出会い(アオ)  2


「アオってさー。なんでこんな仕事してンの?」

ドクの言葉にいつものごとく適当な言葉が口をついてでた。

「実入りがいいからね」


「ふぅん」
「へー」

明らかに納得していないらしいナナシとドクの相槌に騙されてくれなかったことを読み取り、ちょっぴりホッとした。
この二人の傍は思った以上に居心地がいい。
秘密を持っているだけならともかく、ウソをついた関係でいたくはなかった。

「ま、俺らも金のためだけどな」
「てめーは違うだろドク」
「えー欲しい巻物があんだよー。めっちゃくちゃ高くって貯金中」
「・・・・・暗部が貯金してまで買う巻物って・・・ダイヤで出来てんのか?」
「うっわーナナシ君ったらそんな燃えたらお終いのもんにお金かけるめんどくせー俺だと本気で思っちゃってんですかぁぁぁぁ」
「いや全然」
「火影様がな、10回ただ働きしたらくれるっつーからよ♪」



おーーーーーーい



絶対それ禁書だろっっっっ
禁術バリバリの巻物だろっっっっ
いいのか火影としてそれはーーーーーーーーー


「俺も今度ねだろっと」
「・・・・ナナシ・・・・・・」
驚いていた風のナナシに一緒にドクと火影様に突っ込もうと同士の気分でいたアオは心からの言葉らしいつぶやきに思わず膝がカクリとなった。

「いやーちなみに今のオフレコでっ」
「「はいはい」」

三代目火影が暗部に禁書を売ったなんて外聞悪いこと吹聴できるわけない。
そんなことしたら明日にでもこの世から抹消されるに決まっている。


「話は戻るけど。俺らアオの顔全然見たことなかったから暗部なりたて?」
「あ、うん。半年前になったばかり。それに、表のほうが忙しいから火影様に頼んでこちらの仕事はあまり回さないでもらっているし」

それはそれは、火影様のご寵愛を受けていらっしゃる。

「それが暗部になる条件でね」
「・・・って事はスカウト?」
「ナナシ君正解っ。ある日火影様の執務室へ資料を届けに向かったら、突然火影様にポンっと肩をたたかれてーーーーー」



「「キミ、明日からもう来なくていいから」」



ナナシとドクの同時の言葉に
思わず三人は吹き出した。

「わたしはリストラされたのかっ(笑)」

「いや」
「つい・な」

「まぁそんなこんなでここにいるんだけど、やっぱりね。余りこう言うことしているのを表のほうに持ち込みたくないから」

あえて誰にも知られないよう別の名を使っているのだとアオは言った。


「ああ、そういや処理班のキリエも言ってたな。表の〜彼に〜知られたら〜嫌われちゃうものおおぉぉって」
マネしてくねくね体をくねらせるドクに思わずナナシは後ろからどついた

「似てるけどきもいっっ。っつーかキリエの理由はどーかと思うぞ。流れ出た内臓見てうっとり微笑んでるあの女に惚れる男の気持ちがわからねーー」

「まてっ落ち着けナナシっっいくら『ナナシの顔って平凡だけどー強い男の内蔵って興味あるのぉぉ。死んだら解剖してもいい〜〜?♪』なんておっそろしい事言われたからってそこまで毛嫌いすることはっっっっっっ」

「言うなドクっ俺はあの女の半径10メートル以内に入るだけで背筋がぞわぞわすんだっっ」

「分かるっっ俺も似たようなこといわれたから分かるけどっっっっ」



「キ・・・・キリエってもしかして・・・ものすっごく美人でものすごく人当たりがいいんだけど内臓マニアだと言うあの・・・・?」
ナナシの怒鳴り声を初めて聞いたアオはちょっと驚きながらも別の驚きに心が奪われる。

「そうだっあのキリエだっ」
「も・・・もしかしてその人って肩までの黒い髪に赤いまにゅきあしてたり・・・・・」
「するするっそれキリエっっ」
「わ・・・・・・・・・・・わたしも言われたそれ・・・いつかあなたの肝臓見せてね・・・・って。冗談だと思ってたのに」

今にも泣き出しそうなアオに二人は同情ムード爆発


「頑張れアオっ大丈夫だきっと他にも被害者はいるからっ」
「そうだ俺達は同士だ。なっドク」
「おうっ被害者友の会だぞっ」

必死で励ます(?)二人の言葉にようやく浮上したアオがううっっと唸りつつもコクリと頷く

「う、同士・・・・嬉しくないけど頼もしい・・・」


「しっかしすでにアオに目をつけたキリエに舌を巻くぞ俺は」
「めったに顔ださないって言ってたのにな」
「前回の任務は先月だったからね。今回はどうしても手が空く人がいなかったらしくて突発だったんだ」
「ああ、まぁこの時期一番忙しいからな」
「らしいね。」

苦笑とともに頷けばナナシが、でもと続けた

「あんたが来てくれて助かった」
「あら。ナナシ君ったら極上の褒め言葉じゃありませんこと〜」
「助かったのはホントのことだろ。てめーだって認めてたじゃねーか」
「ま、な。」
茶化しつつも同意を示すドクをナナシは小突く


「仲いいなぁ」
「あ?」
「いや、暗部の人でこんなに仲がいい人たちって初めて見たから」
「ああ、うん。俺らの場合ずっと一緒にいるしな」
「だな。兄弟みたいなもん?」

ドクの言葉に頷くとナナシも付け加える

「ああ、そういうスタンスなんだ」
「なんだー変な妄想繰り広げてんじゃねーだろうな」
「いや、以前他の暗部から二人が怪しいって聞いてて、どう怪しいのか分からなかったんだけど」

今日見ていてそういう意味かと気づいたようだ。

「あー・・デキテルとか?」
「なんか遠巻きに噂してんのはそれかよ」

二人で空を仰ぎたくなってくる。
とはいえドクの方は耳に入っていたのだろう
やっぱり・・といった表情だった

「間違っても信じんなよアオ」
「分かってるよナナシ。見てれば分かるって。」
二人が甘い関係じゃないことくらい。


そういった端から

「ああ、でも遠くから見ると怪しいかもね」

ニッコリ悪気なさ気に
ズバっと落ち込む一言をくれる。

うっわー
お前チャレンジャー

ドクはアオに感心した瞳をむけ
ナナシは脱力した手でアオの頭を引っぱたいた

三人の掛け合い漫才!!
やったぁ初対面から三人は仲良しさーー。
正体ばれたらどうなるんでしょうね?
しばらくは内緒のままですが。
いつかは・・・

04.5.24