「今宵、空の下で・・・」
真夜中のビルの屋上、風に乗ってパトカーのサイレンが聞こえてくる。 一定のリズムで上下する、明るい青のアクアマリン。 「なぁ、名探偵。」 呼びかけたのは、器用にフェンスへ腰掛けている、さっきから走り回る、パトカー達の求めている人物。 「何だ?」 突然の言葉に、宝石に向けていた意識を、前方の人物――怪盗KIDに移す。 「おまえって、探偵やってる割には、犯罪行為けっこうしてないか?」 「それが?」 「探偵がそんなことしていいのか?」 既に答えのある質問に、コナンは僅かに、背後の壁から浮かしていた体を、また壁に預ける。 そして、宝石を指先で玩び、言葉を選ぶ様に、ゆっくり話し出す。 「俺は、犯罪者が許せない、なんてちゃちな・・・つったらそう言う奴に悪いが。 上手く言葉に出来なくて、ちょっと顔をしかめる。 (まぁ、”自称”では頭良いらしいから、わかる、だろ。) あからさまに、理解を催促するのは忍びなく、キッドのからの言葉が来るまで黙る。 「それじゃ、俺を追いかけてくる探偵くんは、俺を捕まえようとしてねーのか?」 「いんや、てめーのその面、警察に突き出そうとしてないわけじゃないぜ?」 その言葉に、キッドは肩をすくめる。 「にしても、いちいち探偵を小馬鹿にしたような言い方だな。」 不機嫌オーラ最高潮で睨み付ける、小さな名探偵にキッドは楽しそうに、口元を笑みの形に変える。 「探偵に、良いイメージが無いんでね、でも、名探偵は好きだぜ。」 「はぁ?んだそりゃ。」 「あれ、俺の気持ち、わかんないの?名探偵♪」 どうやら随分と上機嫌らしい怪盗に、脱力の余り落としそうになる宝石を、ポケットに避難させる。 「前から思ってたけど、お前、頭おかしいだろ。」 「失礼だな・・・っと、もう良いかな。」 「ん?」 コナンは腕時計を見て、何かを始めるキッドに目を向ける。 (その間中、キッドを捜してる警部達が、何て可哀相なんだ。) 絶えず風に乗って聞こえるサイレンの主達に、本気の同情を覚えてくる。 「名探偵、やっぱおまえ気付いてないだろ、俺がずっとここに居る理由。」 「気付いてたら、とっくに帰ってる(きっぱり)」 その返答を返すまでの時間、わずか0.1秒。 「・・・いいけどさ、別に、それより。」 既に手の中にある、お馴染みのトランプ銃で撃ち出されたのは、一輪の花。 「・・・これは!」 コナンの足元にあるのは、ドライフラワーとしてよく見かける、紫色の小さなスターチスと、その脇についた、黒い球。 「・・・ったく。」 煙が消えれば、キッドの消えた屋上が見えるだろうと、 「まだ気が付かねーんだな、名探偵。」 「は?」 顎に手を添えられて、キッドの方に顔を向けられる。 「Happy birthday 名探偵。」 目の前にあるキッドの顔に困惑しながら、にっこり、と楽しそうに笑っているキッドに悪寒が走る。 「!!?」 コナンの唇に触れた、キッドのそれ。 「俺の言葉は、本物だぜ。コナン。」 コナンの混乱が拭いきれる前にキッドはその場から離れる。 「は〜、かっわいかったなぁ、コナンちゃん♪でも、あそこで耐えた俺も偉いな、うん。
現・・・五月四日 十二時七分 屋上にいる少年は、唐突に古典的な仕草で、手の平にこぶしをぽんっ、と打ちつける。 「・・・・・そうか!今日は俺の誕生日か。」 既に、忘れられてます。キッドさん・・・ スターチス(紫)・・・五月四日の誕生花。 |
地雷24968ゲッターの「利さま」より頂きました。
私の大好きな形式です。
コナンが鈍感。KID様哀れ(笑)
どこまでも気付かないコナンと一人宇宙の果てまで空回りするKID様。
いいコンビですよね。
というか笑いました。「そうか俺の誕生日か」に。
どうやらコナン君はそちらの方に気を取られてすでに
他のことは忘れ去っているよう・・・KIDぉぉぉ君が可哀想でたまらないよ。
利様素敵な小説ありがとうございました♪
By 縁真