「ねっナールト♪何が食べたいー?」
何故かカカシがいた
勢いよく窓からけり出されて2日。
たったの2日しか平穏な時は無かったのだ。
敵は実に手強い
さらに言うなれば今、現在の彼の姿は正視に耐えられなかった。
不気味なくらいの笑顔
その体には


ふりっふりのエプロンが・・・・
装備されていたのだ


似合わない。


「っつーか目がくさるってば・・」
ナルトは撃沈した。




クッキング2〜恋敵〜






ナルトの家からけり出されて2日。カカシは大いに考えた。
何でナルトは自分にこんなにもつれないのか?←お前がしつこいから

そしてついに昨日決定的瞬間を目撃してしまった!!


ナルトと楽しく(カカシ主観)ラブラブの時を過ごしていたカカシ
単に道ばたで会話をしていただけというサスケの言もあるがそれは置いておいて、
その時彼は真っ正面に見たくないものを目撃してしまった。
(げっ)
覆面の下で唇をゆがませる。
器用に表情は変えていないため目の前のナルトには気づかれていまい。
クンッと顔を持ち上げて見上げてくる小さな子供のあまりのかわいらしさにクラクラくるが何とか耐える。
ここで倒れてしまっては元も子もない。
なんとか今日こそナルトの家に入れて貰うべく頑張らねばっ
目下のところそれが目標だった。
実はカカシ、未だになんで追い出されたか分かっていない。


・・・と。
突然に目の前の子供が消えた。
(え?)
と思うまでもなくガッと顔をあげるとなんと瞬間移動したのではといったスピードで子供が移動しているではないか。
思い切りしゃがみ込んで
そしてジャンプっっっ

「ぐえぇ」
哀れな犠牲者はおんぶお化けと化した子供に思いきり首をしめられた。
「おーーまーーえーーーなぁぁぁぁぁぁ」
正体を察知すると腹の底から声を出す犠牲者―――――イルカ先生

「にししっ。イルカせんせー久しぶりだってばーーーー」
人の首根っこにぶら下がったまま上目遣いで本当に嬉しそうに笑う子供に一体何が言えようか?
はぁぁとため息を盛大につくとそのままおんぶするように背中に手を回した。
「飛びつく前に一声かけろって言っておいただろうっ。まったく。今日の任務は終わったのかナルト?」
「うんっさっき終わったってば!!今日も俺だいかつやくーーーー」
「はいはい。いーかげん降りろよー」
重いから
会うたび重くなっていく。
それは彼の成長
最初に会った頃は骨と皮しかないような痩せこけた子供だったのに
最近はプックリふっくら柔らかくなった。
それはきっと幸せだから。

「あんまり太ると任務で失敗するぞ」
「あっひでーーそんなに太ってないってばっっ」
ピョンっと勢いよく人の背中から飛び降りてきゃんきゃん抗議。
元気だなぁと頭に手を置いて髪をくしゃりと混ぜてやった。

そうすると文句も忘れて目を細めて微笑む
その顔が好きで思わずなでてしまうんだよな。
イルカは苦笑気味にそう思ったが残念
ただいまそんなに和やかになっている場合じゃないのです

もちろん視界に入っていたし、視線もバリバリ感じていた。
それになんとも言えない超恐ろしい殺気もビシバシと
カカシ先生。

先生と生徒の交流場面くらい笑顔で眺めてやってくださいよ。

あんな今にも殺戮繰り広げそうな顔で笑わないでほしい。

「カカシ先生も。ご無沙汰してます。」
「いえいえー。全然久しぶりって気もしませんし〜(むしろ永遠に目の前から消えろ)」
カカシの心の叫びをしっかり感じとったイルカは最強をほこる笑顔のまま
「それにしても相変わらず落ち着きの無いやつですみません。ほらナルト。カカシ先生とお話の途中だったんだろ?」
突然に切り上げてくるなんて失礼な。
とコンっとナルトの額をこづく仕草
そんなイルカに嫉妬バリバリのカカシは次の言葉で墜落した。



「あー。ごめんってばカカシせんせーの事すっかり忘れてた」

ケロリと子供はそう言った。
脳内ショートを起こすカカシに全く気づく様子もみせずナルトはイルカの服をつかみ揺さぶった。

「ねーねーイルカせんせーいーーちーーらーーくーーーー♪」
「お前なぁ。薄給の俺に毎度毎度たかるなっ。」
「えっ先生貧乏なのっ!!?」
「いや貧乏ってわけじゃないけど」
余裕綽々な生活とは言い難い。
もちろんたかがラーメン一杯おごるのに困るような事はない。

「じ・・じゃ今日は俺がおごるってばっっっ」
「はぁ?」
「だって俺ってば今給料もらってるし、いっつもおごってもらってるし・・・」
どんどんうつむくその頭を見つめ
思わずイルカは

「ぷっ」
「笑うなーーーーー」

吹き出してしまったのだ。

「いや。立派になったなーナルト。」
グリグリ頭をなでる

そうかそうか。人におごれるくらいになったのかー。
しかも昔だったらおごるなんて発想出来なかったはず。
すぐに諦めてしまう子供だったから。
人に懐くのが苦手な子供だったから
お願いするなんてもってのほか
もし「ダメ」
なんて言われたらそれですぐに引き下がる
そんな子供だったから

「そっかそっか」
強くなったな。
そんな内面的な成長が一番嬉しい。
これはきっと友達が出来たから
ナルトをナルトとして見てくれる人間が増えてきたから
それはもちろん未だに横で人を射殺しそうな目で見てくるその男も含めて・・


「でもなぁ。中忍が下忍におごられると言うのはどーかと思うから。」
「思うから?」
「今から書類整理の手伝いしてくれるか?そのご褒美に一楽のラーメンっ」
「・・・ホント?やったーーーイルカ先生とらーーーめんーーー」

おごって貰うのが好きな訳じゃなくて。
誰かと一緒に食べるのが好き
それがダイスキなイルカ先生ならなおさら楽しい

「あのさあのさ、今日はみそだってばよーーーーー」
「はいはい。あ、カカシ上忍。しつれいします」
「カカシ先生ーまた明日ーーー遅刻するなってばよーーーー」
ぺこりとお辞儀してナルトと手をつないで中忍は去ってゆく




「ぅおのれ・・・・・・」
にっくきイルカ万年中忍めっっっっっ

残されたのは灰と化した変態上忍とやり場のない怒りのみ

でも一つ気がついた

「ナルトに何かをしてあげようっ」
して貰うんじゃなくって
してあげる


「そうだっご飯を作ってあげようっっっっっ」


誰かこの人の思考回路をどうにかしてやってください
もしここにナルトかイルカがいたらそう神に祈ったかもしれない

そして今に至ったのです。


ワケが分からないナルトは

(カカシ先生が壊れたってばよーーーーーー)

エプロン姿を目にした瞬間心の中で盛大に叫んだ。


続く→

わ・・・分かってはいたけど・・
カカシ先生ってなんて変な人なんだ←書いたやつが言うことか?
ナルトの受難はまだまだ続きます♪

あっちなみに「恋敵」ってカカシ先生が一方的に思ってるだけのうえに、
完全にカカシさん負けてますから(笑)