「さて、聞きたいことはいろいろあるけど」
「覚悟はしてるってば」
腰に手をあて顎をあげるイノにナルトは両手をあげてみせた。


 
大掃除は秘密への扉? 3
「まずはっなんでシカマルがこんな所にいたのか、よ」 え?そこから!? 1番どうでもよさ気なとこから攻めてきたなぁ←なんかシカマルに失礼 てっきり『この地下はなに!』とか『なんで隠し扉!?』とか『ナルトがこんなに大量の本 持ってるって何事!』とか まぁそこら辺を真っ先に突っ込んでくると思ったんだが。 「あたしですらこんな部屋知らなかったってのに何?あの慣れきった態度!ムカつく!」 え?そこ? どーして思考がそっちにいくのかナルトにはさっぱり解らない。 が、イノがなんだか激しく憤っているのは雰囲気で理解した。←さすが暗部(笑) 「んと。シカマルも最近ここを知ったってばよ?」 「あんたが教えたの?」 あたしはこんな事がなければずっと知らないままだったってのに? そんなイノの剣幕に肯定はヤバイとナルトの本能が訴えてきた←優秀な危険察知能力だな(笑) 「あーいやいや。シカマルはシカマルの父ちゃんに聞いたってばよ。シカクのおっちゃんは ここを図書館がわりにしてたからさ」 って事にしておこうかな。 「・・・ふうん」 あ、信じてないっぽい。 「このふっるぅぅい本をシカマルのお父さんがねぇ」 もしやこのめっちゃ貴重本をそこらで適当に手に入る書物と同じに考えちゃってたりするのか? それは、シカマルが怒るだろうなぁ←ナルト的にはどうでもいらしい まぁ考えて見れば図書館呼びするほどの蔵書をナルトが持っていることが変なのだからその 疑惑は仕方ないかもしれない。 「まぁ百歩譲ってそれが本当だとして」 あ、譲られた 「なんであんたヒョイヒョイとこんなとこにシカマル連れ込んでんのよ!」 あーイノさんや。なんか言い回しにおかしな部分がありませんでしたか? 「・・・」 「だって地下よ?地下にいたのよ!まるで監禁じゃない!」 イノの中で地下がどんなイメージで固定されているか解りやすい。 「言っとくけど中からも出れるってばよ」 「え!?」 なるほど。 本当に解りやすい。 「ここを押すと開く」 「上からは?」 「上から地下に入るにはちょっとした印を組まなきゃいけないんだけど・・・」 シカを入れる時に簡略で閉じたのだ。まさかイノに襲撃されるなんて思わずすぐに自分も 地下に行くつもりで。 「まさかあたし無意識に印を組んでたのかしら?」 あたしって凄いじゃない!なんて言い出したイノに 「や、違うってばよ。俺がちょっと手を抜いて簡単に閉めた状態で放置したのがいけなかっ たってば。ごめんなイノ。」 適当に相槌でもうっておけば良かったのに、とは後々気付いたことだが今は慌てていて 正直爆発である。 「ううん。怪我もないし。ナルトの家の隠し部屋なんかにも入れたしあたし的にはラッキーよ」 「ならいいけど」 ラッキーとまで言われてしまえばそれ以上言葉もない。 「ほかに質問は?」 「んとー。あっ。シカマル以外にこの場所知ってる人は?」 「シカマルの父ちゃんくらいかな?」 「よっしゃ!」 「ふぇ?」 「他に教えんじゃないわよ」 「え?うん」 何がよっしゃーなのかわからないが、機嫌が良くなったのは確かなようだ。 「ねぇナルト」 「ん?」 「植物関連で良い本あったら今度貸して。」 これだけの高価な本に囲まれながらもそれを選ぶのがイノらしい。 「未知なる植物の本とか?」 「そう!後は」 結局なんだかんだで、どこに居ても植物に話が行ってしまうイノにナルトは 目を細めご希望の書物を引き抜いた。 そう。 たとえば、ちょっと見れば分かるところに普段ナルトが使用しないはずの忍具が 置いてあったり。 書棚にならぶ本の中に明らかに物騒なタイトルがついているものがいくつかあったり。 いろいろ、本当なら疑問は尽きないはずなのに。 決してそういう事には触れてこない。 もっとなんでもかんでも好奇心のままに突っ込んでくる女の子だと思っていたから驚いて しまう。 あの時もそう。 温室で里の奴らにぞんざいな扱いをされた理由を彼女は聞いてこなかった。 ただ、大好きな植物を破壊され、ルーキー仲間に乱暴されたことを憤ってはいたが 『なんであんな事されなきゃいけないわけ?』とか『狐がどーの叫んでたけどなんの話?』とか 『あれは遣りすぎでしょ三代目に抗議してやるわ!!』とか、そんなナルトが困るようなことは 一切口にしなかった。 そんなイノだから。 「今夜は・・・鍋にするつもりなんだけど、食べて行くってば?」 こんなにも居心地がよくて 「えっっ!いいの?」 「たまにはいいってばよ。キムチ鍋と豆乳鍋とちゃんこ鍋とどれがいいってば?」 一緒にいて勝手に肩の力が抜けて 「何それ!!どれでも作れるっつー自慢なわけ!!?」 「へ?何言ってんだってばよ。」 「うううー悔しいけどどれも美味しそうなのよね。」 自然と頬が綻んで 「俺のお勧めはうずまきナルト特性の味噌を使った味噌キムチ鍋だってばよ」 「君に決めたーーー!!」 「あはははっすげぇっ即答っっ」 こんなにも笑顔でいられる。 「あ、ナルト」 「ん?」 「掃除が途中なの忘れてたわ」 「ああ、そーいやそうだってば」 2人でいそいそと地上に戻り、地下への扉はきっちりと閉じて。 それからイノはお掃除。 ナルトは夕飯作り。 なんかまるで。 (夫婦みてーだな) 「夫婦みたいねー」 あれ? ふふっと小さく笑みをこぼしたイノに目を丸くして言葉を反芻する。 まったく同じ事を同じタイミングで感じていたのが面映くて。 「ばか言ってると夕飯抜きにしますわよイノさん」 「きゃー許してお義母さまーーー」 つい嫁姑ごっこなんて繰り広げてしまった。 そんな冬の暖かな一日でした。

大方の予想外だろうほのぼの終わりです(笑)
別に色々考えて聞かないわけじゃなくて、単に興味がないだけかもしれんが。
それでもナルトにはとっても嬉しいことだった、って感じかな。