「イノちゃん混ぜ過ぎよ」
「え?混ぜれば混ぜるほどいいもんじゃないの?」
料理は愛情!
愛にやりすぎは無いっっとばかりに混ぜてこねて・・・どれだけやるんだ?
と思いつつも笑顔で眺めていた母はとうとう口を挟んだ。
とりあえずコレを食べるのは自分達なのだ。
おいしい物を食べたいではないか。
「納豆と一緒にしないの。」
「別にそーゆーワケじゃないけどさぁ」
「手間隙かけるのは良いことよ。例えば小麦粉のふるいを2回するとか・・・」
「えっ?そーゆーもんなの?」
ふるいの必要性を感じずそのままボールにぶち込んだのは数分前の話し。
その時に言って欲しかった・・・と恨めしい気分になるが
「ママは口を出さないで!」
と釘をさしたのは自分。
自分なのである!!
くぅぅ
やり場の無い怒りをどう消化すれば良いのやら。
「っっっっナルトのバカーーー」
もの凄いあさっての方への八つ当たりだが実は根源はそこなので間違っていないのかも
しれない。
お菓子作りはヤツの『せい』で始めたのだから。
「うう・・こんなんじゃ道のりは果てし無く遠いわ。」
ついに嘆きだした娘に母はふんわり笑って
「イノちゃん。男を落とすにはお菓子より肉じゃがよ?」
アドバイスらしき言葉を口にした。
それにイノは不服そうに唇をとがらせながら問いかけた。
「ナルトがギャフンって言うかしら?」
「・・・どうかしらね?」
なんて死語を使うんだうちの子はと思いつつも
「パパいわく肉じゃがは男のロマンらしいわよ」
「ふぅん」
パパが言ったところでねぇ・・・なんて辛辣な思いを多大に持ちつつも『男のキモチは
男にしかわかるまいっ』なんて気もする。
「風邪引いたときとかに作ってあげればいちころよっ」
「お粥のほうがいいんじゃない?」
「いいのっ肉じゃがなのよ!」
母にどんな思いいれがあるのか知らないが激しい肉じゃがプッシュによりイノのナルト
いちころ大作戦はたてられた。
『いちころ』がどういう効果を得るかはイノ次第であるが。
「イノちゃん・・・にんじん固い」
「黙って食べてっ」
とりあえず確かなことは、山中家はしばらく肉じゃが浸け決定。
ってことだろうか。
だがしかしナルトが風邪をひく日なんてはたしてくるのやら?
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