生まれて初めての衝撃を受けてから2日。
あまりのショックにその日の夜はうなされてしまい、次の日大変な目にあったイノは父に宣言した。
「言っとくけど。あたしは認めませんからねっ。」
「はいはい。分かってるよ」
「自分の夫くらい自分で決めるんだから」
「もちろんその通りだ」
「余計な手出し、口出しは無用よ」
「うん。しないよ。」
「あとー・・・ナルトの良いところを延々言い続けたり刷り込み見たいに囁いたりしないでよっ」
「・・・あれ?バレてた?」
うなされたのはその日の夜、父が熟睡中のイノの耳に睡眠学習とばかりにナルトの良さを吹き込んでいたせいだ。
気を抜くとフイにその声が蘇ってきて、壁に何度頭を叩きつけたことか。←それは痛そうだ
「ナルトはね。とっても花が大好きでね、この間なんかね〜〜」
「ナルトはね。とっても優しくてね。この間実は〜〜」
そんな実例を延々と・・・・。
聞かされればそりゃイノでなくとも夢見が悪かろう。
思い出すたびに「へーナルトってそんなヤツだったんだー」とふいに思い、壁に頭を打ちつけ、「違うっっパパの洗脳なんかに負けないわよっっ」と叫ぶ。
それを繰り返していた昨日。
任務が休みの日で本当によかった。
「バレてた?じゃないわよ。もー絶対しないでよっ。・・って、きゃー遅刻しちゃうじゃないっっ。じゃ行ってきまーーす」
文句をプリプリたれていたイノは時計を見て慌てて走り出した。
「はいはい。行ってらっしゃいイノ。」
朝から元気溌剌な可愛い娘に相好を崩すと父は大きく手を振った。
「ようイノ遅いじゃねーか」
「おはよーシカマル。ちょっとねー。チョージは?」
「あっちで菓子食ってる。」
「ほんとだーチョージーおっはよー」
「あ、イノ。おはよう。今日はめずらしくギリギリだね」
「うん。朝からパパと喧嘩してたらこんな時間。もーすっごい走っちゃったわよ」
急いで乱れた息と髪を整えていると集合の2分前にアスマがやってきた。
たまに三班合同なんかやると思うけど遅刻しない先生ってホントありがたいわよねー。
しみじみイノは思う。
「おう。三人ともそろってんな。感心感心。」
「おはよーございまーす。アスマ先生」
「おはよーアスマ先生」
「っす。」
三者三様。
いつものごとくの挨拶を交わせばアスマは咥えていたタバコを指に挟みその手を軽くあげた。
「はい、おはようさん。さーって。昨日は休みだったからなちゃんと休養とったかー?」
三人の顔をしっかり見つめ特に返事を返さないのに満足そうに頷いた。
「ま、体力気力共に回復してるよーだし、今日の任務も余裕で終われるな。本日は〜木の葉図書館の資料整理だっ」
「ええーー」
「げっ」
「・・・・それって大変なの?」
「チョージっっ。よく考えなさいよっ。木の葉図書館っつったら木の葉で一番大きな図書館よ。その資料っていったらあたしたちが想像できないくらい大量にあるに決まってるじゃないのっっ」
「ふぅん。先生そうなの?」
「ま、大量にあるのは間違いないな。安心しろ。途中から他の班も手伝ってくれるからな」
「・・・途中から・・・。なんでそんなめんどくせーことになってんだアスマ?」
「うちの班は昨日休みだったから朝から。他の班は昨日も任務だったから昼から任務なんだよ」
納得できたような出来ないような説明に三人は不服そうな顔を見せた。
「どーせならこの任務終わってから休みくれればよかったじゃないですかー」
「はっはっは。悪いな。くじで負けたんだ」
「アスマーーーっっ」
「先生くじ運悪いもんね」
「アスマ先生のばかーーー」
そんなこんなで朝から資料の整理。
でも途中でイノは気がついた。
(やば。合同ってコトはナルトがいるじゃない・・・・)
父の言葉を気にしないでいつもの対応が出来るか分からない。
(だ、だってパパが婿にって紹介するってことはナルトの了承をもらったってコトでしょ?じゃナルトって・・・あれ?サクラはどうなったのよ?一昨日見かけたときだってサクラちゃんサクラちゃん叫んでたわよ?)
どうなってんのよ?
そこらへんっ。
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