気がつけば。
時間がある時押しかけてた。
・・ううん。
むしろ時間を無理矢理作ってまで押しかけてた。
楽しみにしていた花がもうすぐ咲くから・・・・。
なぁんて。
言い訳ってわかってるわよ。
なんだかんだ言いつつ、温室に通うとことになったあたしは、最近任務が終わると必ずあいつの家に寄るようになった。
口実は「花を見る」
ええ、ええ。認めてあげますとも。
あたしはただ今ヒッジョーーにあいつに興味がありますよ。
でもね、それがすなわち恋とか勝手に思ってほしくないわ。
今はまだ観察段階。
パパが認めるほどのいい男ってホントー?と疑いながらチラリチラリと覗き見てる程度よ。
大体あいつってなんだかんだ言ってドベじゃない?
そんでもってそりゃよくよく見れば金髪碧眼なんて王子様的要素を持ってるけどぜぇぇんぜん生かされてないしー。
もっとこぎれいにすればいいのに。
なんてチラリと思ったりする。
こないだ触ってみたけど髪の毛サラサラなのよあいつっ。
信じらんないっ。
めちゃめちゃ手入れしているあたしよりサラサラなのよ!
「うわっなにこれっっ」
「え?え?なんか変だってば?」
変っつーか。
「妙よ!」
「妙?」
キョトンと小首をかしげたあいつはその拍子にそのサラサラの金の髪を揺らした。
ムカつくくらいに絶妙に揺れるわねその髪。
女のあたしですら思わずドキッとしたじゃない。
「その髪っ。なんでそんなにサラサラなのっキューティクルなのっっ」
「きゅーてぃくる?」
「信じらんなーーーい。シャンプーなに使ってんのよあんた」
「シャンプー?えっとなんかイルカ先生がくれたやつ」
汚れがよく落ちるからお勧めだっとかいって5、6本置いていってくれたから助かるー
とホクホク笑顔。
イルカ先生ねぇ・・・。
あの人の髪は確か意外とパサッとしてたわよねぇ。
まぁうちの熊よりは良い髪質だったけど。
しかししがない中忍の男がそんな良いシャンプー使うか?
更には可愛い教え子に5、6本もそんなに良いシャンプー差し入れるか?
いや、あの人ならするかもだけど・・・。
「なんて名前のシャンプー?」
「んーと・・・『男の毛根アップ ボリュームアップシャンプー』?」
「・・・・。それ毛生え薬じゃないの?」
棒読みのように思いだした名前を読み上げた少年に思わず遠い目になる。
確かにあんた男だけど・・・。
毛根アップしてどうすんのよ。
ボリューム必要なの?
「シャンプーって書いてあるんだから頭洗うやつだってば?洗えれば何でもいいってばよ。」
ふふ。乙女の敵・・な言葉を吐いてくれちゃいましたわね。
ちょっと奮発していいシャンプーといいトリートメント更には髪の美容液まで使ってるあたしにそれは喧嘩うってんの?
ええっっ!?あたしより髪質の素敵なナルト君?
「・・・・なんか怒ってるってば?」
多分目が据わってるのだろう。
うん。
なんか自分でもそんな気がするもの。
恐る恐る覗き込むその姿がリスを連想させられてなんだか可愛らしい。
だがしかしその愛らしい唇からこぼれてきた言葉はまったくもって失礼千万。
「イノー?イノも男の毛根シャンプーほしかったってば?一本くらいあげるってばよ?」
お門違いよっっ。
心配は嬉しいけどねー誰がそんなもん欲しがるってのっっ。
そんな乙女がいたらお目にかかりたいものねっ。そんでもってそんなもん可愛い乙女に勧めるなーーーー!
「いらないわよっっっっっっっっっっっ」
あーーー悔しいっなんでそんな怪しいシャンプーに負けなきゃいけないのっ。
あたしの方がすっごいサラッサラのキューティクルになって見返してやるんだからーーーーーー
打倒「男の毛根アップ ボリュームアップシャンプー」
その日温室に入る前にあたしは家に帰宅した。
一体何しに行ったのよあたし・・・・。
|