「よしっシカマル。行こう。」 そんな掛け声と共に無理やり引っ張られたシカマル。 幼なじみの太っちょ君はいまや別人と化していた。 ・・・・頼むからいつものチョージに戻ってくれよ・・・ シカマル心からの叫び。
シカマル達が近付いた時、金の髪の少年は近くにいたピンクの髪の女の子に話し掛けていた。 「オレってばさオレってばさーうずまきナルトってーのっ。ヨロシクなッ。」 ニカッと笑ってそう言えば、ピンクの髪の少女は戸惑ったように視線をうつむかせ、まわりの少年少女はなにこいつといった視線を向けた。 そのなかにひとつだけ呆然としたものが交じっていたのをナルトは気付いていなかった。 (はぁぁ?) 彼は非常に驚いていた。 金の髪にうずまきナルト・・・とくればこの里に一人しかいまい。 いないのはわかっているのだが、それでも疑問を抱いてしまう。 本当に自分の知るそいつなのか・・・ 正直なところ理性では認めている。が、本能が徹底的に拒絶を示していた。 そんなシカマルが彼らしくもなく現実逃避の波に身を任せようとしたその時、この騒動の近くにいてサスケとやらに引っ付いていたイノがノッシノッシと前へ進み出て戸惑った風の少女の肩を後ろから抱き寄せた。 まるで守るかのように。 「なによーあんたナンパ?」 「ち、違うってば。えっとだって綺麗なピンク色の髪してたから・・えっと・・」 「それをナンパって言うのよっ」 「だーかーーらーー違うっての。俺ってば純粋にお友達になりたくって」 「ふふーん。お友達から始めましょ♪なんてナンパの常套パターンじゃないの」 ビシィと指を突きつけてイノがいえばナルト大げさにショックを受けた様子を見せた。 「ええっそうなんだってば?イルカせんせーは最初は交換日記からだって言ってたってばよ?」 「誰よその一昔前のラブこめみみたいな事を口にした奴は」 「い、イルカせんせーはすっげーいい先生なんだってば!!バカにすんなっ」 「なによ交換日記だなんていまどき廃れきった物体を口にする時点でもう古いのよっ。どんなおじいちゃん先生よっ」 「むむーーイルカ先生はまーーだまだ若いおじさんだってばよっ」 ムムンッと胸を張ってまったくフォローにならないことを口にするナルト。 「だぁぁぁぁれがおじさんだってぇぇぇ?」 「だからイルカせんせーがって・・うわっイルカせんせーなんでこんな所にっ」 振り返れば仁王立ちで立っているその人。 鼻の頭にトレードマークの一文字傷。 顔は(ひきつりながら)笑っているのだが目は笑っちゃいない。 上から高圧的に見下ろすその姿。 見事なお怒りポーズだった。 「ふ・・騒ぎが起ったと聞いたから駆けつけてみれば・・・・・・まぁぁぁったお前かナルトーーーー!!」 「うわぁごめんってばーー」 思い切り振り上げられたこぶしに両手を合わせて拝み倒すナルト。 するとそのこぶしはスッと下りてナルトの頬をモギュッと掴んだ。 「ったく反省してるか?」 頬をビョンと両方に引き伸ばしながら呆れた声で尋ねるイルカにナルトは一生懸命な様子で頷いた。 「ひてるっひてるってはーー(してるっしてるっばー)」 「よし。じゃあもう準備は終わってるんだから上級生は退散するんだぞ」 「ふぁーーーーーい」 仲の良い教師と生徒の掛け合い。 それにちょっぴりムッとしつつも、冷静な視線でイルカを上から下までじっくりと観察する。シカマル。 (ああ、あれがナルトがうるさいくらい言ってたイルカ先生という人間か。) そんなシカマルの素晴らしき観察眼をもってしてもイルカ先生という人間は好人物だった。 確かにナルトに普通に対応してくれる大人のようだ。 あのナルトを見る瞳に裏はなさそうで、シカマルはホッとした。 や、ほんの微かにムカッとしたのは確かだけどな。 でも安心したのも本当。 今の段階で完全に信用は出来ないものの、それでも「マシ」な大人であるとシカマルは判断した。 それは彼にしては結構な高得点である。 そんな採点中のシカマルに気づくでもなくナルトは、イルカ先生に諭されてこの場を離れようとしていた。 (ま、こんくらいハデに騒いどけば十分か) と自分の成果に満足そうに笑い周りを見渡した。 スゥと見回した周囲の子供たち。 どれもが好奇心か訝しげな顔。 確かに以前であった桜色の髪の女の子に出会えて興奮したのは確かだが、この騒ぎはナルトにとっては計算ずくだ。 この程度最初から印象をつけておくのが一番いいのだ。 そうすれば来年、再来年と留年して、クラスメートになったとしても、「ああ、あのうるさかった上級生」と最初から思ってくれる。 他の教師どもに不当な扱いをされていても「うるさいから」とか「バカばっかりやるから」と思ってくれれば理由を聞かれることもなく実に楽なのだ。 やー俺って結構真面目にお仕事してるよなぁ。 帰ったらシカマルに褒めてもらおーっと。 なんて考えちょっと気分がよくなっていたその時・・・ フイに気がついてしまった。 本当によくぞ気づいた自分!ってくらいヒッソリ立っていたそいつ。 めちゃくちゃ見知ったそいつ。 ってかたった今ちょうど考えてたその顔。 複雑そうな顔をしたシカマル・・・・・がいるじゃぁアーリマセンカー いや、俺は帰ってから会うんでよかったんですけど・・。 幻覚? 妄想? いや・・・現実だ・・・ まってくださいシカマルくん。 なんで・・なんで・・・ なんでここにいるんだぁぁぁぁぁ き・い・て・な・いっってのーーーーーーーー!! 突然に口を開けて固まってしまったナルト。 隣にいたイルカが思わず顔を覗き込んでしまうくらいに勢いよくガチガチなっていた。 「・・・」 「あ〜」 そういや急だったから言ってないんだよな。オレがアカデミー通うこと。 シカマルはポリッと頭をかいた。 あーめんどくせぇ。後でぜってぇ「何でいわなかったっ」とかいわれるんだぜ。 文句は親父に言えっての。 そんな気分で肩をすくめてみせれば唐突に、蒼い瞳がウルんだ。 (なんだ?) まわりで見ていた者達も呆気にとられる変化だ。 「うっわぁぁ。はずっ。めちゃはぁずぅぅかぁしーいー」 「え?おいナルトっ?」 ガァァと赤面するとクルリと背を向け、イルカの静止も聞かずどこかへ走り去ってしまった。 「なんだ(なに)今の・・・」 うるんだ瞳も動揺した表情も赤面もすべてがめずらしい。 っつーか 「そーゆー顔は反則だと思うぜ」 目撃してしまった子供達同様、真っ赤であろう自分の顔を手の平で押さえシカマルは「あー」とも「うー」とも判別つかないうめき声を上げながら天井を見上げた。 |
ナル視点としか視点が交互なもんで、見にくいと思いますすみません。
うまくまとめらんなかったっす(涙)
05.1.27