好きの順番


「うづまきっ」

テケテケと道を歩いていたら名を呼ばれた
一年前までならこんな時声をかけてくれるのはイルカ先生くらいだっただろう。
そう思うと瞬時にだれだろうと頭に浮かぶ人数の多さに頬が綻んでしまう。


振り返ってみれば意外なことに大きな大きな人だった


「アスマせんせーっ」

さすがに想像しなかった人間にナルトは驚いた。
なんか用なのだろうか?
それともたんに出会ったから声かけただけ?

「なんか用だってば?」
「あーうーん。用っていうか。ちょっと聞きてーことが・・・あんだけどよ」

実に歯切れが悪い

「なんか言いにくそう」
「まあな。いや、結果は分かりきってるから聞く必要はないと思うんだが、一応と思って」

タバコを持った手で頭を掻き掻き
うっかり髪の毛燃やしちゃったりしないのだろうかという素朴なナルトの疑問は次の瞬間答えがでる

「うあっち」

髪が燃えた


「アスマせんせー大丈夫?」
っていう上忍らしからぬ失態だ。


「あ、ああ。さすがの俺もかなり動揺しているらしい」
動揺するような事を聞かれるのだろうか?
なんだ一体?

ナルトは首をかしげ青い青い瞳を大きくさせてでっかいその人を見上げた。


「質問その一。お前カカシんことどー思ってる?」

「カカシせんせー?んーと。んーと。遅刻魔」

「だろうなぁ。」

苦笑アスマ

「質問その2。好きか嫌いかだったらどっちだ?」

「んー嫌いじゃないってばよ?」

「ま、好きじゃないってよりマシな反応だろうなぁ」

ぼやく
あまりに予想通りな返事

「その3。火影様とカカシ。比べたらどっちが好きだ?」


「じっちゃんと?だったら〜うん、じっちゃんの方っ」

やっぱりね

「じゃあイルカだったら?」
「イルカせんせーっ」
コンマ一秒も考えることなく返ってきた答え
背後で小さく息を呑む音が聞こえてきた

「なるほどな。悪いな時間つぶして」
タバコを手で揉み消す
「別にいーってばよっ」
ニシシと笑われ
苦笑で返す
「じゃあな」
「バイバイアスマせんせー」


「結局なんだったんだってば?」
去り行くアスマの背中にキョトンと首を傾げたが
ま、いっか
あっさり納得し走り出した
一番大好きな人のもとへ





「お前さ、悪いこと言わないから諦めとけ」
「十分言ってるよぅ」
親切な友人の言葉は真実に満ち溢れていて
カカシをさらなる闇の深遠まで引きずり込んだ




ぬうぅぅぅー


「諦めるものかーーーーーーーーーーー!!」

お前なぁ
俺の忠告は無視かい
アスマはポロッとタバコを落とした


カカシ→ナルトの基本形(笑)
ここまで聞かれて「ま、いっか」で終わってしまうくらい
カカシさん意識されてません