうとつなぎ止めた理性も意味がない。
 
「〜〜っよーし、今夜も俺だけを見ててね、コナンちゃん
 
「なっ!!おい!!」
 
ハングライダーのコースが変わり、毛利探偵事務所からどんどん離れていく。
 
 
 
 
 
次の日の朝、寝不足のコナンちゃんがその理由を某科学者から聞かれたら、真っ赤になって逃げ出したとか。
 
 
 
 
                                               おしまい
 
 
 
 
 
 
 
 
あとがき
 
月虹って見たこと無いなぁ、とかぼやきつつ書きました。
……何を言いたいのかよく分からない駄文(…これを文と呼べるのなら)。
ぜんぜん意味わかんないし(汗)
思ったより早くできあがったので早速送ったのですが…。
こんなの押しつけてすみませんm(__)m
 
  赤森翌架
 

素敵な地雷品をありがとうございます赤森さん。
もちろんちゃんとした文ですよっ小説ですよっ。
私の書く駄文なんかとは格が違います(当然私がスッポンのほう。)
ああ・・コナンちゃんラヴリー。KIDはやっぱりメロメロでいてくれなきゃダメですよね〜
これでこそKID様。
意地っ張りな彼を強引にさらっちゃえるのは彼しかいません!!!
私は哀ちゃんになりたいです。
そして二人の恋路をあたたかーく見守りたい(笑)