The first Noel, the angel did say,
Was to certain poor shepherds in fields as they lay, In fields where they lay keeping their sheep, On a cold winter's night that was so deep. Noel, Noel, Noel, Noel, Born is the King of Israel. |
新一の家へと行く途中の公園からふと聞こえてきた有名なクリスマスソング
歌い終わった少年に快斗が拍手を送ると少年は驚いたように目をパチパチとさせていたが、すぐににっこりと笑って”Thank You”と言った。 快斗もにっこりと笑いかけ、少年に目線をあわせて話しかける。 『とても上手だったよ。でもどうしてこんなところで歌ってたんだ?1人なのか?』 見ると周りにはこの子の親らしき人物は見当たらない。すると、少年はうつむいてしまった。 『ぼく、家出してきたの。』 「で?」 出迎えた新一は、快斗と手をつないでいる少年を見て眉をひそめた。
「で、ってほっとくわけにもいかないだろ?もうそろそろ日が暮れるし、なにかよほどの理由があるみたいだし。」 だめ?と目で聞いてくる快斗に新一はため息をこぼし、苦笑する。 「ま、とりあえず入れよ。外は寒かっただろ?」 快斗に言った後、新一は少年ににっこりと微笑み、君もね、と英語で告げた。 手をつないだまま中に入っていく2人に新一は思わず笑ってしまう。 少年には暖かいココアを、新一には紅茶を渡して、快斗自身も紅茶片手にソファに座った。 『じゃあ、何があったのか話してくれる?』 『・・・・・』 少年はまたうつむいてしまった。 『そういえば、さっきの歌、なんて題名だったっけ?え〜と・・・』 『”The First Noel”だよ。』 『そうそう、それ。あの歌好きなのか?』 『うん!あれは、ママが・・・』 少年は再びうつむいた。 『ママがよく僕に歌ってくれたから。僕の名前がたくさん出てくる歌だって。』 悲しそうに呟いた。その様子に快斗と新一は顔を見合わせる。 『君の名前、教えてくれるかい?』 新一がやさしく尋ねる。 『ノエル、だよ。』 『ノエル。へぇ〜、”クリスマス”、か。いい名前だね。』 にっこりと微笑みかける新一にノエルもにっこりと笑い、うん、と大きくうなずいた。 『僕がね、クリスマスに生まれたからなんだって。ママが言ってた。僕のパパがつけてくれたの。・・・・・・・でも、最近2人とも喧嘩ばっかりしてるの。』 ノエルは泣きそうになって呟く。 『パパとママ、どっちがぼくをきちんと育てられるのかって。ママはぼくをお歌の有名な学校に入れたがってる。パパはお勉強の方が大事だって。ぼくにどちらがいいのか選べって。』 『それで、家出してきたのか?』 ノエルは涙を瞳いっぱいにためて、こくんとうなずく。新一はノエルの前まで行き、目線をあわせてやわらかく問いかける。 『それで、ノエルはどうしたいんだ?』 『ぼく?』 『そうだ。ノエル自身はどうしたい?』 『ぼくは・・・・パパとママ、2人とも大好きだから、どっちとも離れたくない。ぼくはパパとママのためだけに歌いたいの。』 『そうか。』 新一はノエルの頭をなぜてやる。 『よし!』 突然快斗が立ち上がり、ノエルの近くへときた。 『お兄さんにまかせなさい!必ずパパとママを仲直りさせてあげるよ。』 『本当!?』 「おい、快斗・・」 『ただし、ノエルの協力も必要だからな!きちんとがんばるんだぞ?』 『うん!』 『よし、今日はもう遅いから、寝よう。すべては来週のクリスマス・イヴだよ。』 快斗がノエルを抱き上げて部屋を出て行く。
「おい快斗、何をするつもりだ?」 「なにって、ちょっとショーを開こうかと思ってね。」 「ショーって、まさかキッドに・・・・・・・?」 「でも今回は予告状は送らないよ。送るのは2人への”招待状”さ。ショーの主役は俺じゃなくてノエルだけどね。」 楽しそうにも見える快斗の様子に、新一は不安げに聞いた。 「大丈夫なのか?あんなこと言って。」 「私に不可能はありませんよ、名探偵?」 にやりとあの怪盗の顔で笑う。 「でも、俺からの新一へのクリスマスプレゼントでもあるから、新一も絶対に来てくれよ?」 新一へキスを仕掛けながら快斗がささやく。 「・・・・わかった、行くよ。」 新一も苦笑してそれに答えた。 突然消えてしまった息子に、ノエルの父と母は驚き、さがしたが出てきたのは 捜索願を出し、必死でさがしまわる2人のもとに届けられたのはかの有名な大怪盗からの予告状、いや、招待状であった。
そこは人気のない小さな林であった。2人が林の中へ足を踏み入れた瞬間、周りの木々が突然さまざまな色のライトで光りだした。あたりは一気に明るくなる。 『今宵は私のショーへようこそ!存分にお楽しみください!』 『キ、キッド!?』 突然目の前の大きな木の枝に現れたキッドに2人とも驚いた。
『さて、前座はこれくらいにしておきましょう。次からがこのショーの本番です。あなた方に素敵な天使の歌声をお聞かせしましょう。』 キッドが指を鳴らすと同時に、ある一点にライトが集中した。そこに立っていたのは・・・ 『ノエル!!』 だが、ノエルは、その声に返事をせずに歌い始める。 Then entered in those wise men three,
Full reverently upon their knee, And offered there in His presence, Their gold, and myrrh, and frankincense. Noel, Noel, Noel, Noel, Born is the King of Israel. 『ノエル・・・・』 『パパ、ママ、ぼくは2人とも大好きだから、どちらかを選ぶなんてできないよ!ぼくはこれからも、2人のために歌いたい!』 ぽろぽろと涙を流すノエルに両親は駆け寄って力の限り抱きしめた。
「よかった。もう大丈夫だな。」 「そうですね。彼のショーは大成功でしたね。」 新一がふいにキッドのネクタイを引っ張る。 「しんい・・」 驚くまもなくキッドは新一にキスされた。 「お前のショーもよかったよ。」 赤くなり、照れたようにそっぽをむく新一にキッドはしばし呆然としていたが、やがてうれしそうな笑みを浮かべた。
「新一、メリークリスマス。」 そして今度はキッドからキスをした。 END
01/12/12 |
お持ち帰りオッケーだったので頂いてきました。
友華さまのクリスマスノベルです。
いいですよねー英語で会話・・かっくいー。
英語の歌詞にこれまたうっとりですよ。
クリスマスって感じですよねっ。