現実とは小説よりも奇なりっていうだろ? 2
「しっかっまっるぅ〜」 「・・・」 楽しそうに背後から飛び付いてきたのは金の髪を持つ友人だ。 今までは少し距離を置かれていたのを寂しいなんてひそかに思っていたが今から考え ると 『あの頃はヨカッタ』 である。 「また、か?」 「へっへー察しがいいからシカ大好き〜」 そーかいそーかい。俺はそんな俺が嫌いさ。 ついげんなりため息をついてしまうのは仕方ない。 彼の正体というか秘密を知ってからと言うもの素敵書物をエサに便利に使われる日々 だった。 てっきり下忍の任務中のフォローだけと思っていた自分のバカ。 なんて考え無しだったんだろうか。 しかしナルトの家の蔵書を見ちまった今ならば、同じ質問をされてもきっとこの間と 同じく即答だろう。 本の為なら苦難の道を〜 ああそうさ、所詮俺は書物バカさ!←やけっぱち 「ほれ、さっさと出せ」 「はぁい。頼んだってばよ〜」 こういう甘えた態度で来るときは頼み事がある時と限定されているのだ。 それか嫌がらせ。(こっちは後が怖いからぜってー勘弁願う) 「期限は?」 「明日の昼。夕方から発つから」 「リョーカイ」 渡された資料には明日のナルトの仕事の内容が書かれている。 それを更に深く調べる事が今回のシカマルの頼まれ事だ。 「前回のは?」 書き直しとか来なかったのか? いくらしぶしぶ引き受けたとは言えども、まぁ一応気になってはいたからな。 「あ!あれめっちゃ良かったってばよ。正直自分で書いたかと思ったもん俺。」 「お前なぁ任務の報告書ぐれぇ自分で書けよ。」 呆れ果てるとはこのことだ。 暗部ともあろう者(いやー、まさかこいつが暗部とはなー世の中ってすっげぇよ)が 下忍に頼ってどーすんだか。 「だって、んなことより睡眠のがダイジー」 確かに。 と、納得してしまうぐらいナルトは忙しい。 「夕方って事は・・・イノの奴は?」 「早めに帰すつもりだってば」 ああ、影分身を使うわけじゃないのか。 「俺の貴重な癒し時間に影分身を使うなんてもったいない!」 「・・・へぇ」 どっちかってーと嫌々付き合ってんのかと思ったが意外や意外。 「仲良いじゃねえか」 「花好き仲間だからな」 裏をこめて言ってみせればニカッと満面の笑みで即答された。 ほほーぅ照れの一つも無しですかい。 全く意識していないのか、意識しないように気をつけているのか・・・。 ただの鈍感説が濃厚だけどな。 「バッカだな。イノの親父とだって毎日は会うの苦痛なくせに」 「・・・へ?」 予想外のことを言われたとばかりにキョトンとした顔をするナルトにニヤリと意地悪 く笑ってみせ 「その意味は自力で考えろよ。じゃあ俺はコレで忙しいから。」 「え?えっシカー!」 無視だ無視。 他人の色恋なんざ関わる方がめんどくせー。 でもいつも余裕たっぷりのナルトを動揺させるのには持ってこいで、 「あーほどほどにしねぇとな」 楽しいなんて絶対ぇ極秘だな。

便利にこき使われつつも負けちゃいないぜ(Byシカ)