その日、奈良シカマルはうっかりと森で居眠りをしていた。
本当に・・・・うっかりだったと彼は今でも思う。
瞳を開けばまさかまさかの戦闘シーン。
いつのまに?
なんて間抜けな問いが頭に浮かび、それからようやく回りだした頭でヤバイなぁ
と考え出す。
まあ忍びの里だ。
有り得なくは無え展開だろう。
珍しいだけで。
俺の敗因はこんな状況だっつーのに今の今までぐっすり寝こけていたこと。それ
に尽きるだろう。
(あー・・・めんどくせぇ)
出来る限り気配を殺し。
それから
もっかい目を閉じた。
「寝るのかよっ!」
「うっせーほっとけ」
思わずといったように入った突っ込みにやる気なさ全開にそっぽ向く。
巻き込まれたくないのだ。平和な生活が大切なのだ。だからほっとけっつーの。
普通のただの戦闘ならそらもー優等生的態度でそそくさこの場から去ってやった
さ。
でもな、でもな。
「っと。まだいたのか」
最後とばかりにクナイを一降り。
それだけで闘いは終了してしまう。
圧倒的な強さの目の前の人間にシカマルは溜息をついた。
「せめて変化しろよ」
「うーん時間無かったんだよな。まさか人がいるとは思わなかったし」
足元に倒れるのは他里の忍び。
目の前に立っているのは木の葉の・・・めっちゃ知ってる忍者。
ついさっきまで一緒にバカやってた友人の1人。
その名も、うずまきナルト。
っっってお前下忍だろ!!?たまたま偶然、「あれー?今日は調子いいぞー」っ
てカンジじゃなかったぞ。
いや、そうであって欲しいとか頭の端っこの方で思っちゃいたけどな。
どーーーーーーーーー考えても無理だよな?
裏がありまくりっぽいよな?
「おい」
「ん?」
「綺麗さっぱり記憶から消してくれ。じゃなかったらこちらで忘れたフリくらい
してやる」
頼むから。ホンキで頼む。お願いだ。
そんなシカマルに目の前の少年は金の髪をフワリと揺らしキョトンと首をかしげ
た。
それから、
「えー別にいいじゃん。シカマルに知られても俺は困らないし」
ニィと笑ってみせた彼の目は紛れも無く本気のようだ。
「お前が困らなくても俺が迷惑だ!!」
間違いなくこれから便利に使われる。
嫌だそんな面倒なことはしたくねぇ。
「ぶはっあははははっシカマルらしー」
蒼の瞳を持つ少年は腹抱えて笑いだした。
「じゃあシカマルこうしようか。」
我が家に隠してある書庫を閲覧する権利と引き換えで俺のフォローしてくれ。
「ギブアンドテイク、だろ?」
「書庫?」
「うちの親父が残してったやつだけどたまにお前の親父も借りにくるぜ。
かなり絶版物とか揃ってるし、何より量が半端じゃねぇ」
「のった!!」
頭脳明晰が売りのはずなのに即答ですかい。
ホントに本に目が無いのなー。
たださ、ご契約内容はしっかり確認すべきだったな。別に俺は下忍の任務のフォ
ローなんて限定してねぇし。
内心ニヤリと唇をつりあげ
「オーケー交渉成立」
ご愁傷様だなシカマル
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