過去と現在の姿が逆転してしまった者達。
 その姿はとても幼く、そして大きい。
 子供なのに子供ではない者達。
 大人なのに大人ではない者達。

「この姿になってさ……よく分かった事があるんだ……」
「……それは何だい?探偵」
 白い者は子供へそう問う。
 子供は何処か大人びた笑みで答えた。
「子供だから出来る事、子供だから出来ない事があるんだなぁ……って……そんな当たり前の事が分かった」

 子供だから死体は見せては行けない。
 子供だから喋っても平気。
 子供だからここには入れる。
 子供だからここには入れない。
 子供だから
 子供だから

 コドモダカラ―――


 偽りの自分でいるのは 辛い?

 もう慣れた。

 嘘。

 慣れる筈が無い。
 本当の姿に戻りたいと。その喉は叫んで、叫んで。叫び続けて。
 ついには本当に言いたい事も言えなくなる。

 たった一言。言えれば楽になれるのに。
 たった一言。言えばもっと苦しくなるのに。

 言いたい
 言えない
 言いたい
 言えない

 未だに続いている葛藤。


『僕、子供だからわかんない』

 分かってるよ。全部。

『僕、子供だから』

 子供なんかじゃない

『わかんない』

 一番分からないのは自分




 白き者は笑い、呟いた。

『十二時には解けてしまう様な魔法じゃ……貴方を王子様の元へ向かわせる事はできそうも無いね』

 シンデレラは一時の魔法で長い幸せを掴んだ。

 俺は――?

 薬を飲んで、決められた時間が来たら……

 また子供の姿へ逆戻り。

 その後――幸せは掴める?


 泣いているあの子。
 泣いて帰りを待っているあの子。


 幸せは近い所にある。
 幸せは……とても遠くにある。

『王子様はガラスの靴で相手を見つける事が出来た』

 俺の落としたガラスの靴は……誰が持っているのだろうか……

『くすくす』

 白き者は微笑んだ。とても優しい笑顔で。

『王子は愚か者ですよ?』

『自分の愛した人を「靴が履けた」だけという理由で「見つけた」と手を差し伸べた』

 それが本当に愛すべき者ならば、出会った瞬間に見分けられる筈なのに……

『魔法は人の目をくらませる……だから度々使う事は出来ない……』

 そう呟くと白き者は大空へ舞っていった。

『それでも……貴方のガラスの靴を私は見つけだしたい』

 そして靴を持って迎えに行きたい。

 貴方を―――


ありがとうございます葉月さま。
縁真の大好きなKID×コナンですっ。
きゃーー無理矢理ガラスの靴履かせて連れ去っちゃってーーー!
と乙女の煩悩が叫びます(笑)