「ねぇシカマルー。ナルトってどんな奴?」
意を決して尋ねた言葉は
「はぁ?」
ものすっっっっごくめんどくさそうな声で返された。
「だーかーらーっ。ナルトについて聞いてんのよっ」
「んだよ突然。めんどくせぇなー」
あまりに予想通りの返事に、思わず自分はエスパーかしらと思ってしまう。
「だいたいナルトについてってえらく抽象的なんだけどよ・・・俺に何を語らせよーってんだ。いの?」
「何をって。そりゃーあんたが珍しく傍に置いてる理由・・・かしら?」
口元に人差し指を当て小首をかしげてみせれば目の前の幼馴染は何ともいえないビミョーな顔を見せた。
「あー・・・・」
歯切れ悪く呟き空を仰いでみせる。
何よその反応。
「・・・まじで?俺ってそんなに態度にでてるか?」
どうやら自分で気づいていなかったらしい。
「まぁ長ぁぁい付き合いの私にはわかる程度でね」
意外と察しの良いチョージなどとっくに気づいていることだろう。
「さーチャキチャキ吐きなさいーあんたがナルトを傍に置く理由をーー」
自分で認めたのだ。"気のせい"とかでごまかす事も出来まい。
「あーマジぬかった。めんどくせー・・・。」
頭を抱えて後悔中のシカマル。
「何よー。そんなに聞かれたくないの?」
別に無理矢理聞きだす気はさらさら無い。
ただ、教えてもらえばこの自分のモヤモヤは晴れるかなぁと思った程度で。
「や、聞かれたくねーっつーより・・・口にすんのがなんっつーか・・・あーめんどくせー」
首の後ろに手をやり空を睨むシカマル。
頬は明らかに赤かった。
「ああ。照れてるのね」
なるほどと、シカマルの態度に納得してしまった。
が、その言葉に
「んな訳あるか!!」
速攻で否定が返ってくる。
ふっふっふー甘いわねぇ。あんた何年の付き合いだと思ってんの?生まれたときからよ?
そぉんな必至に否定したってねぇ・・・。
「ま、そういう事にしといてあげるわ」
寛大なイノ様に感謝なさい。
「・・・」
「で?」
「めんどくせーから言いたかねー」
おっと。ご機嫌を損ねてしまったよう。
口をへの字にしてむっすり顔のシカマルはプイッと横を向いてしまった。
こうなったら絶対にこいつは口を開かない。
どんな手を使っても無理なことは過去に実証済みだ。
フゥとため息をつくと仕方ないから諦めた。
「いいわよもう。チョージにでも聞こーっと」
「あ?チョージ?」
「そうよ。だってあんただけじゃなくチョージだってナルトを特別にしてるじゃない」
「・・・・」
「気づいてなかったの?」
「・・・悪かったな」
プイッとそっぽを向くシカマルに笑みを誘われる。
「シカマルも付いてくる?」
聞くまでもないと思ったんだけど一応ね。
そして案の定
「あれ?二人とも突然どーしたの?」
こうなるのである。
「んーチョージに聞きたいことがあってねー。」
「シカマルも?」
「や、俺はイノに無理矢理・・・・」
「あんただって気になってるんでしょっ。意地張ってないで大人しくついてこればいいのよっっ」
めんどくさいからと逃げるシカマルを強引に引っ張ってきたイノ。
要するに断られても連れて行くこと決定だったので聞くまでもないと思ったわけだ。
「でぇー聞きたいことってのはナルトのことなんだけどー」
「ナルト?」
「そ、なんかシカマルが珍しく傍に置いてるじゃない。チョージもすっごく仲良いしー」
なんで?
ズバリ直球のイノの質問にチョージは笑い出した。
「ちがうよーイノ。逆っ。ナルトがシカマルを傍に置いてくれてるの。ナルトが僕と仲良くしてくれてるの」
メインはナルト。
自分達はナルトが許してくれたから近づける。そーゆー事だ。
「えー?なにそれー?」
イノには良くわからない理屈だ。
「ナルトってね。人から好かれる性格してるわりに、すっっごく人から好かれるのが苦手なんだよね」
慣れてないとでも言うのかなぁ。
だから自分のテリトリーに他人を入れることをとっても怖がってるんだ。
「最初の頃は全然近づけさせてもらえなかったもん」
「えー?」
あんたたち初対面から意気投合してたじゃない。
初めて会話を交わした瞬間からずーっと仲良かったじゃない。
男の子って羨ましーって見てたのにっっ。
「話しかければ返してくれるよ。笑いかければ笑ってくれるしね。」
でも遊びには何度誘っても参加してもらえなかった。
「すごく上手にかわされちゃうんだ。お菓子あげてもなかなか口につけなかったし」
それに僕は知ってたよ。
ナルト最初の頃って全然目が笑ってなかったもん。
頑張って笑ってるなぁってそんなんじゃ疲れちゃうんじゃないかなぁって心配してたんだ。
根気よく。根気よく。
気の長いチョージならではのゆったりさでナルトに近づいていったのだ。
「・・・へー。想像付かないけどあいつがねぇ」
「だからイノ」
「ん?」
「根気でガンバってね」
ニッコリと癒し系の笑顔で言われた内容にイノはうろたえた。
「が・・・がんばるってあたし別に・・・・」
「僕イノもナルトも大好きだから。イノがナルトと仲良くなってくれたら嬉しーなー。」
「チ・・・チョージがそーゆーなら仲良くならないでもないわよ」
「そう?ありがとー」
話しかける口実が出来たと内心ホッとするイノと始終穏やかな笑みのチョージ。
「・・・・・・」
目の前で繰り広げられた会話にシカマルは「さすがっ」とチョージに感心してしまった。
「お前大物になるぜ。」 ボソリとチョージにささやけば
「シカマルほどじゃないよー」
「・・・」
さらりと何だか意味深な返事を返されてしまった。
チョージはこの幼馴染内で最強だろう。
シカマルはハイパー頭脳にしっかり書き留めておくことにした。
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