うずまき宅におじゃま出来る日はいつになるやら・・・なんて言ってるイノさんじゃありませんことよー


諦めません入るまでは 2


早速イノはやってきた。

「やっほー今日こそは入れて貰うわよー」
「わー僕も久しぶりだなぁ」
「・・・めんどくせぇ」
重い扉のカギとなるぽっちゃり系とだるそーなの幼なじみを盾にして。

(意地になって1人で入ろうとするかと思ったが)
なかなかどうして切り替えが早い。

とりあえず中に入るのを優先にしたのだろう。
きっとイノの中では『ナルトは男を土産にしないと中に入れてくれない』と完結されてるのだろうと思うと情けなさでフイに涙が零れそうになるが。

「来たってばねイノ。温室行く?」
「そっちは後にするわ。チョージ達持参だから中入れるわよね♪」
「・・・いらっしゃいってばよイノ、チョージ、シカマル」
物凄く聞き捨てならない言葉を突きつけられた気がするが、そこはサラリと流すのがきっと身の為だろう。
釈然としないままナルトはしぶしぶ室内へと招いた。

「「おじゃましまーす」」
「っす」



「へー思ったより綺麗ね」
男の一人暮しから受ける印象とは全く違う。
下手をすれば我が家より綺麗に片付いたナルトの家にイノは感嘆を通り越して理不尽な怒りすら感じてしまう。
何故だろう?

「お昼ご飯食べてきたってば?」
「うん。ナルトは?」
人が初めてのお宅に興味津々だというのに慣れた風なシカマルはすでに座って寛いでるし、チョージはおやつをねだったりしている。

(なに!?あたしだけお上りさん?)
仲間はずれにされた気分だ。

「ねー、いの。アップルパイとヨーグルトムースどっちがいい?」
「は?」
「パイだと今から焼くからちょっと時間かかるけどムースならすぐ出せるってばよ?」
「な、なんで?え?焼く?」
「ナルトお菓子作るの上手なんだよー」
「そう?別にフツーだってば」
「っつかフツーであんだけ美味いパイやムースは作れねぇだろ」

ゴロンと横になって手近に転がってた本を読んでたシカマルも会話に口を出す。
それほどの腕前だと言うのか。

「前食べたミルフィーユもおいしかったなぁ」
「俺は初めてケーキが美味いと思ったな。」
「なにそれ。あたしあんたにお菓子なんて作って貰った事ない!」
あれだけ温室でお茶を頂いていたというのに、何故1度もその機会が無かったかといえば・・

「(前にチョージがイノはダイエットしてるからお菓子は控えてるんだよって言ってたから・・・)」
なんていう、ナルトなりの親切のつもりでの行動だったのだが、彼女はいたく気に入らなかったらしい。

ずるいずるいずるいー
叫びまくるイノに困ったのは詰め寄られたチョージとシカマル。
「あー・・・じゃあパイ焼いてる間にムース食べるってば?」
「あたしを太らせる気!?」

とりあえずの妥協案にギッ睨まれ心底ナルトは困った。
(じゃあどーしろと?)

「イノー二つもおやつ食べれるなんてナルトにしたら破格の待遇だよ?これ逃したらもう二度とないかもしれないよ?」
かなり真剣な顔でチョージが諭す。
食べ物にかけての情熱は誰にも負けないチョージである。

「あーお前以前さんざんねだってたもんな」
「そうだよ。なのに絶対おやつは一つまでって言うからさー」
シカマルの言葉に未だに不満たらたららしいチョージはイノに向かって『ずるい』と言った。

(え?あたし特別扱い?)
チョージのアタックはたいていの人間が諦めてしぶしぶ食べ物を差し出すだろう凄さである。

それを知るだけにナルトの強い意思を知り。それを自分の為に曲げてくれたのに気付いた。

「・・・いいの?二個も出して」
恐る恐るナルトに伺えば

「今回だけ特別だってばよ」
次からはちゃんとお茶と共にお菓子も用意するからさ。
それで許してくれるってば?
ニカっと尋ねられた優しい言葉に


「う、うん。ありがとー」
なんだか。
あたし我が儘?贅沢?

申し訳ない気分になってきた。


基本的にナルトは女性には優しいです。あまいです。
しかも多分無意識だし。