だってさ。オレーーーだから仕方ないんだってば。 そう言って力なく笑ったのはずいぶん昔の話だ。 「お前と遊ぶと母ちゃんに怒られるからもー遊ばねー」 ああ、久しぶりだなぁ。 そう思った。 時に子供は素直すぎてすがすがしいと思う。 これが大人なら、もっといやな形でさりげなく、離れて行った事だろう。 理由を知っていたオレはニッカリ笑って 「それなら仕方ねーってば」 そう言った いつもの事だし、むしろ今まで遊んでくれた奴がいたほうが奇跡なくらいで・・・ 「じゃまた明日なっ」 恨むどころか感謝でいっぱい。だから気にすんなよ。 そんな気持ちでいつもより元気よく手を振った。 残されたのはあっさり頷かれホッとしたようなもの悲しいような不思議な気分の少年が一人。 たぶんこの時の気持ちはずっと忘れられないだろう。 後にこの子供は知る。 その気持ちに『罪悪感』と言う名がつくことを。 「うんっ。全然ヘーキっ。こんくらい慣れてるってば」 元気よく両手足をのばして行進する。 「明日から遊べないからって喋るのもダメってわけじゃねーし」 いやぁしかし親の言葉ってすごいなぁ。 感心したようにつぶやいて 思わず遠くを眺めてしまう。 「ダメダメっしんみり禁止っ」 自分に向かって言ってみる。 「いいんだもーん。オレにはシカマルがいるしぃ。気にしなぁぁい」 フンフン鼻歌まで謡ながら歩いて。 それから。 数歩歩いてしゃがみこんだ。 「うう・・・思ったより大ダメージっ」 ツキツキ痛む胸を押さえ、ヘヘっと笑う。 しゃがみこんでうつむいて、自分の殻に入り込んでたから気付かなかった。 突然真前から声がしたのだ 「どうしたの?お腹痛いの?」 え?と顔をあげた瞬間、目に入ったピンク。 アカデミーでピンクの髪の子はたくさん見た。でもこんなに綺麗な桜色は初めてだ。 思わず見惚れてしまった。 「それとも何か嫌なことでもあったの?」 少し心のゆとりが出来て目の前を眺めることが出来たナルトは今の状況を混乱する頭の中で整理していた。 えーっと・・・俺、もしかして心配されてる? あまりに意外だったので正直な話疑問系。 だって里の人間に心配されるなんてこと滅多に無いし。 それが初対面の人間ならなおさら。 だがしかし今現在、目の前にはしゃがみこんだ女の子が不安そうな顔で自分を覗き込んでいる。 やはり心配そうに。 自分と同じくらいの年頃。 小さく首を傾げたその頬に柔らかそうな髪の毛がサラリと落ちてきた。 ふにふにの柔らかそうな頬はピンクに染まり、小さな紅葉のような可愛い手のひらが自分に近づいてきた。 思わず条件反射のように目を瞑ったのは今までの経験上仕方ないことだろう。 フワリ。と。 音をつけるならそんな感じ。 え? と思った。 多分暴力を振るわれるより驚いたと思う。 まぁこんな小さな可愛い子供が自分を殴るなんてありえない、そうは思うけど。 でもこれは・・・ 「あのね。痛いときとかね、苦しいときはね、いっぱいいっぱい声を出して泣くとすっきりするよ」 驚いて声も出ない少年に言い聞かせるようにゆっくりと、伝わるようにしっかりと少女は言う。 ふわりふわり。 金の髪を撫でながら。 「な、泣くわけねーじゃん。俺ってば男の子だもん」 思わず本気でホロリと行きかけた自分に驚きながら、必死にいつもの"うずまきナルト"を演じる。 「男の子ってバカよね。でも・・・」 小さな子供には似合わない大人びた口調。 このくらいの女の子って意外と精神面が発達していて、大人ぶってるだけの男の子に比べたらずっと大人だ。 桜色の髪の少女はフワリと花が咲くかのごとく微笑んだ。 「でも、カッコいいよ」 か・・・・・・・可愛いっめちゃ可愛いっっっっ。 この感動を誰かにっっっ ってかシカマルしかいねーってのっっ。 おっちゃんよりヨシノママよりじっちゃんよりシカマルに一番に報告してぇぇぇぇ。 「も、大丈夫だってば。慰めてくれてありがとう。」 自分と居るところを里の大人に見られたら大変だから、名残惜しいけど早々に去らねばならない。 それに大丈夫なのは本当のことだし。 さっきまでの胸の痛みはどこへやら、今はウキウキわくわく踊っている。 心のからのお礼に心からの笑みを添えて、それから大きく手を振って走り出した。 「バイバイっ」 「うん。バイバイ。」 去ってゆく少年の後姿に向かって慌てて少女は手を振りかえした。 あまりの綺麗な笑顔に思わず見とれてしまっていた。 その隙に少年はさっさと立ち上がって去ってしまった。 「せっかちよね」 でも、うん。カッコいいっていうより綺麗だったな。 最初の傷ついた瞳も、 最後にみせた輝いた瞳も、 初めてみる深い深い蒼だった。 金の髪だって生まれて初めてみちゃったし。 あ、髪の毛すっごいフワフワしてて気持ちよかったなぁ。 可愛くて、カッコ良くて、綺麗な少年。 「また、会えるかなぁ」 ポツリと呟いて、少女はちょっと頬を染めた。 「き・い・てぇぇぇシカマル聞けってーーー」 「あーーはいはいっ。もう聞き飽きたっ。」 「それでも聞けってのっ。もうすっっげ可愛いのっちょーー可愛いのっっうわーー春の妖精みたいだったなぁぁ」 「・・・・・・」 (もう53回目。耳にタコが何十個も出来たっつーの) 心の耳に耳栓をしつつ、珍しいほどの相方の興奮をしげしげ眺めて楽しむことにする。 初恋・・・・ですかねぇ? きっと本人自覚してねーだろうけど。 そう心の中で呟いて、 親友の春に内心ほくそえんでたり。 |
これがナルト君始めての恋?←疑問系(笑)
ナルサクなんて書く気は全くありませんけどね〜
でもちょっとこんなナルトも好きです
時間軸的にいくと来年シカマル・サクラがアカデミーに入る、そんな時期♪
04.10.29