本日のSランク任務。

思ったよりもてこずった。

思わず舌打ちが出るほどに。


出会い(アオ)



「ドクっ」
体内時計で時間を測り、周りの人数と、ここから建物までの距離、もろもろを計算してはじき出した答えは。

不可能。

今まで100%を誇った自分たちの成功率が水の泡になりそうな気配に思わずナナシは背後のドクへとささやいた。
それに相方は焦るでもなくナナシを諌める。

「分かってる。しばらく待て」

茶髪の少年ナナシは相方の返事にさすがとニヤリ微笑をうかべた。
特に言わなくても通じるのは二人だからこそで、
さっきの言葉は

『(このままじゃ時間的にやばいぞ)ドク』
それにドクはあっさり
『分かってる。(だからさっき応援呼んどいた。)しばらく待て。』
と返したのだ。

「りょーっかいっと」
クナイをひと振るい。
踊るように戦うその姿は背を預けあっている長の相棒であるドクですら見惚れる程に優雅だ。
敵でありながら思わず見入っているものもいるくらい。

(うーん。見事な戦力削減方法だぁねぇ)
ドクは無意識に決まっているナナシの行動を心の中で褒め称えた。
おかげで圧倒的な敵の数のわりに負担は少し軽減している。

大体において、今回のこれはイレギュラーなこと。
ここで待ち伏せに会うなんて予想もしなかったのだ
己の作戦ミスではない。
里の情報不足だ

ドクはそう思いつつも、このルートを通ることを決めてしまった自分に微かに顔をしかめた。

(あー。メンドクセーけど明日一楽おごってやっか)

小さな謝罪代わりに。



ふへとため息をついたその時

「来たみたいだな」
「だなー。早い早い。」

己達から離れた場所で戦いの気配を感じ取り、背中を合わせ戦うドクとナナシは互いだけに聞こえる声で会話を交わした。

「しかも一人?」
「みてーだな。おーおー強い強い。」
「そんなバカ強いのいたか?」

暗部の全てを知っているわけではないが、それでも次々と減らされていく敵の数にナナシは首を傾げ戦闘中だというのに考え始めた。
「カカシ・・・じゃねーな。熊でもなさげ。じゃぁだれだ?」
ナナシの言葉にドクも首をかしげた

まだ姿は見えないほどの距離
もれでるチャクラはどうやら知ってる暗部とは異なる模様。
なのに恐ろしいほどに強い。
噂に疎いナナシならともかく情報量ナンバーワンと誉れ高い自分が知らないこのレベルの暗部とは一体?

「ま、俺らがしらねーなら単純に長期任務からようやく帰ってきたばかりの奴かもしんねーな」
「そーゆーことにしとくか」
ドクの言葉にナナシは軽く笑い頷いた。

「っと。おーしまいっと」
最後の数人を三人が同時に切り捨てたところで上手く三人の背中が合わさった。

背後にいるのは知っていたのでそのままの勢いで手助けに来てくれた人間に振り返る。

「助かった。」
「いえ。遅くなってしまってすみません」
にこりとその男は微笑んだ気配がした。
暗部面をしていて顔は見えないが、髪は黒。かもし出す雰囲気は柔らかな物腰。
とてもたった今まで血飛沫に舞っていたとは思えないその姿にナナシ、ドク両名とも苦笑を浮かべた。

「このまま屋敷に侵入して手に入れて帰る。」
「ええ。伺ってます。」
ドクの言葉にその男は頷いた。
声は思ったよりも若い。
身長は二人(20代に変化しているからそれなりの背はある)よりも少しだけ高い。

((まさか・・・10代?))
あの強さで?
などと自分たちを棚にあげて思う。
ナナシ・・・・・ナルトはただ今8才
ドク・・・・・・シカマルも同じく8才
暗部に入って3年目の新人だった。

(いや、まあ良く考えてみりゃあ、あの熊もいちおー20代前半だけど・・)
若くして暗部にいるのはアスマも同じなのだろうが、あの森の熊さんはすでに見た目だけなら30過ぎの親父だ。若いイメージとは繋がらない。カカシなんか老若の前にすでに変人の一言で区分されているし(笑)
ってコトは単なる童顔で実は30代っつーこともアリか?

などとマジマジと目の前の青年を見つめながら実に失礼な事を考えていたのはナナシ一人ではなく、当然ながらドクも。


「そのまま最後まで合流するよう火影様より言い付かってます」
「そりゃ心強い。えーっとあんた名前は?俺はドク、こいつはナナシ。言っとくけど俺が戦略でこいつが戦闘って決まってっから」
「アオです。基本的に得意なのは補佐・・ですね。まぁ見てのとおり戦闘はほどほどにできます。」

また、ニコリと笑った気配がした。

「敬語はいらない。アオ」
「あ、はい・・・・うん。わかった。そうするよ。」
アオが現れてから一言もしゃべらなかったナナシの最初の一言に驚いた表情を見せたもの、アオはすぐに己を取り戻した。
「じゃあ予定変更。時間ねーから正面から突破する。とりあえずアオはこの図面頭に叩き込んどいてくれ。ここが逃走ルート。進入はこっから。で、お宝はここ。俺達が木の葉であることは当然ながら決して知られるな。知られたら消せ。んじゃいくぞ」
パパパッと簡単に説明をすると図面をたたんで懐にしまうドク。
あの短時間で新たな進入、逃走ルートをひねり出すドクはさすが頭脳を名乗るだけある。
信頼しているのかナナシも文句一つ言わず立ち上がった。

結局、時間制限のある宝探しはドクの的確な判断とナナシの圧倒的な戦闘力、それにアオの絶妙な手助けにより時間に余裕を持って終えることができた。



うへへ。アオ登場!!
ってまた増えちゃってすみません。
もちろんあの人っすよ。
その為に日記を書いたんですから〜
この三人はこれから素敵に仲良しさんになる予定です♪
2004.4.14