名前の由来(アオ)



名前?

「そうじゃ。お主は表の顔を知られたくないのじゃろう?ならば暗部で使うとおり名は必須」
「はぁ確かに」

言われてみればそのとおり。
イルカはぽりぽりと鼻の頭をかいた
予想してもいなかったせいでとっさに名前なんか思いもつかなかった

「えーっと名前・・・うーん。何か火影様がつけてくださいませんか?わたしは特にかまいませんので」
言い方は柔らかだったが内容は全くナナシとドクのそれと同じだった

(こやつらは・・)
さりげに三人を一緒くたにしたかはわからないが火影は確かにあの二人を思い出した


「おぬしが使う名じゃおぬしで考えろ。」

だからあの二人に言ったことをもう一度唱える

「そうですか。名前名前・・」
「別に今すぐとは言っておらぬが」
「いえこういうことはすぐに決めてしまわないと気になって仕方ありませんから」

そうか。

思わず火影は納得した
紛れも無くイルカはそういう人間だったから

「じゃあおぬしの好きな色とかは?」
「好きな・・・いろ?」

「暗部に一人そういうヤツがおる。山吹。知っておるか?」
「あ、ええ医療班の。」
「あやつも本名を明かさぬ一握りの一人じゃからな」
それで山吹色からとったというわけか。

イルカはポツリとつぶやいた。
好きな色といわれて一番最初に思い浮かんだ色を

「あお・・・」

「青か。」

火影は小さく微笑みうなづいた。
きっとイルカがなにを思い浮かべてその色を口にしたかわかったのだろう

「それで良いのか?」
逡巡したのち
イルカはきっぱりうなづいた

「はい」


青は空のいろ
青は海のいろ

青は

あの子の瞳の色

深くて吸い込まれそうな
あの子の痛いほど澄んだ瞳の色




「ふぅーんアオの由来は好きな色だったのか」
ナナシはうなづいた
「ああ。とっさに思い浮かばなくてね。」
「まぁいいんじゃねーの似合ってるし」
ドクの言葉に隣でナナシもコクコク首を縦に振った

「そうかな?」
「なんっつーかアオは海みたいに広い感じすっからな」
「空みたいに澄み切った感じもするしな」
「二人ともほめすぎだよ」
照れくさそうに頭をかくアオにドクもナナシもやわらかく笑った

「ま、なんにしろ俺たちよりよっっっぽどマシな由来だってことは確かだな」
「だな」

アオもそれは否定できなかった


「そういや今日はナナシとドクのコンビでAランクだったっけ?」
「そ。」
「楽といえば楽だな。ドクとなら」

「でも今回のはちょっとやっかいって火影様がおっしゃってたけど?」
あのジジイ何をアオにもらしてやがんだ
「いやいや、表のほうでちょうどその依頼を見たからそのときにね」
剣呑なドクとナナシの表情に気づいたアオが慌てて手を振る
「表のって。表のほうでも火影様とかかわりがあんのか?」
「ま、ちょっとだけ。だってわたしは火影様にスカウトされて暗部にいるんだよ。関わり無かったらここにはいないって」
「そらそーだ」

アオがはじめてもらした表の情報
きっと二人にだからこそ口にしたのだろう
おっとりしているように見えて抜け目の無いアオのこと、うっかりなど絶対にありえない

「今回の仕事なーめんどくせーっつったら確かにめんどくせーけど」
「こら人のセリフとんなナナシ」
「わりーわりーでもめんどくせー意外になにがあるってんだ?」
「見た目よりおおざっぱだかんなお前は。」
「こういうのはドクの管轄だもんなぁ頼むぜ、戦略担当」
「任せとけ。きっちり考えといてやったからな。」

胸を張るドクに満足そうに頷くナナシ。

ホント仲いいなぁこの二人。
ちょっぴり羨ましそうにアオは胸のうちでつぶやいた。

「じゃアオ。差し入れさんきゅ」
「メシ抜きのつもりだったからありがたかったぜ」
ナナシとアオの笑顔にやわらかく微笑み

「いやわたしもさっき仕事が終わったところだったから。食べる相手がいて嬉しかったよ。」
人当たりの良いアオだが、表の顔を隠していることもあり、他の暗部にはちょっと心砕くことが出来ないのだ
その点この二人は同じ顔を隠しているもの同士という気安さがある。


「いってらっしゃい。気をつけて」

アオの言葉に二人はくすぐったそうに手を上げた

「「いってきます」」

なんか見送ってくれる人がいるのって初めてかもねぇ
ちょっとくすぐったくてかなり嬉しいと
二人は夜空を駆け抜けながらクスクス笑い出した。

うーん結局、類友?(笑)
仲良し三人組でっす♪
04.8.21