っかー 相変わらず手応えないねぇ 所詮Aランク任務なんてこんなもんか つまらなそうなため息一つ だってな。 俺とあいつがくんだら 最強なんだぜ?
「ラーストッ」 軽いかけ声と共にザクリとクナイを一ふるい。 うっかり動脈切ったのかあたりに赤いものが飛び散った。 やだやだ。 こっちにかけないでくれるー。 元凶がそんな事を言う。 「こっちも。これで終わりだ」 恐ろしいほど華麗な舞いで敵を切り裂いていた相方が栗色の髪をふわりとなびかせ振り返った。 その体には返り血一切あびておらず、 ちょっと悔しく思った。 そんなそぶりを全く見せずに黒髪の青年はめんどくさそうな足取りで相方に近づきコンとこぶしを付き合わせた。 「うっし。帰るか。」 「だな。おっと。」 思い出したかのように栗色の髪の青年がポケットからタイマーを取り出した 「どーだ?」 黒髪の青年が後ろから覗きこむ と、栗色の髪の青年がはしゃいだようにパチリと指を鳴らした 「やーりっ。俺の勝ちなっ」 「ちぇっ。っかしーなー。ぜってーもう少し時間かかると思ったのに」 「思ったより弱かったしな」 「っつーか弱すぎだ。Aランクでこれでいいと思ってんのか?」 「お前賭けに負けたからってそんな所に文句つけてんなよ」 「うるせー。ったくめんどくせー賭けしまったぜ」 今回の任務。 どのくらいで終わるか。 賭けた。 Aランクの任務と言えば、上忍が命をかけて行うほどの上ランクである。 それをこの二人 あっさり あっという間に しかも余裕綽々で 片づけた それはまぁいつものこと。 二人で組めばこんなもんである 「じゃ一楽な。」 「はいはい。」 ラーメンを賭けるのもいつものこと 人の生き死になんて彼らにとってはラーメン以下 「お主ら任務をなめとらんか?」 そんな呆れた質問をされたのは実はつい先日。 どーやら賭けがバレたらしい あちゃーと二人で肩をすくめるが後の祭り "賭け禁止令"が出た こんな命令出されたのは長い暗部の歴史史上この二人が初めてだろう 「ええーーーー!!」 「そりゃないですよー」 とても二人は嘆いたと言う 「うるさいっっ火影命令じゃっっ」 木の葉の里を代表する三代目火影様はしわくちゃの顔をさらにくしゃくしゃにすると いたずら小僧に叱るような声を出した 「やっと解禁されたんだもんねー♪」 禁止令が解かれた瞬間から賭けを始めていたのではどうしようもない。 火影も無駄な事をしたものである。 「ちぇっ一発目から負けとはなーさい先わりぃぃ」 黒髪の青年は呟いた 首もとですっきり刈られた黒髪は不揃いで、 相方に無理矢理クナイで刈り取られたと仲間うちではひっそり噂になっている。 「ってかテメーの分析力は俺より遙かに上なんだからこんな時ぐらい勝たせてもらわなきゃこっちがたまんねーよ」 栗色の髪の青年はシシシっと本当に嬉しそうに笑う 髪と同じく栗色の瞳 里でありふれた色合いで、更にはどこかとぼけた表情もぼんやりしていて人の記憶に残りにくい顔立ちである。 対する黒髪も黒い瞳を丸くしてクツクツと笑った。 「まぁな。次は明日の任務に誰が出るか賭けるか?」 「いいぜ。明日の任務は久々にSだからなー。アオ来っかなー。」 「アオ来たら俺かお前どっちか参加無しだろ?」 「さすがに三人はそろわねーか。つまんねー」 「暗部は常に人手不足なんだよ。」 黒髪が肩をすくめてそういえば 相方はしみじみとうなづいた。 「俺たちがセットでいる事自体不思議だもんなー」 「いやそりゃー俺が大昔に火影様にオネガイしたからだろ」 黒髪のおどけた言葉に 茶髪はプッと吹き出した 「一体どんなオネガイやら」 こんな手駒を持った火影も可哀相だなあ 「いやいや。ちょおっと新作の薬片手ににっこり微笑んだら喜んで俺たちコンビにしてくれたぜ?人間笑顔は大切って事だよな」 「はいはい。勝手に言ってろ。」 と、気配を察知し茶髪は即座に口を閉じた。 斜め前の扉が開く気配。 そこから覗くのは 「ドク。ナナシも一緒だったのか。ちょーどいー。ちょっくら医療班手伝えや」 「げっ熊。」 「だれが熊だ!!」 ったくと熊そっくりの男がたばこをふかしながら嘆く。 そしてそのまま返事をしてない二人を医療室へ引きずり込んだ 「おいっ誰がやるって言ったっっっ」 黒髪=ドクの叫びに 「問答無用だ。そこを通りかかったのが運の尽きと思え」 熊は遠慮なく言い切った。 「・・・・」 茶髪=ナナシは小さくため息を吐き出しポンとドクの肩をたたいて首を振った 「人語は熊には通じない」 ボソリと鷹揚にのたまった。 ナナシの言葉にドクは腹を抱えた 「うまいっ座布団一枚っっ」 「おいっテメーら喧嘩うってんのかーーー」 遠くで人語を解す熊の声。 「やれやれ。めんどくせーし、ほどほどで逃げ出すか」 「だな」 めんどくさがり屋の黒髪『ドク』の言葉に 茶髪の『ナナシ』はニシシといたずらっ子の笑みを見せた |