「とりあえずこんな時間だけどご飯は?」 「さっきまでもりもりスコーン食ってたから少しだけ減ってる」 答えたシカマルにフンと鼻を鳴らすと母はナルトに抱きついた。 ちなみに父は先ほどのラリアットで床で熟睡中(気絶とも言う)である。←出番 あれだけかい?(笑) 「あんたには聞いてないわよ。なぁるちゃん♪」 「うーシカァ」 あうあう、とシカマルに手を伸ばし助けを求めるナルト。 しかしシカマルは少々ムッとしながらも母の魔の手から救い出す様子は見せずに 尋ねた。 「腹は?」 空いてるか? 「んとちょっとだけ空いてるかな?」 「よし。かあちゃん饅頭」 ナルトの言葉に満足そうに頷くとそれだけを告げる。 なんでいきなり饅頭が登場したのか? 別に軽い食事くらい作るわよ? お茶漬けとかお結びとかでもいいじゃない? 「ナルちゃんは饅頭でいいの?」 息子が饅頭を愛しているのは知っているがナルトはどうなのだろうか? 「こいつ食ったことねーっつーんだよ。」 だからナルトに食べさせる約束をしたと説明され成る程と納得する。 「シカが人生の30パーセントは損してるって言うから・・・」 「はぁ?人生の30%?なにそれ」 鼻で笑う母にシカマルはムッとした顔をみせた。 「いいから早く饅頭っ」 「はいはい」 帰宅が遅いシカマルの為に用意しておいた栗の饅頭を蒸し二人の前に置く。 「これがマンジュウ・・・。」 「そうだ。蒸したては最高だ。」 満足そうなシカマルにナルトは首を傾げた。 この真ん丸い物体がナルの人生の30%? そんなにあるか? ここに来てようやく他人との価値観の違いと言うものを感じとったナルトである 。 「シカ」 「なんだ」 「ナルこれ本で見たことある」 「ほー素晴らしい文献じゃねぇか」 「ちがうの、お伽話。むかぁしむかし・・・って」 「ああ」 「絵本でおじーさんとおばーさんが食べてたのに似てるけど」 「それだな」 渋い。渋くないかシカマルの趣味って。 「ナルちゃん。シカマルはねちょっと饅頭への愛が異常なの。それを考慮した上 で食してね。」 「異常・・」 ちょっとなるほどなんて思ったのはナルトだけの秘密だ。 今はとにかく目の前の初めてのブツにかぶりついた。 確かにうまいマンジュウなるものに舌鼓を打ちつつも、それでもやっぱり言わせ てほしい。 「シカ・・すっっごくおいしいけど30パーセントはない。」 きっぱり言い切ったナルトにシカマルはケッとはき捨てた。 「饅頭は流行の最先端だぜ。ガキにはこの素晴らしさが理解できねぇんだな。」 最先端って・・。 「50年くらい早くない?」 「うっせー」 シカマルという子供はやっぱり変なヤツらしい。 そう改めて思ったナルトだった。 「ナル誕生日はまんじゅうよりケーキがいいと思うな」 「けっ西洋の手先め」 「・・・おばちゃん。シカがいじめる・・。」 「あらあら。こんなの放っといてあたしと一緒におしゃべりしましょうねぇ。ほ らっあんたもいつまで床で寝てるの。」 プクゥと頬を膨らませ自分に訴えてくるナルトが可愛くて、嬉しくて母はウフフ フと怪しい笑みを浮かべナルトの横に座った。 その際に夫をぐりぐり踏みつけるのは忘れない。 ぐぇぇなんて聞こえるが奈良家の住人は誰も気にしない。 ナルトがドキドキと覗き込んでいたが思い出したかのようにヨシノに向き直った 。 「あ・・・あのねっおばちゃん。ナルね」 真剣な瞳のナルトにヨシノも真剣に話を聞く体制を作る。 「うん。」 「シカといっぱいお話したの」 「そっか」 「すーごく楽しかったから・・・また・・・お話してもいい?」 恐る恐ると言ったように伺われ胸がツキリと痛むのをヨシノは感じた。 「当たり前じゃないか。もう二人は友達になったんでしょ?」 「え?」 「やーなんっつーか・・・俺的希望は未来の嫁さん」 キョトンと耳慣れぬ言葉に首を傾げたナルトをよそにシカマルはペラリととんで もない希望を吐き出した。 これにはさすがのヨシノも難色を示すか・・・・・・。 「ナイスアイディアーー!!」 あれ?大喜び? 「ナルちゃん。うちのシカなんかで良かったらいくらでも付き合ってあげてね。 そんで、ナルちゃんさえ良ければうちにいっぱい遊びにおいで。」 「・・い、いいの?」 「もっちろん。おばちゃんとも仲良くしてくれる?」 「す・・する。したいっ。」 「きゃーーシカッッでかしたっ。よめーーー!」 「え?ええ?」 未だ理解していない様子のナルトを抱きしめるヨシノを見てシカマルは嬉しそう に微笑んだ。 「あ、できればナルちゃんにママって呼んでほしーなー。」 「へ?」 妥協案として呼び名は『ヨシノママ』になりました。 ちなみに最後までぶっ倒れたままだった為シカクはパパと呼ばれそびれたとかな んとか。 |