日記3



それはいつものアカデミーでの風景。
目の前をタタタタターっと走ってゆく少年を見て、金色のなびく髪を何気なくみていた俺は
ハッと気がついてしまった。
上機嫌で給湯室へ向かうその子が頭の上に掲げ持っているそれを。
そして次の瞬間思わず怒鳴っていた。


「ナルトっまぁったラーメンかっ!!」
「うわっビックリしたぁイルカせんせーー。そっ。俺ってばラーメン大好きーーー」
うきうきした顔でそんなことをいう可愛い生徒の手からカップラーメンを奪い
「いくら好きでも限度があるだろがっ」
そのカップラーメンで頭をコンッとつついてやる。

「ぶーーー」
膨れっつらがフグみたいで可愛い。

「代わりに俺の弁当やるからほらっ膨れないっ」
「えっっ」

ほれ、と包みを手渡せば目を輝かせる。

「い、いいってば?」
「いいからやってんだろう。先に裏庭いってろよ。これにお湯入れてくるから」

と、ナルトから奪ったラーメンを振ってみせる。

「うんっっっ」


嬉しそうに駆け出す背中に微笑んだ。




「うまいってばっ。これもうめーーーっ」

「はいはい。ほら。こぼしてるぞ」

おにぎり片手にどんどんおかずを平らげてく。
その食べっぷりは見事でみていて気持ちがいい。


「誰も取ったりしないから落ち着いて食べろって」
「ふぁっへこへうへーんひゃほーーん」
「全然わからん」
食ってからしゃべれ。

そう言えば渡したお茶でコクリと飲み込み
「だってこれうめーんだもーーんっ」

ニカッと太陽に負けない笑顔でもう一度言い直した。


その笑顔があまりに眩しくてクラクラくるのはきっと俺だけじゃないだろう。


「そりゃよかった」



明日は二人分作ってくるぞっっっ
心に決めいつもよりずっと美味しく感じるラーメンをずるずるすすった。







「ナルト。」
「なんだってばー?」
「これ持って昨日のところ行ってろ」
「へ?」


相変わらずカップラーメンを持っていたナルトを呼び止め慌ただしく用件だけ述べる

大量の資料を腕に抱えその上に乗っけていた重箱をあごで指し示す。
なんだ?
と首をかしげながら指示通り包みを抱え込んだナルトに
ひたすら必要な情報だけ伝えた。

「ちょっと今忙しくて手が離せないんだ。一応二人分作ってきたんだけど俺は後からになりそーだから先食ってろよ。ただし半分残しといてくれよ」


じゃっ
目を丸くするナルトを置いて俺は走り出した。


「な・・・・・なんだってばーーーーーーー」

背後から戸惑ったようなナルトの叫び声が聞こえた。

悪い悪い。
今すっごく忙しいんだよーーーーー





だが思ったより早くその仕事は片付きほぼすぐにナルトの後を追いかけられた。
草を掻き分け近づこうとすると愛らしい声が聞こえてくる。
それに思わず足を止めた。

「んーと半分?ってことは。卵は6個までいいな。うんうん。」
数を数えながらパクパク食べてく。
「から揚げはーーーーー7個あるから・・・・・・4個いい?うんうん。いいってば。」
己の思うままに勝手に分配している。

そのうち。


「・・・も、一個いっかなー」

と呟き、手を伸ばそうとして次の瞬間頭をふる。

「だめだめっイルカせんせーのぶんっっ」


だがまたそちらに目がいって・・・・

「うう・・から揚げが俺を誘惑するってばよー」

ひどくお気に召した様子で、まだ他のおかずが残っているというのにから揚げと格闘している。


その姿があまりにも



か・・・・かわいい・・・・


可愛すぎて思わず見守ってしまった。

もうちょっと堪能したかったのだ。
っていうか他の人だってきっとそうするに決まっているっっっ



「うー。早くイルカせんせーこないかなー。このままじゃ俺ってば負けるーーー負けるーーーーーーー」

フラリとまた、から揚げに手がでた。


そしてとうとう
パクリ

「うま・・・」




幸せそうに噛み締める
次の瞬間

「ああああああ。イルカせんせーのぶんがーーーーーーー」




くぅぅぅぅぅ
可愛すぎる。

あまりのカワイさに思わず地面を叩いてしまった。
身悶えるほどのこのカワイさ誰かに伝えて共有したいっっっ

本日の「今日のナルト」はこれに決定である。


その日の夜。
一枚の紙を見て身悶える有名な忍び達の姿がそこかしこで見られたとかなんとか。





イルカ先生愛の日記帳第三段
とある暗部から奪った紙を見てシカマル君は
「・・・・こいつ地でやってんな・・・」
額をおさえて呆れ返ってたそうな。
ナルトはイルカお手製のからあげにはまったらしい(笑)