切れますよ?




「なんでカカシ先生ってそんなにナルトにメロメロなんですかー」
解散っと言った瞬間
遠慮のえの字もない質問が可愛い生徒から飛んできた
「ん〜えらく唐突だねぇサクラ」
「そうでもないですけど、いつも気になってたんですよね」
「サ、サクラちゃん何言ってるってばっっ」
真っ赤な顔で焦るナルトを当然のごとくにっこり無視してサクラは続ける

「上忍で、しかもビンゴブックなんかにのっちゃうくらい凄いんだもの、別に不細工ってわけじゃないから女の人にももてるでしょー?収入もあるだろうし、経済的にはむしろ言い寄ってくる女性が群がるくらいじゃないですか。そうするともしかして女なんて邪魔くさーーい。男に走っちゃえーーっとか思ってナルトに手を出してんじゃないでしょうね。とか思ったわけでして。どうですか?」

あまりに直球なサクラにさすがのカカシも笑顔が引きつった。
「ものすっっごく失礼だと思わない?」
「どこがです?」
にこり
本気で分からないはずがない。
こういう所は小さくても女だなと思わせる貫禄がある。
「まぁねー。確かにもってもてよ?毎日とっかえひっかえしたって10年くらいはもつなぁってくらいに言い寄ってくる女は後をたたないし、確かに邪魔ーって思ってた時期もあるしね。」
ガガーーンとショックを受けているナルトを横目にカカシは唇をとがらせた

サクラの言葉はずばり的を射ている。
だがしかし最後が違う
「だからって男に走っちゃえーなんて思うはずないじゃない?」
「そうですか?」
「そうですよ。だいたいナルトに惚れたのだって予定外だったし―――――ってああっナルト泣かないのっっっ」

「・・だって・・」
「違う違う予定外っていうのはね、俺が男に惚れちゃうなんて生まれて初めてだってことっ。ナルトがそれだけ魅力的だって事っ。センセーはナルトしか好きじゃないぞっ」
「でも・・とっかえひっかえで10年って・・」
「それはたとえ話っ。ナルトが俺の相手してくれるんならそんな女全部いらないもん」
必死に言い募るカカシにサクラは白い目を向ける
(カカシ先生情けな・・)
「だいたいサクラもなんでそんな事言い出したのよ」
おかげでナルトに誤解されちゃったじゃないのっ

「じゃあ言わせてもらいますけどね。」
カカシの怒りの瞳にひるむ様子も見せず半眼でサクラ

「同伴出勤までは許しますよ。でもね、二人で遅刻。手をつないで照れ照れと。毎日そんなもん見せつけられて、更には任務中にあきらかな贔屓、もしくはさぼってイチャコキ。いい加減こちらの堪忍袋も限界に来てるんですけど」

「あ」

カカシが口元に手をやる。
ナルトが真っ赤になる

サスケは全くだと頷いた

「ご・・・ごめんってばサクラちゃんっっっ。だからコウシコンドーはだめだっていっっっつも言ってるってばカカシ先生っっっーーーーー」
「だってねー」
「だってじゃなーーーーい!!」
「むーーー」
「ごめんサクラちゃん。しっかり言い聞かせておくってば」
「仕方ないわね。ナルトが悪いわけじゃないんだけどその人が言うこと聞くのってナルトしかいないし、頼むわよっ」
「任せてってば!!」
ドンっと胸をたたいてナルト
後ろには不服そうにカカシが頬を膨らましていた。
反省の様子はかけらも見受けられない。
「そうそうカカシ先生。この先改心の余地が少しも見られなかったら―――――」
たら?


「ナルトに昔のカカシ先生の悪行をたっっぷり聞かせてあげるから覚悟しておいてくださいね」
あくまでニコリと。
「悪行ぅぅ?」
何のことだかわかんなーーい。とうそぶくカカシから「アクギョウって何だってば〜」と興味深々のナルトへと視線を移しサクラは口を開いた
「そうですねー例えば千人切りの―――――」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
慌ててナルトの両耳をふさぐカカシ
余裕なんてかけらもなかった。
大変だ。昔のあんな事やこんな事をバラされたらナルトに嫌われてしまうっっ←何をした?
なんで知ってるのヨ、サクラぁぁぁぁぁぁ


「何?何で耳ふさぐのカカシセンセー?」
「・・そんなに聞かれたく無いことなのか・・」
キョトンとナルト
青ざめたカカシを見てサクラの情報網に舌を巻くサスケ

「くの一を嘗めないでくださいね。」
コクコク

下手な上忍よりよっぽと情報をもっているのが女の神秘。
特に良い男の情報はお前盗聴器しかけてるだろっっ?てくらいに知り尽くしているのだ彼女たちは。
恐ろしい
どんな敵より恐ろしい
「もしこの先こんな事が続くとぷっちり切れてうっかり・・・なんて事もあるかもしれませんから」
「わ・・わかった。分かったからナルトにだけはっっ」
「ええ。今日の所は。以後気をつけてくださいね。」

あくまで笑顔をくずさないサクラにカカシは壊れるくらいにコクコク頷いた。
未だ「何だってばーーー気になるぅぅぅぅ」
カカシに両耳をふさがれたまま暴れるお子さまを見てサクラは極上の笑顔を向けた。
いい餌である。
無敵カカシの唯一にして最大のウィークポイント。
「わかってくれて嬉しいです。じゃまた明日っ遅刻しないようにしてくださいね。さっすけく〜〜ん帰りましょっ♪」

サックリ会話を切り上げて素早くサスケの腕にひっつく。
抵抗できず連れ去られるサスケを眺めカカシが地面にへたりこんだ。
可愛い生徒の成長を素直に喜ぶべきなのだろうか?
よく分からないまでもカカシをやりこめたサクラに感嘆の声をあげるナルトは引きずられるようなサスケの足取りにプッと吹き出し、
「やっぱりサクラちゃんにはだーーれも敵わないってば」
「どーかんです」
カカシはしみじみ同意した。

強い女の子が大好きです