無自覚な夜


見つからないそれに苛立って。


 そして出会った小学生。


 蒼い目を光らせるその彼が。


 ――――――自分の救いになるなんて、考えもしなかったよ。














「外れですね」



 獲物を月に翳しながら呟く。


 それに多少の諦めが混じっていても、誰もか自分を責めることなど出来る筈がないと思っていた。

 だってこの思いを抱いているのは俺しかいないんだから。

 だから俺が今更どう思おうと、誰も何を言う権利はないと、突き放していた。





 中途半端な同情や慰めは要らなかったから。





 ネオンの海に照らされて輝く夜の闇。自然の光が人工の光に遮られているようにすら見える。それが酷く不快で、キッドはポーカーフェイスの下で顔を顰めた。










 月光を弾くアクアマリン。

 用済みのそれをここから落としたい衝動を何とか堪えて。

 キッドは白いハンカチにそれを包みポケットに入れて、警部たちに返品すべく無線に耳を傾けた。






 彼らはやっとダミーに気付いたらしい。かんかんに激怒した中森警部の怒声がかすかにイヤホンから漏れる。相変わらず元気な人だ。そろそろ歳だから行動に気を付けないといけないだろうに。

 怒らせている本人がそんなことを思いながら、ため息を付く。やはり彼は自分の相手に役不足。今回は倫敦かぶれの探偵もいなく、手応えという手応えはなかった。












 …つまらないな。




「私と対等に渡り合える人物はやはり、一人だけですか…」




 不意に、思い出す。




 それは不敵なブルーサファイヤ。


 夜の闇の中でさえ輝き相手を惹きつける。真実を追い求める強さを持つ、まだ小さな少年の姿を脳裏に描いた。







 誰が信じるだろう。

 警察を手玉に取る怪盗キッドを追い詰めることが出来るのは、小学低学年の少年一人だなんて。






(彼がいれば、何時もと違うスリルある対決が望めるのですが…)




 何せ彼は小学生。自分の活動は深夜だ。

 小学生は寝ている時間だろう。










 ――――もしも。

 もしも彼が、小学生じゃなくて、そう。たとえば同い年だったら。



 最高のゲームが楽しめるだろうか?



(…いや。彼は子供というハンデを負いながら、私と対等に渡り合っている…)



 もし自由に動けるようならば自分は危ないのかもしれない。

 子供でよかったと安堵すべきか、それとも。











「−−−彼は、彼ですね」


 子供とか大人とか。

 そんなこと関係なしに。

 −−−−−−−−−彼が彼であるからこそ、自分と対等であれるのだ。

















 …逢いたくなって来た。いまだに巡り逢えない姫君よりもまず、蒼い至宝の宝石に。



























「寝てますかね」

 だったら起こしましょう。









 向こうの予定は御構い無しに。

 キッドはハングライダーを広げてネオンの海へ身を投げた。















 そうして逢いに行くのは何度目だろう。



 その日は決まって犯行日。気分は決まって参っている。



 なかなか見つからないそれに焦燥が募り、本人の自覚がない間に蓄積していくそれを、彼は傍にいることで癒してくれるから。



 勿論、本人たちは無自覚だ。




















「また来たのかよお前」

「はい。お邪魔してしまいました?」

「蘭とかおっちゃんが起きてたらどうするつもりだったんだよ」

「でも彼らは眠っていたでしょう。そして貴方が起きていた」

「…あのな」

「もう眠っている時間帯ですが…眠れないんですか?それとも」





 −−−−−−−私を待っていてくださったんですか?







「ば、ばーろぉ!いい気になるなよバ怪盗」

「なりますよ。そう思わせていただきます」

「違うって!」

「さあ、どうでしょう」









 彼らが気付くのは何時の日か。



 それはまだ誰も知らないこと。























 4/6/19


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こ、こんなのでよろしいですか??

即席なので何を書いているのか…ああ。

乱文失礼しました。

byコウ
地雷小説

縁真さまへ

素敵な小説をありがとうございますコウさま!!
さすがコウさまですっ

惹かれあっている・・けどまだ気づかない・・
いいですよねぇ
こういう二人!!
久々に萌えさせていただきました
ありがとうございましたっっ

縁真より