金の髪と青の瞳の子供には近づいちゃいけません。 なんてバカなことを言う大人が沢山いる。 俺は不思議でたまらなかった。 「なんで?」 聞いたら親父たちは困ったような顔をした。 「なんでだろうなぁ。バカな大人ってのは沢山いるもんだよな。」 「シカはそんな大人になっちゃ駄目よ」 「?うん分かった。でもさ、親父たちも、少しはそのバカな大人に同意してんだろ?」 「「・・・・・」」 「狐を封じられたって書いてあった。封じられたって事はさ、その子供はツボ代わりなんだよな?坊主憎けりゃ袈裟まで憎いって? でもその子供はなんで封じられたわけ?その子供が何かした?その子供の親族が何かした? ただ、それを封じられるだけの力を生まれながらに持ってた・・・それだけだよな?それってそいつがその日に生まれなかったらこの里とっくに滅亡してたってことだろ?めちゃめちゃ英雄じゃねーか。」 たった2才の子供の言葉に両親は何もいえなかった。 っつか・・ 「お前それをどこで・・」 「あー。ちょっとテレビで」 「やってるわけないでしょっ」 ビシッと突っ込まれ幼心にしまったと思う。 疑問を素直に口にしてしまうほどまだまだシカマルもお子様だと言うことだ。←や、2歳ですからっっ ぽり、と頭をかき困った顔で肩をすくめて見せた。 「んー。狐がどーのって五月蝿いから調べてみた。詳しくは載ってなかったけど推測は簡単に出来たぜ」 「お前の頭はどーなってんだ」 「や、興味があることにはフル回転。それ以外は5ミリだって動かないぜ。」 「はー。だよな。そこまで知っているってことはそれを封じたのが誰かも?」 「ああ。ツボ代わりにされた子供の親父だろ?」 「「・・・・・え?」」 サラリと推測からでてきた言葉に両親が驚愕の表情を見せた。 あれ? 「違うのか?じゃなかったらいくら火影って立場でも生まれたての子供に封じたりしねーだろ?それに金髪に碧眼なんて4代目くらいしかこの里にはいないって文献で読んだし・・・え?マジで違う?」 「・・・・・・だよな・・そうだよな・・」 「ええ。そうですよね。思いもよらなかったけど・・・・」 「あの頃確かに4代目の奥方は子供を宿していた」 「ええ。一緒にベビー服見に行ったりしたもの」 「なのにあの騒動の後その子供の消息については出てこなかった」 「奥方様が亡くなられた時一緒に・・・って思ってたから」 「まさか」 「そうなのかしら」 「っつーかさ。4代目の息子だから何だってんだ?そいつはそいつだろ。その子供は紛れもなくこの里を護ってくれた。そんで今も護ってくれてる。なのになんで大人はあんなに忌み嫌うんだ?俺はそれが不思議でたまんねぇ」 4代目の子供ってだけでそこまで見方が変わるものなのか? そりゃ火影って立場はすげぇもんだけどよ、たとえその息子じゃなかったとしても、その火影に無理矢理里の厄介ごと全部背負わされて、しかも全くフォローなし。 それってどーよ? 俺ならこの里破壊するぜ。 そんでもって 「これ以上里ぶっ潰されたくなかったらもう少し待遇考えてくんねぇか?」 とか言うか、それか有り金巻き上げて里出奔するか・・だな。 あー後者のが気楽そー。 その子供。まぁまだそいつも2才くらいだっつーから出奔するのも大変だよな。 やるならもう少し成長してからのほうが。なんて人様の人生なのに真剣に心配しちまうくらいには里の対応にムカついている。 「俺は誰がなんと言おうとそいつに出会ったら、そいつが嫌な奴じゃなかったら友達になる。幸い同年代らしーし。狐とかそーゆーの知ってるガキって他に全然いないらしいから俺が全部分かってそいつの支えになってやるっっ」 子供ながらに決めていた。 ま、そのガキがどう成長しているか次第だけど。 その子供が・・・目の前にいる。 金の髪を揺らして。 青の瞳を見開いて。 白い肌。ピンク色の頬。 華奢な手足。 ぜってー味方になってやるんだ。なんて思ってた。 なのに・・・・。 トクリと胸が鳴った。 その子供のあまりの愛らしさに。 (なんだあの俺好みのブッタイは!!?)←やや錯乱中(笑) その時彼の頭から、あの金の髪を持つ子供は狐を入れられた奴だということは抜け落ちていた。 というか全く関係なかったのかもしれない。(←きっとこれが真相) 小さなパーツに愛らしい仕種。目を離したら大変なことになるっ 俺がついていてやらねばっっなんて庇護欲をガンガンにかきたてる存在にシカマルは信じもしない神様に感謝を 捧げた。 どれをとっても自分好みで、シカマルの為に存在してるとしか思えなかった。←そんなバカな (あれ俺のだよな?俺の為に作ってくれたんだよな?そうだよな?神様ありがとーー!) かなり自分本位な感謝ではあったが。 心行くまで感謝を捧げたシカマルは木にへばりついたまま動かない様子の金色をみた。 きっちりばら色ビーム炸裂中のシカマルには恥ずかしがっているようにしか見えなかったが真実は160°程違う。 彼ははじめて見る生き物に怯えていたのだ。 興味は深々だが、それは遠くから見るときに限る。 こんな真っ正面から対峙する予定は全くなかったナルト。 出来れば近付きたくない。だがしかし興味津々。 どうする自分! って状態。 恥ずかしながら可能なら敵(←笑)に背を向け走り去りたい。 しかし彼の小さくとも立派な矜持がそれを許さなかった。 そんな彼は昔、育てのじい様に教わった1つの教訓をフイに思いだした。 「最大の防御は…」 攻撃…なのである。←何故今それを思い出す? 「こうなったら奇襲しかけて一撃けーおーして悠々と退散してやるっっ」 ・・・・・・・・三代目、教育の仕方を考え直したたほうがいいもかしれないんじゃ?なんて瞬間である。 そんな攻撃態勢のナルトをよそにシカマルは無意識に一番気に入った花を根っ子ごと掘り返していた。 切り花なんてもんあげてもつまんねぇ。 どうせなら植木鉢にいれてずーっと大事にしてほしいから。 俺があげたもんをずっと傍に置いて欲しい・・・そう思った。 これはなんだ? その答えに思い当たる前に その花をぐっと突き出して・・・・・思わず言っちまった。 「俺と結婚してください」 |