大怪我間違いなし。
そんな勢いで落下しておきながら。
「ぐえっ」
被害にあったのはあたし以外の人間だったようだ。
「え?うそ。」
なんで奈落の底(←言い過ぎ)にあんたがいるのよ。
「シカマル?」
一応助けようとしてくれたのだろう。少し離れた場所に放り投げられたっぽい書物がある。
本好きのシカマルがあんな扱いするなんて相当慌てていたんだと思う。
そこまで理解してからようやくシカマルの上からおりて御礼を言おうと口を開いた瞬間。
「お前なぁもちっとマシな叫び方があるだろがっっ」
へ?
なんか物凄い呆れた声が聞こえたんですけど・・・。そんなに変だった!?
「開口1番にそれかよシカ。」
あれ?上を見上げればナルトが地上から見下ろしていた。
「うっせぇ。お前が言うなよナルト。こんなでも一応女なんだから突き落とすのはどーかと思う
ぜ」
「一応ってなによっ」
「あー」
視線を動かしながら内心めんどくせーと呟いた事間違い無しの表情をみせる。
「だいたいなんでシカマルがここにいるのよ」
「んあ?そりゃナルトに許可もらったから・・・っておまえ何も説明してねーのか?」
「する前にここ発見して勝手に落下してったんだってば」
俺が何で突き落とさなきゃなんねーんだよ。と不服そうな顔でシカマルを見る。
シカマルがいなければ捻挫くらいはしていただろう高さだ。フェミニストのナルトが確かにそん
な事をするわけがねーわな。とシカマルも納得した。
「うあー。マジかよ。めんどくせぇ」
「それはこっちのセリフ。とりあえずイノ怪我は?」
「あ。大丈夫シカマルがクッションになってくれたから」
「普段メモ帳代わりにされてるかと思えばお次ぎはクッションかよ。」
「なによーこれでも感謝してんのよ」
唇をとがらして文句を言い募っていたが
「まぁ何にせよ怪我がなくてよかったってばよ。」
ホッとした顔をされ思わず頬を染めた。
「心配した?」
「まぁ、結構高さあったし。シカは?怪我ねぇ?」
「全く無傷だ。あー馬に蹴られる気ねーから俺もう帰るわ」
「は?」
頬をそめるイノを見て彼女のホンキを理解したシカマルはよっこらしょと立ち上がった。
「この5冊借りてくぜ?」
一冊が指4本分くらいある分厚い装丁の本を重そうに持ち上げた。
「待った。どさくさに紛れて何持ってくつもりだってば。下の2冊は却下っ」
「ちっ」
バレたかと舌打ちをするシカマルの手からその2冊を奪い取り棚に片付ける。
禁術全集3式と4式である。←こんな所に放置!?(笑)
それを見取りナルトは半眼になる。
「・・・しぃかぁまぁるぅ。1と2見ただろー」
「あ、や、それは不可抗力っつーか親父がなんかの任務の土産にもって帰ってきやがったから。
」
つい読んじゃったわけだ。
「奈良のおっちゃん・・・なんて事するってば」
どこか常識をなくしている大人にため息を禁じ得ない。
「まぁ実践に使うにはあと5年はいるから安心しろよ」
「フツーは5年じゃムリだから。」
シカマルならやるだろう。
理解力が人並みはずれてる分、チャクラの不足さえ補えたらなんでもできてしまう男だ。
だから余計に読ませたくないのだか。
「はぁ。あんまり危険な術は覚えんなよ」
「気ぃつけとく」
まぁシカマルならアホな事はしないだろうし。
諦めて先程の2冊をポンと返してあげた。
すると普段はまずしない嬉しそうな顔を見せた。
(こいつもこんな顔してりゃ年相応なのにな)
「じゃあ、頑張れよ」
何を?なんて聞き返すでもない。
「ああ」
シカマルの激励に疲れた声で返事をし、奇跡的に二人の会話に口をはさまず聞いていた存在に振
り替える。
「あーっと・・・質問は?」
パッと輝くイノの顔を見て内心ため息をつく。
質問は沢山ありそうだった。
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