恋ってどんなものかしら?


最近ふかぁぁく思うこと。





あ、言っておくけどちゃんと好きって気持ちは知ってるつもりよ。
あたしの初恋はもっちろんサスケ君っっ。

うそーって皆に言われるかもしれないけどそれは変えられない事実なのよ。


初めて目を奪われた人。
見ていてドキドキした人だもの。
多分あたしはあの暗い瞳に心引かれたのよねぇ。
すべてを拒絶する深い闇色の瞳。

ほら、あたしっておせっかいだから。
つい「あたしがどうにかしてあげるわっ」
みたいな気分に掻き立てられたんだろうなぁって今なら思う。

でもそれも「花屋」との天秤にかけたらあっさり即座に花屋が勝利。
うーんあたしの好きって軽いわ。

ちょっと落ち込むー。

今ならわかる事ってたくさんある。
サスケ君と本当に恋人になりたかったのか?って聞かれたらそれはきっとNO。
サスケ君を挟んでサクラとわいわいやってるのが一番楽しかったもの。

だから好きって気持ちはあったけど。
きっとそれは軽くて。
サクラとは全然違う。
友情以上。
愛情未満。

そんな子供じみた物。

あーーもうっ。サクラに負けた気分だわっっ。



だからね。
つぎはきっと、花屋にも負けない「好き」を手に入れたい。


ねぇナルト。

あんたはあたしの花屋以上の人になれるかしら?






           それがあたしのファイナルアンサー 1







最近すっかり日課になってしまった訪問。
帰ったとき、すでに温室にいる少女にナルトはいつものごとく彼女に気づかれないように苦笑を漏らした。

(まーた居るよ。飽きねぇなぁ)
てっきり1週間もすれば飽きてなんだかんだ理由をつけて通って来なくなると思っていたのに。
気がつけばすでに一ヶ月越えてしまった。

すべての花を見終えるのに3日。
それからはひたすらナルトが花たちの世話をする様子を見ているだけ。
たまに手伝ったりするけど、後はひたすらナルトの動きを見ているだけ。

よくよく見ているとたまにポケットから取り出したメモ帳に何か書き込んでいる。

「何か書いてんだってば?」
とうとう書き込む瞬間をバッチリ目にとめてしまったので聞いてみれば、彼女はいきなり栗色の髪をフワリと掻き揚げながらしゃがみ込んだ。
「え?」
「ねーナルトー。この花ってさー寒いの駄目じゃない?」
・・俺の質問は無視ですか。
だがこんな疑問を受けるのは実は大歓迎。
ツーといえばカーと返ってくる花好き同士の会話はそれはもう楽しくて楽しくてナルトにとって最近の一番の楽しみなのだ。

「あ・・うん」
「なんで他の花と一緒におけるのー?」
壊れ物を扱うようにそっと葉っぱに触れるその仕草。

他の人間が触ろうとしたらナルトは多分さりげなく止めるだろう。
だがこの何日かで彼女がこれでもかっっっと言ったくらいに花が大好きなのを知ってしまったので彼女に関しては花に振れるのを止めたりしない。

「これはちょっと特殊改良した肥料を使って育ててるんだってば。他のヤツはちゃんと温度が低いところにおいてあるってばよ」
これだけ実験中〜。
だが実験だからと枯らすつもりはサラサラ無い。

「へー。特殊改良かぁ。それも温室みたいにナルトが作ったの?」
「や、さすがにそれは無理だってばよ。色んな肥料を混ぜ合わせただけだってば」
「ああ、なるほど。ね、よかったらその調合教えてくれない?」

目を輝かせる彼女にこちらも気分がよくなる。
花に関しては山中のおっちゃんにだって負けないと自負している。
だが特に自慢する気は無いし、そこまで花に興味がある人間なんて回りに居ない。

しかし・・・・密かに自慢したくて仕方なかったのだ!!

「ふっふっふーー仕方ないってばね」
「やったーーー!!これでうちの花屋にもこの子おけるかも〜♪」

頬ずりせんばかりに植木鉢に抱きつく彼女。
植物を人間のように大切にしてくれる。
そんな彼女の「この子」発言がナルトはいたくお気に入りだった。


ちなみにメモ帳の中身はすぐにわかったが

「いのっっお前スパイだってば?」

なんとナルトの花の世話の仕方をちくいち書き留めていたのだ。

「だ・・だって。これだけ花がのびのび育ってんのよ!何かものすごい秘訣があるのかもって思うじゃない?」
一個一個書き留めてみたが自分と同じ世話をしているように見える。
たまに特別なことをしている時は即座に聞くようにしているし。

「だからってわざわざ書き留めなくても・・・」

「ううー」

ションボリ肩を落とすイノにこれ以上言えずナルトは不問と処したのだが。
メモ書きは未だ続いているようだ。前にも増してナルトに気づかれないように書いてるらしい。気づいてるけどさ。





そんなこんなで本日も彼女はのんきに花に声をかけていた。
「あらあんたそろそろ咲きそうね。ピンクかしらー白かしら〜楽しみねぇ。あ、こっち虫食い発見っもー食われたならすぐに言いなさいよーー。」

無理だろ。なんて突っ込みよりも先にナルトは思わず吹き出した。
「・・・・なぁるぅとぉぉぉぉ。あんたいきなり何吹き出してんのよ」
温室に入ったその瞬間に吹き出すとは何事よ?
ジロリに睨みつけられたが痛くも痒くもないナルトはニッコリ微笑んで思うがままを口にした。
「や、本当にイノは花が可愛くてしかたないんだなぁと思ってさ」


花に話しかけるのはナルトの癖だった。
それを最初に見たときイノは笑ったりしなかった。

「あーあたしもよくやる〜他の人に見られるとちょっと恥ずかしいけどね」
肩をすくめて照れ笑いをみせた彼女にナルトは同志を見つけたーーーーとかなり嬉しかったものだ。


それ以来この温室でも花への声かけは普通になり、よく2人とも別々にぶつぶつ呟いていたりする(笑)
そんな訳で話しかけたことに笑った訳ではない事はイノには充分解っている。
ので、ただ内容に笑われたのだろう。

でもでも虫にやられたら「助けてーー虫がぁぁぁ」とか「寒いから暖かいところに動かしてちょーだなっ」とか花自身が言ってくれたら早く救助できていいじゃない。
と夢ある事を後に語りナルトに柔らかな笑みを浮かばせたのは余談である。


「その花たぶん来週には咲くと思うってばよ」
「ほんとっ?絶対見に来るわっっっ」
「ん、週の真ん中くらいが怪しいから覚えておくってばよっ」
「もちろんよっっっ」
よくよく考えればいつも来るのだからそんなにお互いに意気込まなくても、とは思ったがこんなササヤカな約束が楽しかったりする。

「さあって食われた姫さまを助けないといけないってばねっ」
「あ、そうよっ。この子をバカ虫から救わないとっっっっ」

このノリもとっても楽しいのだ。

仲良くなっていく2人〜の図