年も暮れ。
年末といえば大掃除と、相場は決まっているのだ。
そう、少なくともあたしの中ではね!
「たーーのーーもーーー」
今日も寒さに負けずに元気に襲撃・・・もといお宅訪問。
最近ではしぶしぶとした態度ながらも家の中に入れてくれるようになった。
うふふ、誠意は伝わるものなのね♪←粘り勝ちとも言う
「・・・いらっしゃいってばよイノ。」
とりあえずいつもの様に扉の前でデンと構えるナルトに最近の手である
「寒い寒いさむいーーーどいてっ」
「あっっ」
と寒さを武器にナルトにどいてもらって(決して押しのけたわけじゃないわよっ)お邪魔する
。
いやぁ冬って可愛い花もあんまり咲いてないし寒いしで嫌いだったんだけど最近は大好きにな
ったわ。
「そんなに寒いならわざわざ来なくてもいいのに」
なんてナルトが呟く声なんてきーーこーーーえーーなーーーいーーー。
雨にも負けず寒さにも負けずっそんな乙女心があんたみたいな小坊主にわかるわけ無いものね
ぇ。
仕方ないわ。大人な女性のイノ様は広い心で許してあげるわよ。
なんて思いながらも慣れ親しんだナルト家の室内をグルリと一通り見回す。
意気込んで今日は大掃除してあげるわ!
と来てみたが、我が家よりきれいなこの家のどこを掃除しろと?
以前冗談交じりで窓のサンにツイッと指を滑らしてみたが
「まぁぁナルトさん。こんなに汚れてましてよ」
という遊びが出来なかった。
だって指ピカピカだったもん。
くーーーその日自室の窓に指を滑らせ真っ黒になったあの気持ち。あんたに解るまい←そりゃ
そうだ
「さぁっ片付けるわよーー!」
腕まくりをして、やる気満々の彼女に
「おい、やめとけ」
と制止の言葉を口にだせないナルト。
「イノぉ。何でそんなにやる気なんだってば」
「だって年末よ?大掃除のシーズンなのよ?こうフツフツと意欲が湧くってもんじゃない?」
湧かない湧かない。
「さー掃除は高いところからっ。ナルトっあんたは風呂でも掃除してなさいっ」
「へ?あ、うん。わかったってば」
ビシィっと命令され、思わず頷くとイノにこの場を任せ風呂場へ避難することにした。
「なんだかなぁ。まぁ綺麗になるならいいけど」
元気な歌声を背に頭を掻きながらぼやいた。
「さっ。まずは上の埃落としちゃいましょ」
どこからか、持ってきたはたきを片手にふっふっふと笑いだす。
「完璧に綺麗にして見なおさせてやるんだから」
そんで『イノってば良いお嫁さんになれるってばよ』って言わせたらこっちのものっ
完璧な計画に高笑いをかますと勢い良くはたきを動かした。
ちょっと乱暴かもしれない。
本棚には忍術書以外にも絵本が置いてあったりした。
何度も繰り返し読んだのだろう。大切に読み込まれた絵本を見てイノは微妙な笑みを浮かべた
。
この本はいるか先生にもらったってば。
嬉しそうに言ってたが・・・あんた完全に子供扱いされてるわよ。
ってか幼児用としか思えない童話の絵本を渡すイルカ先生って何?←自称ナルトのパパかな(
笑)
幼少の頃、絵本とか全く無縁だったナルトは一般人なら知っている知識を知らなかったりする
。
いうなれば「あたしはシンデレラみたいに玉の輿にのりたいのっ」←それもどうかと思うが
なんて叫ぶお子様を見ても
「しんでれらって何者だってば?」
と真剣に首を傾げてしまうわけだ。
それを見て不憫に思ったのか、それとも親ばかが炸裂したのかイルカは続々と王道の童話を買
い与えていった。
時には読んであげたり、時には絵本のイラストに2人で笑ったり。
そんな事情を知らないイノからすれば微笑ましいを通り越してあんたらキモイよ。
なんて突っ込みすら入れたくなる二人の仲であった。←酷いよイノちゃん・・
バンッ。何度目かで耐えきれなかった古めかしい本(注・イルカ寄贈の本は流石に落としたら
大変だと気をつけていたりはしたので、おそらく・・実は高価な忍術書だったりするかもしれ
ん)が本棚から降ってきた。
脚立にのっていたイノは落ちてきた本を受け取ろうとしてバランスを崩した。
「きゃあっ」
その叫び声に慌てたのは未だ避難中(ついでに徹底的に風呂釜をあらっていた所)のナルトだ
。
彼女の気配がかなり高い位置にあったのでハラハラしていたら案の定と言ったところだろうか
。
「イノー!!!・・・ってあれ?」
イノの姿が見当たらない
ま・・・まさかっっっっ
最初はちょっとした高さだから上手くいけば華麗に着地出来ると思ってたのよね。
だからグラツイタ時かわいく
「きゃあっ」
なんて叫べたのよ。
なんて余裕があったのかしらあたしったら。
だけど落ちる瞬間何かゴトゴトっと音がしたかと思うと
スルリと・・・ホントにするりと床が無くなったのよ。
しかも視界に入ったのは深い闇の底。
思わず、心の奥から叫んだわ。
「にょーーぉぉぉおおお!!」
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